第42話 高校とバカと助け合いと②




 慎二が桜田警察署の近くに来た時、少し違和感を感じた。


 何故か警察署辺りからこちらに沢山の人が歩いて来る音がするのだ。


「今度は何さ、なんか嫌な予感がするんだけど……」


 そう慎二が思った瞬間、警察官達が慎二の元にやって来た。


 さっき感じた沢山の人の足音は気のせいでは無く、本当の事だった。


「「ヒーロー」!また「人助」をするんだってな?鈴木さんからさっき連絡があって力になってあげて下さいと言われたぜ?」


 所長自ら慎二の元に赴き、そう言って来た。


「鈴木さんがそんな事を……でも今回の内容は詳しく話せないですし、僕が本当の事を言ってるかわからない状態ですよ?……それでも皆さんは僕の事が信じられると言うんですか?」


 今回の内容は自分が「未来を見た」から知ってるだけで証拠など何も無い、普通だったら信じない、なのに警察官の皆は……


「………「信じる」に決まってるだろ?俺達が助けなくちゃいけない市民が助けを求めてるんだ、それにこれでも俺達は訓練を受けてるから「嘘」をついてる事ぐらい目を見れば大体分かるもんだ、そもそも慎二君、君には実績がある、それが物語っているんだよ……今回の件もなんでわかったかは企業秘密なんだろ?」


 聞かれた慎二は、少しおちゃらけた様に自分の口元に人差し指を近付け「秘密ですよ?」とでも言うような仕草をした。

 

「そうですね、男でも何か隠し事があればクールでしょ?」


 そんな仕草も様になっているのは、慎二の顔が整っているからだろう……眠そうな眼をしてなければもっと様になっていたと思うが。


 そんな慎二を見た警察官の皆は苦笑いをしていた。


 女性陣は黄色い声を上げていたが、それは今は良いだろう。


「………まあ、冗談は置いといて今回も皆さんのお力をお貸し下さい!助けたい人がいるんです、まだ直ぐに動くと言うわけではありませんが、作戦を始める時は僕からまた連絡しますので」


 そう言って所長改め櫻井所長と連絡先を交換した。


 何故か他の警察官、主に女性の警察官達が連絡先を交換したいと言って来たが、数が多かった為またの機会にしてもらった。


(そんなに僕と連絡先を公開したいものかなぁ?まぁ、今回は時間もないからまた今度の機会にしてもらおう)


 慎二の連絡先を交換出来なかったからか、少し残念な表情をしている様子を見て、少し申し訳なさそうに慎二は思ったが。


 これも信頼されている証拠だろうと思う事にした。


 そうだよ、僕の周りにはこんなに優しくて心強い人達がいるんだ。


「まあ、なんだ?あんまり1人で抱え過ぎるなよ?助け合いが当たり前なんだからな、今回は俺達が力を貸すが今後慎二君に助けてもらう事だってあると思うからその時はよろしく頼むわ!」

「わかりました、こちらこそよろしくお願いします!また後日連絡しますね!」


 そう言い、慎二達は別れた。


「後は「F」クラスのみんなにも出来たら手伝って欲しいかな、今日はもう時間が遅いから明日聞いてみるか」


 慎二は今後の方針を考えながら帰路に着いた。

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