第65話 鋼の剣はすごい剣? メタルの剣はもっとすごい剣?

 光り輝くその宝箱を開ける剣也。

そして中には、一振りの剣。


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装備説明 

・メタルスライムの剣Lv1(Lvによる上昇+100)

 Bランク レア度★★★

能力

・攻撃力+1000

・防御力+500

・素早さ+500

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「メタルスライムの剣…すごいな、攻撃力に加えて素早さ、防御力も上昇するのか…」


 まるで某有名ゲームに出てくる剣のような名前だが、破格の性能のようだ。

攻撃力の上昇率に関しては、斬破刀と大差ないが十分な装備と言える。


「ついに倒しましたね、あの腹立たしいスライムを」

「2時間ぐらい? とりあえずゲートも見つけたし今日は帰る?」


 まったり観戦していた美鈴とレイナが立ち上がり帰宅を提案する。


「そうだね、今日はもう帰ろうか、一階層だけだったけど結構Cランク装備も集まったし」


 そして剣也達は来た道を引き返し、20階層へのゲートへ戻る。

途中も魔物に襲われながらだが問題なく進む。

ダンジョンでは、20階層から帰るか、30階層から帰るかしかないので中途半端に進むと帰りが辛くなる。


 その日剣也達は早々とダンジョンを退散する。


「剣也君、スライム倒したの!?」


 愛さんに今日の報告をする剣也達。


「はい、めちゃくちゃ強かったというか速くて硬かったです。それに腹立たしい奴でしたよ」


「はは、探索者をおちょくるだけおちょくって逃げると言われてるからね、この分だと明日30階層攻略しちゃうのかな?」


「そうですね! 明日は早めにダンジョンに向かう予定なので30階層を目指そうと思います!」


「どんどん進んじゃうね。これは宵の明星含むトップギルドの一員も見えてきたかな?」


「がんばります!」


 報告を済ませた剣也達が向かうのは兵士シリーズの山の倉庫。

今日はそこで、報酬の分配や、装備を整えることにする。

もともとは田中さんからの騎士シリーズの錬金依頼は家に輸送してもらう予定だったのだが、この倉庫でいいんじゃないか? ということになりここになった。


「じゃあ、今日はみんなの装備を整えようと思います! 特にレイナ! ダンジョンの中にはイレギュラーがいてレイナですら太刀打ちできない相手がいる場合もあると分かったので」


 あの鋼スライムは煽ってくるだけだったが、攻撃してくるようだったら悲惨だ。

まぁ逃げ特化なのであの性能なのだろうけど。


「二度とあんな無様な姿は…」


「はは、まぁあれは特殊過ぎたけどね。まずは、装備品を広げようか…」


「了解!」


 そして美鈴のアイテムボックスから次々と錬金の種含む装備品達が広げられる。


「ほとんどは錬金の種にしちゃったけど、結構あるな」


 内訳はこうだ。


・Dランクの錬金の種22個

・Cランクの錬金の種5個

・白熊の毛鎧Lv1 Cランク レア度★1

・巨大蜘蛛の革靴Lv1 Dランク


「じゃあ、Dランクは5万円、Cランクは50万円として換算するね。等分でいいよね? レイナ、美鈴」


 それが大体の相場なのでその換算にする。


「問題ありません」「いいの? 私横にいただけだけど…」


「等しく命を懸けてるんだから問題ない、それに美鈴のアイテムボックスがないとこれだけの装備は持って帰れないしね」


「先輩…」


 その結果、22*5万円=110万円と6*50万円=300万円なので410万の稼ぎとなった。

3人で分割するので、約140万円ずつとなる。


「じゃあ、欲しいものがあれば渡すけど二人ともいらないよね? 錬金の種だし。お金にするね?」


「ひゃ、百万…ほんとにいいんですか?」

「私は問題ありません、特に使い道もないですが」


「給料としてだから税金が発生するらしいけどね。その辺は奈々に聞いて」


 給料の支払いなどは全て奈々に任せてある。

120万円の支払いとなると贈与税などもかかるため簡単に渡せない。

給料として法人から払う場合は、所得税、厚生年金、国民健康保険etc


 いやになっちゃうね、ほんと。


「やったー! これで化粧品も買えるし、美容院にも行けるし、ネイルも新調できる。欲しい服もあるし、下着も変えたいし。あーもう! 楽しみ!」


 美鈴がとてもうれしそうにしているが、願望が全部俗っぽいな。

とはいえ、美鈴も貯金が底をついてきたようで最近はおとなしくしていたが、やはりストレスが溜まっているんだろう。


「それとレイナ、あの剣はもってきた?」


「はい、美鈴のアイテムボックスの中においてもらってます」


「あーあの剣ね、ちょっとまってねー」


 空間に手を入れてごそごそと、そして取り出された古びた剣。

刃はこぼれ、所々錆びてすらいるその剣は武器にはならなさそうだ。


 そして剣也は目を凝らす。


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装備説明 

・まだ名もない古びた剣Lv1(Lvによる変化なし)

 Bランク レア度★★★★

能力

・攻撃力+1

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「これは…」


 装備を見た剣也は絶句する。

Bランク装備なのに、攻撃力+1という明らかに壊れている装備。


「とりあえず進化させてみるか? レア度的にはとても高いので期待はしていいはずなんだが…」


 剣也は思案する。

今日進化させたいアイテムは、以下の通り。


 一つ目、まだ名もない古びた剣Lv1 Bランク ★4

 二つ目、メタルスライムの剣Lv1 Bランク ★3

 三つ目、巨大蜘蛛の革靴Lv1 Dランク

 四つ目、白熊の毛皮小手Lv1 Cランク ★1


「これは、また地獄が始まる感じかな~」


「剣也君またお泊りですか?」


「いや、今週学校終わりに錬金することにするよ。だから明日の攻略は待って土曜にしようか、多分2,3日かかると思うから」


「そうですか、了解しました」


「二人は先に帰っててくれる? あ、できればお遣い頼んでもいいかな? 新訳ラグナロクを借りてきてほしいんだ。あとDVDプレーヤー」


「りょ! 何時ごろ帰ってくるの? 先輩」


「うーん、夕飯はここで簡単に食べてだから9時ごろかな。そっから映画見よっか」


「はーい」


 時刻は18時ごろ。

3時間ほど錬金を繰り返す予定だ。

多分一日で一つの装備を進化できるぐらいだろう。


「では、先に失礼しますね。お疲れさまでした」


「はーい、お遣いお願いねー」


 そして剣也は錬金を始める。


「まずは、白熊の毛皮小手から錬金するか、帝装備よりも優秀ならそのまま使うし、それほどでもないなら錬金の種にすればいいしな」


 剣也は兵士シリーズの段ボールをもってきて錬金を始める。

Dランクの騎士シリーズを18個作り、Dランクの錬金の種22個と合わせて、Cランクの王シリーズを4個作る。

蘇る記憶で、過呼吸になりそうになるがこの程度ならまだ問題ない。


 Cランクの錬金の種5個と合わせて、合計9個のCランクの錬金の種ができた。


 そして錬金を開始する。


 レベルアップ♪ 白熊の毛皮小手Lv2

 レベルアップ♪ 白熊の毛皮小手Lv3

     ・

     ・

 レベルアップ♪ 白熊の毛皮小手Lv9

 

 進化♪ 銀熊の毛皮小手Lv1


(へぇ~。白熊から銀熊の装備か。上位種ということになるのかな?)


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装備説明 

・銀熊の毛皮小手Lv1(Lvによる攻撃力+100)

 Bランク レア度★

能力

・攻撃力+500

・温度耐性 弱

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「おぉ! Bランク装備からは特殊な能力がつくことが多いな。 温度耐性? とりあえずつけてみるか」


 剣也は帝の小手を外し、銀熊の毛皮小手を装備した。

すると感覚的だがわかる。

今は初夏とはいえ、気温は30度近い猛暑だ。


 しかし全く暑いと感じなくなる。

温度耐性ということは、ある程度の気温を無効化するという装備なのだろう。

弱ということは、例えば火に触れたら熱いと感じるように温度の強さによっては無効化できないのだろう。

ただの推測だが。


「うん! これはすごい良いものだ! 帝装備は美鈴にあげてこれから僕はこれを使おう」


 大体剣也のおさがりは全て美鈴とレイナに渡すことにしている。

リサイクルだ仕方ない、それに帝装備なんて億超えるのだから感謝こそされおさがりを怒られたりはしない。


「よし、じゃあ次は蜘蛛の装備を強化しようか。階層ボスの装備だから期待できるかな?」


 Dランク装備の蜘蛛の足装備を強化する。

今日はこの装備を強化して終わろうと思う。

そもそもBランクにすら行けない装備かもしれないので。


 進化♪ 巨大蜘蛛の糸靴Lv1


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装備説明 

・巨大蜘蛛の糸靴Lv1(Lvによる攻撃力+10)

 Cランク レア度★★

能力

・素早さ+100

・あらゆるものにより強く吸着することができる靴

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「うーん、そんなに強くなさそうだな。一応Aまでは進化できそうだしやっておくか?」


 同じようにCランクの錬金の種を兵士シリーズから作成する。

時刻はすでに8時を超えているのでこれが今日の錬金の最後だ。


  レベルアップ♪ そして 進化♪

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