第167話
「爆弾?」
爆弾ってなんぞ。
「今回桜の魔法で、いや、廃村メンバーのはっちゃけで、みんなどれだけ冷や汗をかいたか……同じ気持ちを理解しろ!!」
「えっ!?」
「特に倉敷!! レシピ産の魔道具を量産しやがってやっかいなことがやっかいになるだろ!!」
「……それ、私に言われても困ります」
そんな苦情は本人に行って下さい。
「一旦は桜にあるからな!! 魔力回復に素材の提供……これが無かったらこんなになってないからな!! 断言するぞ!!」
視界の端でオーフェンさんが何度もうなずくのが見えた。
「そして相良!! あいつはなんだ!? どこにでも忍び込むな!! 寿命が縮む!!」
「……それも本人に言ってください」
何? 忍び込むって……。 どこに忍び込んだの?
「桜の魔法が起因してるからな!! 魔力回復したのはどこのどいつだ!!」
……私ですね。 ぐっ耳が痛くなってきた。
「マッヘン爺さん!! 魔道具改良し過ぎだ!! 立った数日で転移門完成だと……その腕に脱帽だ!!」
「ん?」
……それは素直に褒めるんだ。 まぁ、改良は凄いもんね。
「あと菅井!! ……は特にないな。 三人の面倒頑張れ、超頑張れ!! ……と言う事で桜は迷惑料としてビールサーバー追加しろ!!」
握りこぶしを震わせながら力を込めて言いきった。 あれ? 私叱られてたんじゃなかったっけ?
「……長谷川さんもしかして……酔ってます?」
おずおずと話しかけると、
「酔っとらん!!」
といかにも酔っ払いが返事しそうな言葉が返ってきた。
春子さんと灯里はクスクス笑っている。
「なんだか……領主と桜さん達の間に挟まれて大変そうね」
「長谷川さん頑張ってください」
「分かってくれるか、二人とも女神みたいだな」
二人の言葉が身に染みたようで、長谷川さんは泣きまねなんか始めちゃった。
「春子は私のです、触らないでください」
春子さんを抱き寄せて長谷川さんにシッシと追い払うしぐさをするオーフェンさん。
それを見て、ふぉおおおお!! と、なんでか知らないが、急に見てはいけないものを見たような恥ずかしさがこみあげて来て、灯里と顔を見合わせた。
「少しくらいいいだろ」
「駄目です」
「ケチ」
「ケチで結構」
長谷川さんに対しピシャリと切り捨てるオーフェンさん。
なんだこれ。 眼前で急に惚気られて羞恥に襲われてしまった。
「……これでよかったかしら?」
皆が寝静まった夜更けに窓から小声で話しかける。
「ありがとうございます」
「いくら時間が無いとアルから言われたこととはいえ、突然の訪問は失礼に値します。 桜さん達には苦労をおかけして……申し訳ないわ」
「おっしゃる通りです」
「異国の作法も分からない状態で、こんなに丁寧にもてなしてくれたんですもの、私も自分の役目をしっかり果たしますね」
「ありがとうございます」
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