8月9日(金)

〈ハルト視点〉










( ・・・・よし! )






俺は立ち上がると回答用紙を

教壇にいる教授に渡してから教室を出て

スマホで時間を確認し

廊下を走って校舎からでると…






ユウキ「陽兎、終わったか?」






先に出ていた友樹が売店近くのベンチに

座って声をかけてきたが

「悪りぃ、急いでる!」と言って

正門の方へとまた走って向かった






( ・・・・・間に合うか… )






改札を抜けると電車が入ってきた音が聞こえてきて

手に握ってる定期をしまう事もせずに

握りしめたまま走って行き

乗り場の前にある階段を人の間を通り抜けながら

駆け上がって行って電車に飛び乗った






ハルト「・・ハァハァ…間に合った…」






息を整えながら空いてる席を探して腰を降ろし

手に握りしめていた定期を鞄へとしまった






( ・・・・どうして急に… )






今日で前期テストも終わり

今日のバイトの後は成泉達と前期終了の

打ち上げをする事になっていたから

明日のバイトの前に

ヒナに会いに行こうと思ってたのに…







ハルト「えっ!?金曜日から帰るの?」


 




「家の用事で早めに帰らなくちゃいけなくなったから

 月曜日はお休み貰って金曜日の仕事の後

 そのまま実家に帰る事にしたのよ」






ハルト「・・・・金曜日…」







ヒナは…多分だけど15日には帰ってこない気がした

16日の金曜日も休みをとっていて

18日の日曜日までコッチに帰って来ない様な気がした…





試験が始まる少し前から全然会ってないのに

また9日間会えないなんて嫌だった…





だから5限目の試験が終わって

ヒナがいる新幹線の駅に急いで向かっていた…

少しでもいいから会いたくて…






( ・・・・・・ )






何故かは分からないけど…

今日会わないといけない気がした…







ヒナが乗るはずの新幹線は後40分後だから

まだホームには行っていないだろうと思い

走りながらヒナを探していた…

何となく電話は出てくれない気がしたから…






ハルト「・・・・!?」



 



俺は来た道を引き返しながら

あの場所へと向かった…





( ・・・・あそこにいるなら… )





細い通路に入って行き走って行くと…

やっぱりヒナはそこに座っていた…




俺は少しホッとしてヒナに近づいて行った

ヒナがここにいるという事は俺への

想いがあるからだと思ったから…






「・・・・!?・・はーちゃん…」






ハルト「・・・・・・」






ヒナは俺に気づくと驚いて

「なんで?」と言って立ち上がった…






ハルト「・・・・・・」






「・・・・どうしてここに?」






ハルト「・・・・分かんない?」






「えっ?」






ハルト「本当に分かんない?会いたいから来たんだよッ!」





「・・・・・・」






ハルト「ちょっとでも会いたいから来たんだよッ!」






「・・・・・・」






ヒナは何も言わないで

ただ俺の目をジッと見つめていた…






ハルト「・・・・ちゃんと見てよ…」






「・・・・えっ?」



 



ハルト「ヒナは俺の目に弱いんでしょ…

  だったらちゃんとよく見てよ…」






そう言ってヒナに近づくと顔に両手を添えて

「ちゃんと見て」ともう一度言ってから

ヒナの唇にキスをした…





最初は応えてくれなかったけど

顔に添えてる手をそっと離して

ヒナを抱き寄せる様に腰と頭に手を持っていき

唇を離して「俺を見て…」と囁き

また深く口付けると

ヒナの手が俺の脇の下の部分の服をギュッと握って

キスに応えてきた…






ハルト「・・・・いつ帰ってくるの?」





「・・・・18日…」






ヒナの答えにヤッパリと思いながら

また唇を近づけた…






ハルト「19日は絶対逃がさないからね…」






「・・・・はーちゃん…」






ハルト「19日は…ご褒美ちゃんともらうから…」






「・・・・・・」






ハルト「・・・・・・」






「えろウサギの試験結果次第だけど?笑」






ハルト「ふっ…多分80点以上だよ?笑」








ねぇ…ヒナ…

アナタが俺から離れても

俺は…何度でも追いかけるよ…何度でも…










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