第59話 セカンドステージ

舞い上がった土埃のせいで視界が全く見えない。

一体何が起きたのか、直ぐに理解できなかった。


咄嗟とっさの判断で、近くにあった石壁の後ろへ避難した火月とねぎしおは、

攻撃?と思われる怪物の爆発をすんでの所で回避した。


ただ、目の前にあった石壁はほとんど消し飛んでおり、

姿勢を低くしていなかったら、五体満足ではいられなかっただろう。


怪物との距離は、少なくとも二十メートル以上はあったはずだが、

それでこの威力だ。

もし、隠れる場所が無かったら…と思うとぞっとする。


「な、なんじゃ! 今の爆発は?」

両翼で頭を守るような姿勢を取り、ぶるぶると震えながらねぎしおが言う。


「よくわからんが、怪物達あいつらが元凶なのは間違いない」


「あの小物が…じゃと? 

 そんな馬鹿な話がある訳なかろう。ずっと逃げ回っておったではないか」


「逃げているから弱い…と判断するのはお前の勝手だがな。

 今、目の前で起きていることが全てだ」


時間の経過と共に、土埃が晴れていく。


広場のような場所には、いくつか建物の残骸が残っていたはずだが、

先ほどの衝撃で更地状態になっていた。


「…確かに、お主の言う通りかもしれぬ。

 今後、怪物については慎重に見極めることにしよう」


状況を理解できたのか、落ち着きを取り戻したねぎしおが話を続ける。


「いずれにせよ、相手が自爆したなら修復は完了じゃな。さっさと帰るぞ」


出口の扉を探すため、てくてくと歩き始めたねぎしおだったが、

直ぐに呼び止められる。


「待て。…」


火月が凝視する視線の先を追う。


土埃が収まり、ようやく視界が元通りになったと思いきや、

そこには、高さ約六メートルはありそうな、巨大な水晶の塊が鎮座していた。

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