第43話 高校とバカ達と①
◆
慎二は「F」クラスの皆に早く相談したいが為にいつもより早く起きて教室に向かっていた。
教室に着き、扉を開けたら慎二が今日1番会いたかった人物が教室にいたので他のクラスメイトに挨拶をしながらその人物に近づき挨拶をした。
「ハトケンおはよう!ちょっと聞きたいことがあるんだけど今、良いかな?」
慎二が会いたかった人物は服部だった。
一応「未来を見た」為、この後何が起きるか・何をすれば良いのかは把握していたが、クラスの皆に手伝ってもらう為何も知らないフリをして服部にこの頃何か起きてないか聞いて、慎二達の話を聞き耳をたてて聞いてるだろうクラスメイト達に興味を持って貰おうと思っていた。
「おはよう慎二君、僕に聞きたいこと?慎二君が僕に聞いて来るとは珍しいね、内容にもよるけどこの前の「聖書」の件では借りを作ったままだから何でも答えるよ」
やった!ここであの「聖書」の件が報われるとは……結局何も見れず何も成せず目の前で燃やされたもんね……
封印したはずの記憶が蘇ったが、今は服部に聞く事を聞いてしまおうと思った。
「ありがとう!この頃さ桜田高校周辺で何か事件とか起きてないかなぁーと思ってね、またちょっと「人助」をしていてさ、もしかしたらハトケンが知ってる内容が役に立つかも知れないと思ったんだ」
「そうだね……」
服部は慎二の話を聞くとここ最近で何かあるか少し考えていたが、ふと思い出した様に慎二に伝えた。
「この頃か……まあ1つあるけどこの話はあまり広めないで欲しいんだ、友人である慎二君だからこそ教えるんだけどね、ここ最近桜田高校付近で人攫いが起きているらしい、らしいと言うぐらいだから本当の事かはわからないけど用心はした方が良いだろうね……どうかな?知ってる事と言ったらこのぐらいだけど役に立ったかな?」
服部の話を聞いた慎二は心の中で喝采を贈っていた。
流石ハトケン!「情報屋」の名前は伊達じゃないみたいだ、僕は「未来を見た」から知ってたけど、ここまでしっかりと情報を集めていたとは。
「ハトケンありがとう!恐らく今言ってた人攫いの件で合ってると思うよ!もう直ぐ剛田先生も来ちゃうと思うからまた昼休みにでも話しても良いかな?」
「役に立てたなら良かったよ、またお昼に話そうか」
そう言って慎二と服部がお昼に会おうと別れようとしていたら、丁度今登校して来たのか雄二が教室に入って来て慎二達に挨拶をして来た。
「はよ〜2人して何話してんだ?」
そんな雄二の質問に服部が答えてくれた。
「雄二君、おはよう。それがね、慎二君がまた「人助」の件で動いてるみたいでね僕に情報を聞いてきたんだ、もう朝の時間も少ないからお昼に話そうと別れようとしていた所だよ」
服部の話を聞いた雄二は「またか」とでも言いたげな顔をしていたが「それが慎二か」と思って苦笑いしていた。
「まーた「人助」かぁ「部活」もまだ始まってないのによくやるよなぁ……それが慎二の良いところではあるんだけどよ〜」
「雄二、おはよう。それよりいつも通りで悪かったね……」
そんな事を慎二達は話し合っていた。
少し話し合っていると、雄二は何かを思いついたのかいきなり自分の手を打ち付けると声を張り上げた。
「よし!その話俺も1枚噛ませろや、どうせ周りでコソコソ聞いてる奴らも何か手伝ってくれるはずだぞ?」
そんな事を雄二が言うと、「待ってました!」と、言わんばかりに聞き耳を立てていたクラスメイト達が慎二達の近くに集まって来た。
『前田達また何かやるのかー?』
『ふっ、俺の力を貸してやろう』
『なんだまた前田が痴漢か盗撮でもしたのか?』
と、口々に言い出した。
「皆ありがたいけど、またお昼に話すから!それに誰だい今僕がまた痴漢とかをやったって言った人は!?やってないって言ったよね!!!」
そんな事をクラスメイト達に言っていたら何処から情報を得たのか村上が近付いて来ると話しかけてきた。
「なあなあ、前田がこないだ幼稚園に視察に行って来たと聞いたが今度はいつ行く予定になっているんだ?いや、別に俺は行きたくないんだがな?前田が粗相をしていないか監視の為について行こうと思ってな」
「いや、何の話だし!?誰もそんな所視察なんて行ってないわ!?それはただ村上君が行きたいだけでしょ!」
誰だよ、本当に変な噂を流してる人は、今度探してその発生源を断ちに行かないと。
「なんだ、ガセネタだったのか……」
そう呟くと少しガッカリした様な表情になり自分の席に戻っていった。
なんか凄い落ち込んで自分の机に戻って行ったんだけど……何もしてないのに罪悪感が…ま……まあ?直ぐ立ち直るでしょ!そんな事より早く着席してないと、また剛田先生に怒られちゃうよ!
「皆、この話はお昼に必ず話すから!今は自分の席に戻ってくれ、剛田先生が来ちゃうから!」
その慎二の言葉に渋々ながら他の生徒は自分の席に戻っていった。
それから数分して剛田先生が教室に入ってきた。
「ふむ、今日もしっかりと皆席についてる様だな、いつもこうしてくれよ?ではホームルームを始める」
剛田先生の言葉と共にホームルームは始まりその後も何事も起きず時間は過ぎていった。
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