第13話 お食事会
「す、すごい顔ぶれ…!」
今日はアースが
そんな中でどこからか、アース達が話をする声が聞こえてくる。
「こ、これはすごい…」
「ああ…まさかこの帝国にこんな食事を作れる人がいただなんて…」
「そうだろうそうだろう♪エステルはすごいんだぞ!」
私は足早にアースのもとに駆け寄り、言葉を発した。
「は、はずかしいからやめてよアースっ!私なんて全然なんだからっ…!」
私は恥ずかしさのままに、アースの肩を軽く叩く。彼と一緒にいた二人はそんな私を見て、一瞬驚いた表情をした後、大きな笑い声をあげた。
「ハハハ!これは確かに、皇帝の妃様として申し分ないですなぁ」
「ええ、全くです。皇太子さまを叩ける女性など、帝国中を探したって見つからないでしょうなぁ」
二人は満面の笑みを、私に向ける。それを見て、私は一段と恥ずかしさが込み上げてくるのを感じた。
「も、もぅ…からかわないでください…」
顔が真っ赤になっているのが、自分でも分かる。
「いやいや、これは申し訳ない。あまりにも可愛らしかったものですから」
「私もです、クスクスッ」
ただでさえこういった場には慣れていないのに、ますます体が小さくなっていく感覚…そんな時、不意に後ろから誰かに話しかけられた。
「あなたがエステル様ですね、はじめまして。私はカーサと申します」
「は、はじめまして…」
ジンさんと同じくらいの背の高さはあろうかという男性が、そう私に言葉を発した。妙に緊張感を感じるその雰囲気に押され、私はどこかかぎこちない挨拶を返してしまう。そんな私の横から、アースが挨拶に加わった。
「カーサさん、お久しぶりですね」
「これはこれは皇太子さま。その節は大変お世話になりました」
…二人とも笑顔で会話をしているけれど、私でも感じられるほどの殺気を互いに発している。…この二人の間には、過去に何かあったんだろうか…?
「…実は私、この後は別の仕事がございまして。恐れながら本日は、挨拶だけとさせていただきます。
「気にすることはありません。あなたのお仕事は、私もよく存じておりますから」
その言葉を最後に、カーサさんは簡単な別れの挨拶を告げてこの場を去っていった。緊張が少しほぐれた私はアースに向け、言葉を投げる。
「ねぇアース、あの人は?」
私の投げた疑問に対し、少し言葉を選びながら答えるアース。
「ああ、彼はカーサさん。帝国を支える皇帝府の人たちを指揮する、
…決してそれだけではない何かを感じたけれど、ここで聞くのは
「さぁ、それじゃあ食事会に戻ろう♪」
表情を一層明るくし、私の手を引き足を進めるアースだった。
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