第151話 暗中模索

仕事から帰ってくると、手早く夕食を済ませて直ぐに自室へ向かう。


デスクトップパソコンのスリープモードを解除し、

モニターに表示されているブラウザの検索ワードに入れるのは、

もちろん恋愛関連のキーワードだ。


ヒットした上位のページは既に何度もアクセスした形跡があり、

マウスをスクロールさせ、新情報を探す。


インターネットというのは便利なもので、

知りたい情報のほとんどを無料で入手できる。

それはもちろん、自分が経験のないことに関する情報も例外ではない。


恋愛経験が皆無の火月にとって、

このネットの情報はまさに宝の山と言っても過言ではないだろう。


ただ、ネットの情報を全て信用できるかと問われれば、

答えはノーである。


情報化社会の現代において、

何時でも何処でも誰でも情報を簡単に発信できるようになったが、

見方を変えれば情報に溢れすぎているとも言える。


例えば今回、火月は恋愛関連の情報を集めているが、

初デートやアプローチの方法、ファッションなどの情報は

正直どのページを見ても似たようなことしか書いていなかった。


つまり、どれが一番重要性の高い情報なのか判別できなかったのだ。


それにネットは匿名性が高いので、

その情報を誰が発信しているのか分からないのが厄介なところである。


結局その情報の真偽は誰にもわからないし、

情報を信じるも信じないも自分次第ということだ。


要の恋愛相談から三日が経過していたが、

これといって目に見える成果は得られていない。


両手を頭の後ろで組み、天井を仰ぐ。


『下手の考え休むに似たり……か』


ネットの情報以外にも別ルートで情報を集める必要がありそうだと判断した火月は、次に自分が取るべき行動を模索し始めた。

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