第59話 二人の距離は!?
「…それにしてもこの地図、本当にあってるのか…?全然目的地に近づいてる気がしないんだが…」
「うーん…あの二人の事だから、間違ってるとは思えないんだけどなぁ…」
「…」
「…」
…いま私たちが何をしているかというと、私とアースは近くの茂みに身を潜めて、ジンさんとバリアブルさんの
――――
「エステルエステル、ちょっとちょっと」
「??」
私が
私はその手に
「そんなにキョロキョロして、一体どうしたのアース?」
言葉をかけられたアースは腕を組み、どうしたものかといった表情で私に答える。
「いやねエステル、あの二人見てどう思う?」
「あの二人?」
「ジンとバリアブルさ」
意外な人物の話題が上げられたことに、私は少し拍子抜けする。
「うーん、すっごくお似合いのコンビだと思うけど…」
「でしょでしょ??エステルもそう思うよね??」
決して私たちがはしゃいでるだけというわけではなく、完全に二人の態度からもばればれなのだ。
「本人同士も、相思相愛にしか見えないし…」
「だよねだよね!!それでエステルと相談したかったんだ!」
「??」
その後アースは、自身の考案した二人の距離を縮める作戦を私に披露し始めた。
――――
アースの作戦その1、売っていそうで売っていない物を売っていると言い張って、その買い物を二人に頼む。その2、あえて目的地周辺がでたらめな地図を二人に渡す。それもサイズのかなり小さなやつ。その3、これらの作用で二人きりの時間を増やす。その4、いい雰囲気になったのを見届けてから私たちは引き上げる。たったそれだけ。
余計なおせっかいにしかならないんじゃないのかなと私は思ったけれど、最近忙しい業務ばかりであまり遊べていなかったし、あの二人にはいつも私たちの関係をいじられていた。ゆえにたまには仕返しするのも悪くないかなと思い、私はアースに付き合う事にしたのだった。
「で、でもほんとにこれでうまくいくのかなぁ…?」
まわりくどすぎるというか、もっとシンプルな事でもよかった気もするけれど…
「うーん、思いついた時は完璧な作戦だと思ったんだけど、何か足りなかったかな…?」
そう言いながら、右手を
「あ、見てエステル!小さな地図を二人でのぞき込んでるから、めちゃめちゃ密着してるよ!」
そ、そんな二人とも子どもじゃないんだし…
「そ、それだけじゃ…あ、あれ?」
…よく見てみると二人とも、なんだか顔が少し赤くなってるような…?あ、あの二人ってそういう感じなの!?
…そういえば前に、二人の手が触れ合っただけでお互い顔が真っ赤になってたことがあったっけ…
ならなら、あのいかにも経験豊富そうな二人が実は初心だったりしたら、も、もしかしてこの作戦、あの二人にはなかなか有効なんじゃ…?
それにさっきから二人が何か言ってる…私たちは全神経を両耳に集中し、二人の会話を聞き取ろうと努める。
「目的地どこなんだ…って、あ、あんまりくっつくなって!」
「み、見えないんだから仕方ないじゃないのジンちゃんっ!」
「だ、だからジンちゃんって言うなと何度言えば!」
…な、なんだか思ったより二人ともいい雰囲気かも…
私がアースにその旨を伝えようとした時、事件が起こった。
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