第37話 高校とバカと親友と②
◆
慎二は自分のバックを「F」クラスに取りに戻る際にさっき守から聞いた話を思い出していた。
「確か守の奴さっき「慎二が中学生の頃電車内で痴漢に遭っていた(銀色の髪)の女の子を助けていたのにその時声をかけられなかった」って言ってたよね……銀色の髪?女の子?何か思い出しそうだ…何か……何か」
その時「F」クラスから出て来た雄二に声をかけられた、恐らく慎二の事を待ってくれていたのだろう。
「ああ、慎二、丁度良かった、さっき「生徒会長」がお前を探していたぞ……慎二が戻ってくるのが遅くなると思ったから明日になると思うって言っといグェッ!なんだ!?何故、俺の……首を…締める!?」
何故か慎二に生徒会長と会った事を伝えただけなのに首を締められた雄二の姿があった。
「雄二ありがとう!思い出したんだ、思い出したんだよ!生徒会長はま「良いから手を離せ、このバカ!?」あっ」
やっと慎二が首から手を離してくれたが、「何かを思い出しただけで首を締められるとは今日は厄日か?」と考える雄二だった。
「ご、ごめんよ雄二!やっと思い出す事が出来てホッとしたらつい」
「アホか!何かを思い出しただけでつい首を締められる側の気持ちを考えてみろ!恐怖しかねぇぞ!」
そんな事を2人で話していたら、まだ残っていたのか「F」クラスの皆が教室から出てきた。
「慎二君、帰って来たみたいだね、雄二君から聞いたけど昔の友人達とは話がついたのかい?」
「そうそう、慎二君が何かされたら心配だと思って待っていたんだよ!」
他のクラスメイトも雄二から聞いたのか『そうだ、そうだ大丈夫だったのか?』と心配した顔で見てきた。
皆いいやつだな。
「そうだぞ、流石に慎二が水臭い事をしているから「F」クラスの暇な奴らに声かけて待ってたんだぞ?……で?何があったんだ?さっき「生徒会長がなんとか」とか言ってたが」
「皆心配かけてごめん!昔の友人達とは仲直り出来たよ!あと生徒会長なんだけどね、僕が痴漢しちゃって……あっ違……「は?何?慎二が生徒会長を痴漢しただと!?」
…う……だから違うって!?」
そんな事を今更言っても聞いてくれないのが「F」クラスだ。
慎二の話を聞いたあとそんな事を大きな声で雄二が言うものだから皆にも聞こえてしまった。
皆の反応は先程とは違い、辛辣な内容になっていた。
『やっぱりな』
『いつかやると思ってたよ、見ろよあの顔』『羨ましい!俺すらまだやってないのに!』
さっき一瞬でも良いやつらだと思った僕を殴ってやりたい!最後変な事を言っている奴いるし!
慎二が間違えた事を伝える前に「F」クラスのバカ達に伝わってしまった。
「だから違うって言ったよね!?それに誰も僕がやってないって信じてないよ!?村上君に関しては何を言っているんだい!?それにまだやってないってなにをさ!?」
言い訳をする慎二だがもう後の祭りだった、もう一度誤解を解こうと思ったら慎二の背筋にまた悪寒の様な物が感じられた。
「なんかこのパターン知ってる〜!?もう薄々わかってきたよ!?僕が悪いんでしょ!謝るから許して下さい!悠木様、吉野様!」
その場でジャンピング土下座をした慎二だったが、この2人が許してくれる筈もなく。
「前田、アンタ懲りないわね?それともアタシ達にお仕置きでもされたい願望でもあるのかしら?」
そう言って何に使うのかムチを持ってきたと思ったらそのムチをしならせてる吉野さんがいた。
「もう、前田君、あまり人には迷惑をかけてはいけませんとあれ程言いましたよね?ね?ね?」
と、目のハイライトを消して何を取り押さえるのか、よく小学校とかで見かける痴漢とかの動きを止める道具の刺又をこちらに向けていた。
「今回は本当に間違えただけなんです!お話聞いてくれますか?…駄目?…そう……優しくしてね?」
そんな事を言った瞬間、旧校舎に慎二の叫び声が聞こえたとか聞こえなかったとか。
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やっぱり皆信じてくれなかったよ!
でもこんな生活が「F」クラスらしいと感じながら教室の隅っこでボコボコになった姿で誰か助けに来てくれないか待っていた。
誰も助けに来てくれなかった。
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