第52話「お尻をなでる行法』
娘「最初のやり方は失敗だったの?」
父「悪化はしなかったから失敗とはいえないが、効率が悪いね。俺は、このやり方をひたすら5年もやっていたんだ……」
娘「それは、どうなの? もっと良い方法はなかったの?」
父「当時は、そのやり方がベストだと思っていた。厳密に言うと、最初の頃はほんのわずかだが改善はされたんだが、じょじょに悪化した……」
娘「今は、もっといいやり方なの?」
父「もっと簡単で効果も高いよ。5年も気づかなかったとは情けない」
娘「それが、さっき言った坐骨の内側なのね。もうそろそろ、その治し方を教えてくれてもいいんじゃない?」
父「いいよ。この
娘「恐竜ね……化石で閃いた?」
父「いや。化石ではなくて、恐竜時代の人間の祖先だ!」
娘「祖先? ホモ・サピエンスとか?」
父「時代が全然ちがうよ。恐竜時代の人間の祖先はネズミによく似た生き物なんだって」
娘「ネズミがご先祖様なの?」
父「恐竜時代はね。ホモ・サピエンスは恐竜が滅びたあとだ」
娘「そうか、それで恐竜がどうしたの?」
父「ネズミだけどね……あれは、尻尾があるだろ。あの尻尾は何だろと考えたんだ」
娘「ネズミの尻尾?」
父「犬とか猫なんかも立派な尻尾じゃないか、猫なんか、まるで見せびらかすように立てているのもいる」
娘「それは、繁殖に関係しるのでは? 孔雀の羽根みたいに……」
父「そうなのか!? それは考えなかった……」
娘「何を考えたの?」
父「俺は、尻尾は肛門に血液を送るポンプではないかと考えた」
娘「それ、さっきも言ってたね。ふくらはぎが第二の心臓って言われるように、尻尾は第三の心臓?」
父「まあ、そんなもんかな? 尻尾って肛門の上にあるじゃないか、尻尾を振ることで肛門への血流は確保されるんじゃないかな?」
娘「それは、あるかもね……」
父「四足歩行で心臓と肛門が平行で、さらに肛門の上に尻尾があれば、尻尾を動かすことで肛門へ血液を送るのが簡単になる」
娘「そうかもね」
父「それで、俺は、人間にも尻尾のあった頃の名残りで、尻尾のあった部分には肛門につながる太い血管が残っているのではないかと考えた。犬や猫が、あんなに大きな尻尾を動かすのだから、かなり太い血管があるはずだと思った」
娘「うん、なるほど。それは、あったの?」
父「いや、なかった」
娘「なんだ……」
無かったのかい……という感じでずっこける冬子。
父「解剖図で調べたら、肛門につながる血管は、普通の感じの血管で、特に太くもないようだ」
娘「もう退化してしまった?」
父「そうかもな、必要がなくなってしまったからな。しかし、ナオちゃんは、パチンコ屋で尻尾のあった部分が痛くなると言ったんだ。実際に俺も硬い椅子に座っていると尻尾のあった部分が痛くなる」
娘「それは、肛門じゃなくて、お尻が痛くなるということ?」
父「そうだ。俺は50歳くらいまでは何時間パチンコを打っていても、お尻が痛いと思ったことはなかった。しかし、50歳くらいから痔が痛いのとは別に、お尻も痛いというのを感じるようになった。たぶん、お尻の筋肉が無くなって、クッション性が悪くなったのだと思う」
娘「女の人も、お尻が垂れるって言うね」
父「顔でも内臓でも、歳を取ると垂れてくるのだろう。筋肉が減るのかな?」
娘「筋肉を鍛えるお店が、けっこう流行っているじゃない!」
父「あぁ、あるな。ああいう所でも、お尻の治し方をやらないかな?」
娘「自分のお尻でも、人前で触るのはできないでしょう?」
父「そうだな、アメリカには、裸でヨガをする所があるってテレビでやっていたが、日本では無理だな」
娘「ヨガはいろんなのがあるね」
父「俺の技も三日月流ヨガとしてやったら流行るんじゃないか? 導引って、みんなわからないもんな……」
娘「いや、いや、やっぱり導引は残さないと、何千年もかけて作られたんだから」
父「そうだな、俺のお尻の治し方も残すか……」
娘「そうよ、残してよ。簡単なんでしょ?」
父「簡単だよ。基本の『お尻をなでる行法』があるだろう、あれでもできる」
娘「立ってやるやつ?」
父「そう。足を開いて立って、お尻のわれめに手をあてて上下にこするやつ」
娘「それでいいの?」
父「椅子に座ると圧迫されるお尻の部分をなでてやるんだ。歳を取ったり、腰が痛くなるとだらしなく座って、尻尾の部分を圧迫する座り方をするんだ。体の筋肉が減ってくると、そういう座り方の方が楽なんだよね。だから、お尻のわれめにそって尻尾の部分もなでてやるんだ」
❃
『お尻をなでる行法』
排便の後、下着の上からやるといいです。
ジャージの上くらいならできますが、ジーパンの上では生地が厚いので、少し無理があります。
①直立して立ち、足を肩幅に開きます。
②左手を左のお尻にあて、上下になでます。
お尻の下から真ん中、真ん中から尾骨までと2つに分けてなでます。
お尻の骨(座骨)を意識して、骨を包み込むようになでます。
左側が終わったら右側もやりましょう。
椅子に座って圧迫されていたお尻の部分をなでます。時間にすると1分くらいです。
慣れると横になってもできます。
『柱を支ささえながら肛門を押す方法』
①直立して立ち、足を肩幅に開きます。
右手を柱に付けて体が倒れないように支えます。
➁左手で肛門の左側を押さえます。
この時、左足を床から浮かせて肛門を開き指で押しやすくします。
肛門の状況により左足ではなく右足を床から浮かせた方がいい場合もあります。
30秒から1分程度を目安に肛門を押し込めるようにやりましょう。
左手が終わったら右手で右側の肛門を押します。
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