第11話 ダンジョン周回とCランク装備

あれから一月がたった。


 いまだ佐藤は、学校で合うと僕をからかう。

歯向かうと殴られるので、僕は耐えるしかなかった。


 貧乏生活もましになったとはいえ、いまだ米を食えない生活が続いている。

僕が強くなることを優先しているためなのだが、いまだ余裕はできていない。


 それに母さんの容態も悪化しているようだ。

毎日のように、奈々がお見舞いに行ってくれているが、日に日に元気もなくなっている。


 だからもっと稼がなくては。

治療費を稼ぎ、いつか伝説級のAランク装備『治癒の腕輪』を借りることができれば…。

しかし相当な金額がかかるらしい。


 なんせ順番待ちで、僕達のような貧乏人には回ってこないからだ。

いつだって資本主義の世界は、金を持っているやつがずっと勝ち続けるのだから。


 土日で、兵士の腕輪を集めに集め、毎日錬金する。

日に10回なので、一日で騎士シリーズが最低一つできる。

十日で、騎士シリーズが10個、そして40日でそれぞれの騎士シリーズが40個できていた。


 そして今日いよいよ、ダンジョンポイントが1000に達する。


「よし、いよいよだ」


 剣也はそのダンジョンの中ボスの部屋でステータスを開き、ダンジョンポイントをすべて錬金スキルに割り振る。


『スキルレベルアップ♪』

『錬金可能ランクがCランクになりました』

『知力が日に行える錬金回数に反映されます(10に付き+1回)』


「よし! 想定通りだ、それに知力? 何に使うんだと思っていたけど、錬金回数が増えるのか! これはありがたい!」


 このレベルアップで、Cランクまで錬金でき、DからCへの進化もできるようになった。

Cランクの装備は一つもないため、錬金を試すことはできないが。

それに知力10につき、錬金回数が一回増えるみたいだ、日の錬金回数10回がネックだった僕にとってはとてもありがたいレベルアップだ。


 そしていよいよ、お待ちかねの進化の時間。

剣也は、9レベルの騎士シリーズ4種類と鋼の剣を広げる。


「騎士シリーズの上は、もしかしたらあれだよな、多分あれだよな?」


 200万近くの値段で売られているあのシリーズ。

その装備は、確実に装備者を人ならざる者に変える。


 兵士や騎士シリーズのように、マッチョといい勝負程度ではない力を得るそのシリーズ。

そして僕は高鳴る鼓動と、はやる気持ちを抑え込み、スキルを発動する。


「錬金!」


 そして淡い光に包まれて、最高レベルの騎士の兜と最低レベルの騎士の兜が光り輝く。

その光は一つに混ざりあう。


 光が収まったかと思ったら現れたのは、荘厳な装飾をされた兜。

その名も。


 『王の兜』


 だった。


「よっしゃぁぁぁぁ!!」


 予想通りとはいえ、期待通りだ。

王シリーズとして、海外のセレブ達にも人気のこのシリーズ。

末端価格は300万円を超える場合もある。


 確実に金持ちか、一流冒険者達しか装備できないこのシリーズ。

あの佐藤もすべて揃えていたこのシリーズを僕は手にすることができた。

そして王の兜を装備し、錬金回数を上げる。


 そして残りの騎士シリーズも同様に進化させる。


 進化♪ 王の小手Lv1

 進化♪ 王の具足Lv1

 進化♪ 王の胸当てLv1


 まだ錬金回数は残っているようだ。

なので、最後に鋼の剣を進化させる。


「Cランクの武器、鋼の剣。これは何になるんだろう…」


 二本の剣を広げて、剣也は唱える。


「錬金!」


 そして淡い光に包まれて、混ざりあう。

現れたのは、刀?

 

 鈍く光る日本刀。

先ほどの武骨な鋼の剣とは打って変わっての美しく綺麗な刀身は、芸術品を思わせる。


「鋼の剣の上は、日本刀なのか?」


 ちなみに自分の所有している装備を見つめると能力が表示される。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

装備説明

・日本刀 Cランク レア度★

攻撃力を+200する。(Lvに応じて+10)


・王シリーズ Cランク レア度★

能力を+100する。(Lvに応じて+10)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 そして剣也は、すべてを装備する。

そして唱えたのは、もちろん。


「ステータス!」


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

名前:御剣剣也

DP:0pt

職業:錬金術師

・錬金Lv11:次のレベルまで一万pt

(ランクCの武器を日に10回錬金できる:知力10に付き+1回)


◆装備品

武器:【日本刀Lv1】

頭 :【王の兜Lv1】

胴 :【王の胸当てLv1】

手 :【王の小手Lv1】

足 :【王の具足Lv1】

アクセサリー:【なし】


◆ステータス

攻撃力:0(+300)

防御力:0(+100)

素早さ:0(+100)

知 力:0(+100)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


「すげぇ…」


 剣也は、体からみなぎるその力が今までのものとは格段に違うことを実感していた。

すでにその力は、人の枠を超えている。

世界一のマッチョでも剣也にはかなわないかもしれない。

それほどの力がこの腕輪にはある。

 

 それはまさしく、王の力だった。


 そしてレア度。

これはCランク武器から与えられる装備のレア度を表す。

王シリーズ、日本刀どちらもレア度は★一つのようだ。


 このレア度が何を表すのかは、よくわかっていない。

単にレアかどうかを表しているんだろうか。

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