第11話 お局小説を読んだり

 鍋を食べてしばらくすると、あおいは風呂に入りに行った。

 

 少し前、携帯に何か通知がきていたな。携帯を確認する。


「フォローしている小説が更新されました」


 おつぼねぷりんだ。


 今日はプリン小説は読みたくない……。

 そう思いながらスクロールしていくと、更新は、お局小説のほうだった。


 ほっとしてサイトを開く。

 お局小説が、二日連続で更新されていた。


 マサコ、安定の変態だな。

 爪楊枝プレイか。気持ちいい……のか、コレ?

 ペン立てからシャーペンを引っこ抜いて、芯で自分の指を、つくんと刺してみた。触れるか触れないかぐらい? うん、くすぐったい。


 うーん。全然、わかんないわ。本気でわからん!


 リビングにいけば食器棚に爪楊枝入っているけど、シャーペンと一緒だろう。


 おつぼねぷりんのフェチズムを、全部理解できるわけでもないんだな。

 まぁ、他人だからな。そりゃそうか。


 ああ、でも、シャーペンとかボールペンより、爪楊枝のほうが短いから、体の距離が? 近い、的な? そういう、なんかなのかな?


 あおいが、わたしの身体に爪楊枝で触れようとするのを、想像してみる。

 息が触れるほどの距離で、わたしの膝に乗りながら――。

 いや、近い! 近いし! 確かに近い、シャーペンじゃなきゃ冷静を保てないから!


 近すぎるあおいの顔がちらついて、呼吸音まで聞こえる気がして、わたしの顔がアルコール濃度の高い酒でも食らったように熱くなった。


 やっべ。おつぼねぷりん。こっわ!


 ここに、わたしより一枚上手の変態がいるわ。わたしはまだまだ、大丈夫。


 こうやってわたしは、おつぼねぷりんから、微妙な変態要素を植え付けられていくのか。何かから影響されたと言われたくない、と思っていたけど、影響されはじめてるかな。

 おつぼねぷりん、恐るべし。


 読んだら、少しだけ元気になっていた。

 

 わたしは、あおいにLIMEでメッセージを入れておいた。

 鍋おいしかった。ごめん。さっきはありがとう。

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