★★★ Excellent!!!
廻るさだめが往きつく先は。天地つなぐ神姫と幼馴染み公子の、諸国探訪譚。 眞城白歌(羽鳥)
古代アジアを想起させる架空世界を舞台に、最強にして凛々しく美しい半神の巫女姫と、非力で可愛らしい公子の主人公が、様々な地域や国を探訪しながら霊峰へと向かう旅物語です。
天人地姫と呼ばれるミストリアは、神のごとき魔法を自在に操る特別な存在。その庇護を担う一族の嫡子レイネリアが、この物語の主人公です。彼はミストリアに深い想いを寄せているのですが、二人のゆくてには別離が定められており、それを覆す手段はありません。
天人と呼ばれる神々の存在は遠く、しかし確かに世界へ息づいていて。天人地姫と呼ばれる巫女姫たちは代々、霊峰へ赴き神々に身を捧げることがさだめられているのです。
封禅の儀と呼ばれるその儀式を行うため霊峰へと旅立つミストリア、彼女に陪従し、ともに各地を巡りながら自分の存在意義を見つめ直してゆくレイネリア。変化してゆく二人の関係に諸国の政治的思惑や陰謀が絡み、歴史モノを感じさせるドラマが展開されてゆきます。
語彙豊富で上品な筆致ながら、登場するキャラ(特に天候由来の名を持つ女性陣)の個性が強烈で、振り回される主人公はどこかヒロインちっくに描かれています。第四章からの成長と変化は色々な意味で目ざましいです。
物語も重厚とユーモアの絶妙な共演を楽しみながら、二人が行きつく先を見守りましょう。