(49)迷い
~シヴァ目線~
サーヤと眠ることになった俺は、うめき声を聞いて目が覚めてしまった。
うめき声は、隣で眠っているサーヤから聞こえた。
サーヤの方を見れば、彼女は眉間にしわを寄せ真っ青で脂汗が流れていた。
「魘されているのか…………どうするべきだ?」
起こすか、そのままにしておくべきか。
いや、魘されているのであれば起こすべきだろう。
だが__
俺は、健康診断を終えた後のジョゼフの言葉を思い出していた。
「彼女の健康状態は、はっきり言って悪い」
「必要な栄養も足りていないし、睡眠も足りていない。体も痩せていて、必要な分の脂肪もない。こんな状態で、睡眠時間も少ない。よく今までまともな思考で動けていたね、としか言えないね」
「とにかく、この子に必要なのは不足している栄養と睡眠の確保だ。だからと言って、無理にとらせることは必要ない。栄養バランスがしっかりとした食事を一日三食しっかりと食べて、決めた時間に就寝させればおのずと回復できるはずだよ」
確か、ジョゼフの説明では睡眠不足もだめだが取りすぎもダメ。
サーヤの状態は、睡眠不足。
睡眠不足は続けば、精神や身体にも悪影響を及ぼす。
だからと言って、ずっと眠っていれば変な癖がついてしまう。
今、起こせば悪夢から覚めることはできる。
だが、変な癖がつく可能性もある。
俺は、ジョゼフのように専門家ではない。
できることは、応急処置程度だ。
…………もう少し、詳しくジョゼフから対処法を聞いておけばよかったな。
「…………どうするべきなんだ?」
起こすか、起こさないか。
だが、ずっと魘されたままなのはよくない。
もし、それでサーヤが眠るのを恐れて睡眠を拒んだら?
それこそ、目も当てられない。
思い出せ。
俺は幼少期、親父にどうされていた?
俺だって、親父に引き取られたばかりの時は悪夢にうなされた。
でも、親父と一緒に眠るようになってからは魘されることはいつの間にかなくなっていた。
どうしてだ?
思い出せ。
もしかしたら、親父のように実行すれば悪夢の中のサーヤを救い出せるかもしれない。
思い出せ、思い出せ。
思い出そうと考えていると、細かい振動を感じた。
サーヤの方を見れば、まるで何かから身を守るように足を抱え込んでまるまり震えていた。
寒いのだろうか?
…………寒さ?
思い出した!!
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