第85話:――悪夢
「お父さまお帰りなさい!」
「ただいま」
愛する娘を抱きかかえ、
「お帰りなさい、あなた」
「ああ」
出迎えてくれた女房に笑顔を向けるシャクス。すぐさまヴィネが誇らしげに従騎士に任ぜられる旨を母親へ伝えていた。其処で動じることなく笑顔で喜ぶ振りをする女房の機転に感謝する。彼女が本心でそれを喜ぶわけがないから。
自分たちの世代は嫌でも知っている。
戦争の悲惨さを。その果てにある虚無を。
「……また戦争が起きますか?」
子どもたちを寝かしつけた後、当然のように父と母は向かい合う。
「そうするつもりはない。少しばかり注視する必要性が出てきただけだ。二十年経ったが未だに傷も癒えていない。戦争したい者などいないさ」
「なら、わざわざあの子たちを急いで従騎士にする必要なんて――」
「住めなくなった土地も多いが、それ以上に国土が広がってしまった。かなり上の世代も穴埋めに駆り出されている。それでも足りないのだ。元は他国とは言え、今は立派な我が国の同胞だ。扱いに差をつけるわけにはいかない」
「……」
納得は出来ない。したくない。その気持ちはシャクスにも痛いほどわかる。本心を言えばきちんと育て上げてから巣立たせたい。
自分たちの世代はそう出来なかったから。
だからこそ――
「大丈夫だ。何かあれば兄上もすぐに動く。イドゥン殿も、それこそ陛下も黙ってはおらんよ。ウトガルド最強の『獅子王』の名は伊達ではない」
「そうですね。戦争終結の英雄、最強の神術の使い手ですものね」
「それに私もいる。その三名に勝るとも劣らぬ、な」
「あら、この前の御前試合、若手に後れを取ったのはどちらさまでしたかね」
「ぐぬ。あ、あれはその、油断していたと言うか、胸を貸していたらつい、上手いことやられてしまったと言うか」
「言い訳は騎士らしくありませんよ」
「……面目次第もない」
イドゥン派の第二位、戦争を知らぬ世代の騎士であるが、『神炎』のイドゥンがその座に据えるほどの急成長を見せていた。正直、当時はまだまだ青いと格下に見えていたし、実際に序盤は圧倒していたつもりであったが――
「若者の伸びは凄い。次も敗れる気はさらさらないが、それでも素直に嬉しく思う。新たな時代の騎士が育ち、熟し始めていることが」
「そろそろお役御免ですか?」
「さすがにまだ早い。むしろ今の私や兄上、イドゥン殿は最盛期だ。次の御前試合を見ておれ。本気の『人剣』を見せてくれよう」
「ふふ、頼みますよ。私はともかく、あの子たちは凄くショックを受けていましたから。父上が負けるはずがない、って」
「……兄上やイドゥン殿にはよく負けているがな」
「そのお二人は特別でしょう? 誰にとっても」
「まあな。ただ、そうだな。其処まで思ってくれていたのなら……抜かれまいとするのではなく、あの二人を追い抜く気概で修練するとしよう」
「休養日の料理番はお忘れなく」
「……もちろんだ」
平和のせいで少しばかり錆び付いてしまったか。普段ヴィネは伯父であるサブラグばかりを褒め称えるため、ちょっぴり拗ねていたのだがそういう一面があるのなら頑張ることも出来る。天才である兄を越えるのは幼少からの夢。
息子が応援してくれるなら今一度向き合うのも悪くない。これでサブラグの方を応援されたら、心がぽっきり折れてしまうかもしれないが。
「このまま、この平和が続くことを祈ろう」
「ええ」
子どもたちが大人になるまで。大人になった子どもたちが子供を産み、育み、その子が大人となるまで。その連なりが続く限り平和であって欲しい。
人の世界、争いは絶えない。
それでも彼らはそう願った。
○
「拗ねるな、シャクス」
「拗ねておりません」
あれからひと月ほど経ち、シャクスは自宅で一人料理をしていた。現在、この家にはシャクスのみが住んでいる。サブラグは弟の様子を見に来たのだ。
単身となった哀れにも孤独を噛みしめる弟の姿を。
「仕方ない。誰でも息子は可愛い」
「……可愛い子には旅をさせろ、と廻廊より伝わった英知もあります」
「はっはっは。旅をしているじゃないか。家族三人仲良く」
「……そんなもの旅ではありませぬ。まったく、あいつはすぐに甘やかすのです。せめてセーレぐらいは残ってもよかっただろうに」
「くく、ぶつくさ言うな」
ヴィネの配属先が決まり、涙の別れとなるはずだったのだが、丁度配属先の借家が何人か住めることを知った女房は迷わず息子と行くことを決めた。シャクスが「ちょ、待てよ」と抗弁するが聞き入れられず、現在は逆単身赴任と化していた。
「……はいどうぞ。粗末なもので申し訳ありませんがね」
兄が座る机に色んなものをゴロゴロとぶち込み煮込んだシチュー、のようなものがなみなみと盛られた皿をでん、と置く。
「はは。相変わらず見た目が悪いな。だが、これが美味いんだ。陛下やイドゥンも懐かしがっていたぞ、シャクスの男料理を」
「女房の方が美味い飯を作りますがね。今はいませんが」
「我が弟ながら女々しい。それにしても……嗚呼、戦場を思い出す味だ。これで腹を満たし、大暴れする。懐かしい」
「私は早く忘れ去りたいものですが」
「そうだな。だが、俺たちの青春は戦場と共に在った。思い出は戦いのことばかり。この前も最後は戦場の思い出話になった。どうしても、そうなる」
幼少から戦場に投入された。今の王もイドゥンも、シャクスとて似たようなもの。優れた力を持つ者をゆっくり育てる時間はない。戦場で、実戦で研磨していく。長く戦場にいた。それが日常であった。
時折、平和に在って体が勝手に臨戦態勢を取ることも、ある。
「……廻廊より現れた人に関しては?」
「秘密裏に廻廊へ帰した。いくばくかの食料と友好の証として多少の金品を持たせてな。相変わらず言葉は通じなかったそうだが、喜んでいたと聞いている。まあ悪い対応ではあるまいよ」
「そうですか」
シャクスはぱぁっと表情を明るくする。
「油断するなよ。今はまだ、何があるかはわからん。あくまで第一段階、だ。これから少しずつ交流が始まる。間違えれば戦争、充分あり得る話だ」
「……ですな」
「腕を磨いておけ。それを使わぬことを祈りながら、な」
「イエス・マスター」
戦場を懐かしむ心はある。だが、だからと言ってあの頃に戻りたいとは思わない。大勢友を失った。兄らは愛する者も失った。
その喪失が、傷がある限り、自分たちがそれを望むことはない。
「では、自分は寺院へ行きます。十三の歳の者たちを見送らねばならぬので」
「ああ、わかった。おっと、忘れるところだった。姫様がお前に剣を教えて欲しいそうだ。イシュトリヤは向いておらぬとよ」
「あの娘は神官出ですからな。それにしても姫様もいっぱしの口を利くようになりましたな。どれどれ、一丁ガツンと揉んで差し上げましょう」
「あまりやり過ぎるなよ。陛下の一人娘だ。泣かせでもしたら殺されかねん。怒り狂った『獅子王』を止めるのは……三人がかりでも骨が折れる」
「あはは、わかっておりますとも。だが、イドゥン殿やイシュトリヤに頼まぬと言うことはそれなりの厳しさを求めてのことでしょう。万事お任せください」
「……不安だ」
不安は的中。他の子どもたち同様きっちり吐くまで厳しく接し、半泣きの姿を王が見て激怒。その後、サブラグ、イドゥン、シャクスの三人がかりで止める一幕があった。怒りを抑えた頃にはけろりとしていた姫を見て、ボロボロの三名の騎士たちは皆、彼女は将来大物になる、と思ったそうな。
そんな日々が突如、終わりを告げる。
○
その報せは突然、王都へ舞い込んできた。
「複数の廻廊より異世界の者が多数出現、各地の集落を襲撃したとのことです!」
「……は?」
誰もがその報せに絶句する。言葉の通じぬ相手、どのように交流すべきかを皆で相談し合っていた。相手の出方を窺い、上手く手を繋げたら――そんな思いは露と消える。何故、誰もがそう思った。自分たちは何もしていない。
礼節をもって接した。
道理を伴い帰した。
その結果が襲撃、であった。
「……イドゥン」
サブラグが視線を送る。『神炎』の騎士と謳われた男は顔を歪め、
「……おそらく、調査に向かった者たちも」
小さく横に首を振った。
「これではっきりしましたな、陛下。何故かはわかりませんが廻廊の大半は今、今回現れた連中の世界と繋がってしまったようです。そして彼らは我らの敵と成った」
「その考えは早計だ、サブラグ」
「また食料を持たせ、金品を握らせて帰すか? 殺し、奪いに来た連中に? 笑わせるなよ、イドゥン。民を守るのが俺たち騎士の使命だ」
「それは……そうだが」
イドゥンが揺れ動くのもわかる。サブラグとて今のウトガルドの状況で戦などしたくはない。せめて相手の戦力を理解し、勝てる目算がなければ。
ただでさえ疲弊しているのだ。この世界は。
「陛下、時は一刻を争います。ご決断を」
「……情報が出揃うまでは各自専守防衛に努めよ、と伝えよ。民の命が危険にさらされている場合に限り、現場判断で相手を討っても構わぬ」
「御意」
ここにいる騎士は少ない。すでに大半は各地に散り、警戒の任に当たっている。本来王女付きのイシュトリヤですら辺境へ派遣されているのだ。
だが、それでもウトガルドは広過ぎた。
「神官長、すぐに各地へ王の命を伝達せよ」
「イエス・マスター」
イドゥンが神官たちにやるべきことを指し示す。神術を用いウトガルド中の騎士たちの命令を飛ばす。多少大掛かりな術式が必要だが、準備には半日もかからないだろう。出来るだけ早く、騎士たちの迷いを晴らさねばならない。
判断に迷いが生じれば、腕の立つ者でも万が一はあり得る。
それでなくとも相手の戦力がわからない状況なのだ。
「……せめて言葉が通じれば」
「言葉が通じたところで道理を弁えた連中とは限らないがな」
「それでも理由を知ることが出来る。何故戦うのか……それだけでもわかったら」
「……そうだな」
イドゥンとサブラグは明日を憂う。
○
「何だ、これは」
シャクスは呆然とその光景を見つめていた。村が襲われている。一人一人は大した相手ではない。だが、数が多い。その上躊躇いなく殺し、奪っていく。
相手は騎士でも戦士でもない。ただの民間人だと言うのに。
非武装の者たちが襲われていた。
「何だこれはァ!」
シャクスは怒りに支配されかけながらも、ギリギリのところで自らを律し村を襲う異世界の者たちの前に立ちふさがった。
『■■■?』
『■■■■■!』
何を言っているのかはわからない。わからないが、どうやらやる気のようであった。ただの剣や槍を持って、騎士であるシャクスへ向かって来る。
神術の気配もない。あるのは薄い魔力のみ。
「剣よ、圧倒せよ!」
まともな戦闘にはならなかった。シャクスが軽く本気を出し、大地より剣を浴びせかけたら一瞬で戦意を喪失する。弱い、あまりにも弱過ぎる。
『■■■!』
必死に命乞いする者たちを見て、シャクスは怒りに震えていた。人の世界に土足で入り込み、散々非武装の民を荒らし回って、自らよりも強い戦力が現れたなら恥も外聞もなく命乞いをする。狂戦士ならばまだわかる。
そういう者たちが集う国もかつてはウトガルドにあった。
だが、彼らは違う。戦いに来たのではない。このありさまを見るに、奪いに来たのだ。このウトガルドから食料を、金品を。
恩を仇で返しに来た。
「去れ!」
ジェスチャーを交え、消え失せろと命ずる。小賢しい彼らはすぐにそれを理解し、何も持たずに去って行った。
残ったのは――
「ありがとうございます、騎士様」
「……いや、遅過ぎた」
荒らされた村と多くの人命。
「すまぬが他も行かねばならぬ。皆は一時的に村を放棄し、廻廊が発生しやすい龍脈上は避け避難するように」
「ははっ!」
シャクスは次の目的地へ向かう。出来れば今すぐに息子のいる場所へ向かいたい。だが、騎士の責務がある。ウトガルドの民は生活にも神術を行使する点から、龍脈上に居を構えることが多い。そして廻廊もまた多くは其処に発生する。
かつて、廻廊はむしろ神からの贈り物として喜ばれた。英知が記された書物からウトガルドは言語を得たし、農業に関する知識なども廻廊から得たものも少なくない。それが今、ウトガルドの民に牙を剥いているのだ。
「無事でいてくれッ」
掌に血が滲むほどに握り締めながら、シャクスは神官より届いた情報をもとに次の地点へ向かう。出来るだけ早く片を付ける。
そして民も、家族も、守る。
異世界の者の力はまちまちであった。自分たちほどに強い者はいなかったが、中には其処らの従騎士、準騎士ぐらいなら渡り合える者もいた。
つまり、
「申し訳ありません、先生。自分の弱さが、この子たちを」
「仕方がない。これは戦場だ。だから泣くな我が弟子よ」
場合によっては若き騎士、本来はまだ卵であった者たちが命を落としていたこともあった。その多くはシャクスの教え子ばかりである。
「生き残ったのなら、また立ち上がれる。死した者たちの分もな」
「イエス・マスター」
泣きながら返事をする生き残りの生徒の頭を撫で、シャクスはさらに急ぐ。
彼は多くを救った。間に合わず救えなかったことも少なくない。廻廊より現れる敵の質次第。従騎士や準騎士たちだけで勝ち切ったところも全然ある。
運次第。望みはある。
「ギムレ―!」
「マスター・シャクス。こちらは自分がやります」
「……すまぬ。恩に着る!」
「ヴィネ君は優秀です。貴方とサブラグ殿の血を継いでいるのですから。きっと無事かと思いますが……心細いでしょうから顔を見せてあげてください」
「……ああ!」
仲間が自分の担当範囲も網羅してくれた。誰もが今、死に物狂いで突然の敵意に対応している。何故こうなった。どうして奪いに来るのだ。
そんなことばかりを考えながら。
そして、
「……蒼い炎、はは、マスター・ムスペルか。よかった、間に合っていたか」
ヴィネたちがいるはずの地へようやくシャクスは到達する。この頃には本国より神官から飛ばされた情報は混線し、まともに連絡網は機能していなかった。
あまりにも知らせるべき情報が多過ぎたから。
だから、
「すまぬ! 恩に着るぞ、マスター・ムスペル!」
「……マスター・シャクス」
シャクスは知らなかった。
「おお、マスター・イシュトリヤも一緒か。それにしても人の気配が少ないな。皆はすでに避難させているのか?」
今回の廻廊発生が二度目であることを。
すでに一度目に――
「聞いてください。マスター・シャクス」
「……どうしたのだ、そんな神妙な顔で。いつもの飄々とした顔つきはどうした? この私を倒した者とは思えぬぞ」
「自分は、自分たちは間に合わなかったのです」
「……何を馬鹿な。今、現に守っていたではないか。遠目から卿の炎が見えたぞ。相変わらず素晴らしい神術だ」
「これは二度目です。そして、僕らは避難などさせていません。避難するまでもない。だって今、この館にいる者たち以外、全員が……」
若き天才が悔しげに声を震わせる。彼のそんな姿をシャクスは見たことがなかった。常にイドゥンの隣で戦も知らぬ小僧が偉そうに胸を張っている。
そんな姿しか――
「……この地を守っていた者たちは?」
「……こちらです」
ムスペルらに案内された部屋には三名の遺体が寝かされていた。三名ともシャクスは知っている。自分が手塩にかけて育てた。
見間違えるはずはない。
それに一人は、
「……お、おお、おおお!」
実の息子であったのだから。
「勇敢に戦ったのだと思います。僕が到着した時には敵も疲弊していましたから。それなりの強さでした。怒りのあまり、残っていた者は全員焼いてしまいましたが」
大事な生徒たち。その中でも一番大事な息子、ヴィネが眠っていた。
穏やかな表情で、されどその身体には――
「……イシュトリヤか」
「はい。あまりにも惨い状態でしたので、せめて形だけでも、と思い」
実戦を経験していない若き彼女は泣いていた。それもそうだろう。四肢を継ぎ接ぎした痕、その修復の様子を見ればわかる。
ただ殺されたのではなく、蹂躙され弄ばれたのだと。
「苦戦を強いた相手に敬意を示すでもなく、苛立ちを死体にぶつける、か。くく、そうか、それが彼らの流儀か。なるほど、わかりやすくてありがたい」
シャクスの貌は怒りに歪んでいた。息子は騎士である。未熟でもそうなった以上、戦死する可能性はあった。それだけならば許せた。
だが、この死体からは醜い悪意しか感じられない。
敬意を、礼節を、何一つ感じない。
「……ムスペル、最後に一つだけ聞いてもよいか?」
「……はい」
「私の女房や娘は、何処にいる?」
「……生存者はここにいる者たちだけです。そして、女たちは皆、廻廊の奥へ連れ去らわれたと、生き残った者から聞きました」
「……そうか」
騎士として生きてきた。ウトガルドの戦場は悲惨だったが、戦う者にはリスペクトがあった。なるべく民間人には手を出さないと言う不文律もあった。
戦場は何でもありの場所ではない。
戦場には戦場の規範がある。
だが、どうやら彼らの世界にはそんなもの存在しないらしい。
「そうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかァ!」
理解出来ない。理解したくない。
「マスター・シャクス、お気を確かに」
「確かだとも、マスター・イシュトリヤ。私は彼らを理解した。規範なき戦士などケダモノ同然。敬意を払う価値もない。同じ生き物だとはもう思わぬ!」
怒りが心を焼く。憎しみが魂を覆い尽くす。
この日、『人剣』のシャクスは死んだ。残ったのは怒りにまみれ、のちに判明するミズガルズと言う世界から来たケダモノを駆逐することだけに執念を燃やす復讐者が誕生した。魔障が彼らを魔族へ落とす前に、彼は魔道へ落ちていた。
「許さぬぞ! 永遠にッ!」
怒りが彼から騎士道を、規範を奪った。
その怒りは――千年続いた。
○
久しく忘れていた。
こうして人に教えると言う感覚を。いつぶりであろうか、よく覚えていない。未だに怒りは消えない。永遠に残り続けるのだろう。
それでも今は不思議と、それを向ける気にはなれなかった。
目の前には、
『■■■!』
『■ッ!』
自分が教え導くべき騎士の卵たちがいる。若く未熟、粗だらけの者たちが必死に、命乞いをすることなく圧倒的な己と言う存在へ立ち向かう。
素晴らしい。自らを律し、勇気を持たねば出来ぬことである。
騎士の資質に溢れている。
だから、
「さあ、踏み込め」
『人剣』のシャクスは今一度、全力で向き合うと決めた。
如何なる血が混じろうとも関係がない。
其処に騎士に成らんとする者がいる。ならば、叩き打ち鍛えるのが己の騎士道であった。忘れていた自分の道を今一度歩む。
(残り僅かな時だけだ。だから……許せ、皆よ)
珠玉の剣が今、甦る。
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