第21話 女子会と灯里の家1







「あー美味しかった!」


お腹をさするは灯里とイリスさん。


「この後どうする?もう一軒行く?」


クイナさんはあんなに食べたのにケロッとしている。


「もう一軒ですか?!」


「まだまだ話し足りないし今度はしっぽりといかが?」


楽しそう…!


「なら私の泊まってる宿に行きませんか?部屋で女子会しましょう!お酒出しますよ!」


「あっちの世界のお酒!良いわね」


私もちょっと飲みたい気分になってきてたし。


二人が美味しそうに飲むから飲みたくなったんだよね。でもワインはあまり得意じゃないんだもの…。


「飲みたい飲みたい!なら私の家にしましょうよ!場所もここから遠くないし一軒家だから騒げますよ!」


灯里が勢いよく食いついた。


「一軒家…」


ちょっと見てみたい。いずれは私も居を構えないといけないし。ずっと宿暮らしは嫌だもの。


「行こう行こう!」


わーいと喜ぶイリスさん。





たどり着いた灯里の家は庭付き平屋の一軒家だった。


「待ってね。今解除するから」


そう言って門に近づき手を翳す灯里。


「はい。入ってー」


門を開け庭に入る。


刈りそろえられた芝の上を通り家の中に入った。


「玄関で靴を脱いでね」


先に家に入った灯里が声をかける。


玄関で靴を?とクイナさんとイリスさんが小首を傾げた。


「ここで靴を脱ぐんです」


二人より先に入り見本を見せる。


「へー面白いね」


二人が靴を脱ぐ傍で室内を見る。


普通のマンションの部屋みたい…。


玄関には靴箱が有り、玄関の先は廊下になってる。廊下には左に扉が一つ、奥にも扉が一つ、右側には扉が二つあった。白い壁に木で作られた扉。ここだけ見ると元の世界に帰ってきたと錯覚しちゃいそう。


奥の扉が空いてるから灯里はそちらに行ったんだろう。


「靴脱いだー?じゃあこっちきてー!」


扉からひょこっと顔を出し手招きする灯里。


通された部屋はリビングダイニングだった。


「何ここ。普通に元の世界の家じゃん!」


「でしょでしょ!」


「そうなの?」


「こんな感じなんだー!」


クイナさんとイリスさんは物珍しげに室内を眺めてた。


「そこのラグかソファーに適当に腰掛けてて」


黄緑の毛足の長いラグが敷かれその上に二人掛けの白いソファーとローテーブルが置いてある。

テーブルを挟んで反対側にはクッションが敷いてあった。


クイナさんとイリスさんがソファーに座り私はクッションに腰を下ろした。


「とりあえずコップね。飲み物は桜お願いしちゃって良い?私あと魔道具持ってくるから!」


魔道具?


「はーい!テーブルに適当に出しちゃって良い?」


「うん!お願い!」


ここの前灯里と一緒に飲んだ時の残りをテーブルに出す。割るジュースも直接口つけたわけじゃないし、時間停止されてるし良いかと出す。


おつまみはどうしよう?お酒だけじゃ悪酔いしちゃうよね?とりあえずウコンは出しておこう。


クイナさんとイリスさんは私が出す飲み物に夢中になってる。テーブルに置いた瓶の蓋を開けては匂いを嗅いだり色を見たりしている。楽しそうだ。


「お二人とももう飲んじゃってますがこれをどうぞ」


そう言って二人にウコンを差し出す。


「なになに?これなんて書いてあるの?」


「お酒の分解を補助する飲み物です。二日酔いになりにくくなりますよ」


「ありがとう~」


そう言って受け取り蓋を開ける。ペットボトル飲料とか出回ってるおかげかすんなりと蓋を開けていた。


「ナニコレ!!」


「変な味」


口に含んだ瞬間顔を歪める。


「効きますからグイッとやって下さい。美味しいお酒のためですよ!」


ううっと顔を歪めながらウコンを見るクイナさん、イリスさんはそうだねー!っと言いながらあっさり飲み干した。


「お待たせお待たせー。飲み物ありがとう!飲み残しやゴミはこちらの入れ物に入れてね!スライムのすーちゃんが入ってるから。味が混ざらないようにコップは洗浄するから飲んだら一度こっちの魔道具に入れてね。マドラーも使ったら入れてね!氷が欲しい人はこの魔道具で出るからコップの上でかざしてスイッチ押してね」


灯里は何だか便利な魔道具を持ってきた。

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