潜降39m 奮発!500円。

「桃、あけましておめでとう。今年もよろしくお願いします」

「あけましておめでとうございます。こちらこそよろしくお願いします」


お母さんと新年の挨拶するのは久しぶりだった。


私は実家でゆっくりと心を休ませると、元旦の夕方には実家を後にした。


帰り際に見た庭が心なしか以前よりも整理整頓されている気がしたのは、私の心の整理がついたから??


「お母さん、この棚は? 」

「うん、ちょっとね.. 」


酒折駅まで見送ってくれたお母さん。

きっと電車が見えなくなるまで手を振っていただろう。


そんな姿を想像すると胸がいっぱいになる想いだった。


****


東京に帰ってからは凄く暇で、私は自分の部屋の模様替えや『哲夫の部屋』の掃除などをして過ごしていた。


『さすがに暇だ』とつぶやく私に救いの連絡。


「明日は来客もいないから遊びに来ない? 」

七海からの連絡だ。


七海の家で3日目の正月を過ごす。

雑煮、お汁粉、黄な粉餅、海老をたいらげ、伊達巻を2人で1.5本ぺろりと平らげた。


午後は七海と大宮八幡宮まで初詣にでかける。


「さすがに初詣はすごいひとだね」

「美人2人、もうちょっと華やかに着飾ってきたら良かったね」


「そういえば、シューファに連絡取れたよ。旧正月を過ごしたら日本に帰ってくるらしいよ」

「本当に? そしたらまたみんなで集まりたいね! 」


「でも蘭は忙しそうだからなぁ。この前も強引に休みを入れた感じだからね」

「そっか~。でも集合の号令はだそうよ、ね」


ようやく参拝の順番がきた。


(お賽銭は、私としては奮発の500円です! 神様頼みます! )


お賽銭が [ コン ] と音をならす。

願いはたくさんあったけど、取りあえず、今はこのお願いでいいかな。


「明日もいい日になりますように。そして明後日もその次の日も.. 」


何となく日差しの中でハクモクレンの芽が膨らんでるような気がした。

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