第112話 昔の後悔と今の期待③
◆
慎二はこれからやる事を頭の中で想像しながら皆が待つ家に入り遅くなった事を謝った後、雄二達に明日から人助をやる事を伝える事にした。
「それで、お風呂に入った後集まってくれって言ってたけど何かあったんだろ?」
「うんうん、久しぶりに慎二君が真剣な顔してたもんね」
皆に遅くなった事を謝りご飯を食べお風呂を入った後、1つの部屋に慎二達が集まると開口一番に雄二と由紀がそう言って来た。
「うん、雄二と由紀が言う通り明日からやる事が決まった、2日前に話したかもしれないけど仲良くなった男性がいると僕は言ったよね?その件で人助をする事になったよ」
「慎二君、具体的には何をするんだい?」
服部が慎二の話を聞きそう聞いて来た。
「その話も今から話すよ、明日から僕達はタイムカプセルを探す、その為にも沢山の人の助けが必要だから皆にはこの町の人達に手伝ってもらう様声をかけて欲しい、ただし無理に手伝って貰わなくても良いからね?この町の人達はお年寄りが多いからさ」
「一応分かったが、慎二のその話ぶりでは他に手伝ってくれる人達がいるのか?」
「勿論いる、僕はまた別行動になってしまうかもだけど、その人達と直接タイムカプセルを探しに行く、雄二達は助けてくれる人達が見つかったら連絡を僕にくれ、一応この話は由比ヶ浜先生や宗一郎さん達に話しておくよ」
「「「わかった」」」
慎二の言葉に村上以外が返事をした。
「ん?村上君はどうしたの?」
「俺も今前田が言った事には賛成だが、その前に聞きたい事がある、明日やるって言ってた前田からの約束はどうなるんだ?」
「ああその事か、また今度になるよその時は楽しみにしててね?」
「回避出来たと思ったのに!?」
慎二の言葉にガックリと項垂れてしまった、勿論慎二が先程森で見つけて来たものは村上にあげる為に今は黒いケースに入れて冷凍庫に保管してある。
「ほら一応そんなに酷い事は村上君にやらせないからさ」
「………わかったよ」
「じゃあ話も纏まったし明日からまた忙しくなると思うから今日ははやく寝よう」
慎二のその言葉に他の皆も同じ思いなのか頷いてくれたので今日は就寝する事にした。
◆
次の日になり朝ご飯を皆で頂いた後、慎二だけ居間に残り宗一郎と千夏の対面に座り向かい合っていた。
「それで、慎二君、何か話を聞いて欲しい事があると言ってたけど何かあったのか?」
「そうだよ慎二君、もしかしてその事で昨日帰ってくるの遅くなったのかな?」
「そうです、ちょっと話が長くなってしまいますが昨日あったことを、今からやろうとしている事を聞いてくれますか?」
慎二がそう2人に確認を取ると2人共「わかった」と聞く体制に入ってくれた。
それから慎二は昨日会った事、今からやる人助について隠さず全て伝える事にした。
「………という事がありまして僕は渚さんをそのお婆さんを助けたい、でも僕1人じゃ難しいので出来たら皆さんに手伝って欲しいのです!」
慎二は全て話すとそう言い2人に頭を下げた。
「そんな事があったんだね、話してくれてありがとう、私はやれる事を手伝うよ!」
「ありがとうございます、宗一郎さんはどうですか?」
千夏はそう言ってくれたが、宗一郎は……無言で慎二の目をただ見るだけだった、なので慎二も負けじと決して目を離さないと宗一郎を見続けた。
「………‥」
「………‥」
そんな無言の時間が続き千夏はこの状態をどうすればいいかわからなかった為、2人の様子を見てる事しか出来なかった。
そんな中、宗一郎が慎二に話し掛けた。
「………前田君、君の決意はわかった、君は生半可な思いで汐留さん達を助けると思っているわけじゃ無いんだね、君の目からは真剣さが伝わって来たよ」
「………なら手伝って「だが」………」
慎二がなら手伝ってくれるんですねどう言おうとしたら声を被せられた為宗一郎の次の言葉を待つ事にした。
「だが、本当に君は探せるのか?俺も知っているが卯辰山公園はとても広い土地で標高も高い、そんな場所を何もヒントも無く地中深く埋まっているタイムカプセルを探せるわけが無いと思っている、勿論汐留さん達を助けたい思いは俺も一緒だが……無理な様に思える」
宗一郎は最もな事を言って来た為慎二は押し黙ってしまった、そんな時千夏が助け舟を出して来た。
「お爺ちゃん、私は慎二君なら、慎二君達なら出来ると信じているの、だって私達を救ってくれたんだから!」
「………それは千夏達から聞いたから分かっている。でも今回は話が違う、俺達みたいなただの人が出来る範疇を超えてるんだよ」
「私も……それはわかるけど………」
千夏は助け舟を出したが、宗一郎のその言葉で自分もどうしたら良いかわからない為俯いてしまった。
でもそんな中慎二だけは出来ないなど最初から思っていなかった、むしろ絶対探せるとわかっていた、だって渚とそのお婆さんの未来は見えなくてもタイムカプセルを探せる未来はもう既に渚と会った時に見てるのだから。
宗一郎と千夏がやっぱり今回ばかりは無理だと思っていた時、慎二が話し出した。
「僕は嘘をつかない、やると言ったら必ずやり遂げる、たえとこの体が朽ちろうとも、だからどうか2人共信じてくれませんか?僕は諦める事を諦めたく無いんです」
「………前田君を信じるのはいい、でも成功する確率はどのぐらいなんだ?」
この言葉を待っていた!
慎二はその話を聞くと笑顔になり伝えた。
「勿論、100%です!……と言いたい所ですがそれは言えないです…が……必ず成功すると確信しています!慢心とかは全く無いですからね?」
慎二は自身満々にそう伝えた、その後慎二の言葉に少し考えていた宗一郎だったが、折れた。
「………はぁ、わかったよ君を信じてみるよ、卯辰山公園に知り合いがいるから掛け合ってみよう、だけどタイムカプセルを掘る時はどうするんだ?」
「ありがとうございます。それももうある人物にお願いしてもらっています、後は卯辰山公園に行ってタイムカプセルがある場所を掘るだけです、その人物から連絡さえあれば今からでも堀に行ける状態です」
その話を聞くと千夏は勿論宗一郎も驚いていた。
「本当に君は学生か?要領が良すぎるのは勿論だが、周りへの根回しが早過ぎる。まるでずっと先でも見てる様だな」
(………宗一郎さんの言っている事は当たってるけど言えないよ、未来が見えます!なんてね………)
自分の秘密を言えない慎二は苦笑いをしながら誤魔化すことにした。
「そんな事は無いですよ?恐らく今までの人助の経験が生きてるんだと思います、やっぱり何でも経験が1番ですね!」
そう言って話を濁す事にした、その話に丁度千夏も乗って来た。
「うん、慎二君は私達以外にも沢山人助してるもんね!」
「………前田君は十分凄い事がわかった、俺の方でもやれる事はやって卯辰山公園の件の話が通ったら前田君に連絡するよ」
「多分私がお爺ちゃんと行動すると思うから分かり次第慎二君に連絡するね!」
宗一郎と千夏はそう言ってきた。
「ありがとうございます!連絡待っていますね、ちょっと他の皆にこの事を伝えて来ます!」
そう言って席を離れると町に手伝ってくれる人達を探しに行っている雄二達に連絡を入れた瞬間、今回卯辰山公園のタイムカプセル堀を手伝ってもらう予定になっている人物から連絡が入った、あと少しで卯辰山公園に作業者達と向かうという連絡が入ったので「ありがとうございます」と返信を返した。
「準備が早いな、僕も張り切って行かないとね……「スイッチオン!」」
連絡が入ったから自分も気持ちを入れ替える為に早速「真実の目」を使い慎二も卯辰山公園に向かう事にした、宗一郎が話を通してくれると言っていたが、こちらも一応穴を掘る話をしなくてはいけない為先に向かう事にした、後で連絡をしてくれるとも言っていたからだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます