3章 1学期編 ヒポット部始動 閑話
第91話 閑話 海の家前夜①
◆
今日は7月26日、終業式が終わった次の日だ、明日27日に石川県にある海の家の手伝いをする事になっている、泊まり込みで手伝う為昨日から持っていく物を慎二は用意していた。
「ふぃーー、これで一応持ってく物は全て入れ終わったよ、日常品で足りない物とかあればもうあっちで買うことにしよう……」
昨日からあまり寝ずに準備をしていた為大分疲れていたのかその場で寝転がってしまった、その慎二の状況を心配に思ったのかチルが慎二の元にやって来た。
「にゃー?」
「ああ、チル大丈夫だよ……ちょっと休憩してるだけだからさ……でもごめんね明日から行く海の家には君を連れてけないんだよ………」
慎二はそう言うとチルを抱っこして顎を掻いてやった、今は気持ち良さそうにしているが明日から離れ離れになってしまうので悲しい思いはさせたくないと慎二は思っていた。
慎二は当初チルも一緒に連れて行こうと思っていたが、相談した皆からやめとけと言われてしまった。
チルは野良猫とあって警戒心が強く結菜達に威嚇していた時期もあったが今は普通に接してる、だがまた慣れていない場所、それも知らない人が沢山いる場所に連れて行けば逆にパニックにさせてしまい、チルのストレスの原因になってしまう可能性があった為今回はお留守番になった。
家には結菜と結衣がいるから面倒はみてくれるということなのでそこは気にしていないが、離れ離れになってしまうから悲しいのは悲しい物だ。
「チルごめんよ〜今度一緒に外に遊びに行こうね〜」
「うにゃ、にゃ!」
慎二がそう言ったらわかっているのかその場で体を伸び縮みをして尻尾を振り出した。
チルに癒されたからよし明日の荷物の再確認でもするかと思い立ち上がろうとしたらスマホに着信が来た音が鳴った。
「なんだろう……ああ、千夏さんが前日になったら連絡入れるって言ってた件かな、でも住んでるところ一緒なんだから口頭でも良いのにね」
そう思いながらもスマホの着信先を見たら「戸田綾香」と表示されていた。
「…………?戸田?……誰だっけ?」
「にゃう?」
慎二は本当に分からない様に首を傾げてしまった、それを見て真似したのかチルも首を傾げていた、そんな事をしていたら着信音が止んでしまった。
「あれ、誰だっけ?今頭の片隅に出掛かってるんだけど……名前と顔が一致しない……多分同じ高校の人だと思うけど……」
慎二が何とかして思い出そうとした時、「ピコン」とメッセージが来た音が鳴った。
「次は誰だろ………」
そう思いメッセージを見たら………
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戸田さん
戸田:前田さん、無視しましたね?体育祭の出来事皆さんにリークするので…… 既読 10:19
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「………思い出したわ、体育祭の日今度腹筋触らせるって約束していたよ、嘘ついたらメイド姿をバラすって……ヤバい!?」
慎二はそう思いメッセージよりも電話の方がいいと思い、掛け直した。
電話は「プルルル」「プルルル」と2コールしたら出てくれた。
「もしもし、戸田さんだよね?ごめん!ちょっと用事があって今メッセージを見たばかりで電話出られなかったよ!」
『おはようございます、前田さん、用事があったならしょうがないですよ、しっかりと電話をかけ直してくれたので今回はリークをするのを辞めときます』
「あ、ありがとう……」
『それで、今からお時間ありましたら、その、前田さんの腹筋を触らせてもらって宜しいですか?』
「………‥」
(今から!?準備もあるしどうしよう……でも今早めに終わらせれば後々は楽になら……)
『前田さん?』
返事を返さず考え込んでいたら戸田がどうしたのか聞いて来た。
「ごめん、考え事してて、明日から少し遠出するから今からなら会えると思うけど……場所はどうするの?」
『ありがとうございます……そうですね、私の家でも良いですよ?両親がいるだけなんで』
(無理でしょ!両親がいる所で腹筋を触らせるとか嫌だよ、見られる可能性もあるし……)
「ちょっと、戸田さんの御両親がいる所で腹筋を触られるのは抵抗があるね、出来れば誰にも見られない場所がいいと思うよ」
『そうですか……なら桜田高校の「ヒポット部」の部室はどうですか?』
「それ、僕が部長の部活なんだけど……」
『知ってますよ?だから言ってるんです、前田さんが自分の部室を使うのはなんの問題も無いですよね?と。』
「そうかも…だけど……」
(問題は無いかもだけど、人が入ってこないわけじゃ無いと思うからなー)
どうしたものかと考えていたら戸田が悪魔の一言を言って来た。
『やっぱり前田さんは嘘をつくんですね……もういいです、全部バラします』
「もう、わかった!わかったから落ち着いて!ほら時間も無いから今から部室行くからね?」
『初めからそう言えば良いんですよ、往生際の悪い人ですね』
(何か言い返したい、でも面倒臭そうだし……やめとくか)
「うん、じゃあ部室で待ってるね」
『はい、私も準備をしたら向かいます』
戸田がそう言うと通話を終えた、部室で待ってると言った手前遅れるわけには行かないのでリビングにいた結菜にチルを任せて1人高校に向かう事にした。
◆
高校に着いた慎二は部室に行く前に新校舎にある職員室に向かい「ヒポット部」の鍵を借りて直ぐ様部室へと向かった。
部室に慎二は着いた為、ドアが空いていないのをドアを開ける動作をして確認した後に鍵を開けてドアを開いたら……
「きゃー、前田さんのエッチー」
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