6月28日(金)
〈陽菜乃視点〉
サクラ「はぁーこの為の社会人ですよね?」
「そうね、年2回の楽しみよね?笑」
今日は夏のボーナス日だった…
桜の言う通りこの日の為に毎日
朝早く起きて働いてるみたいなもので
毎年何を買おうかとソワソワする
( 水着買わなきゃな…浴衣は無理よね… )
水着もだけど浴衣を着てデートなんて
まさに大学生の時にして以来一回もないなと思い
卓上カレンダーに目を向け
花火大会やお祭りは大抵週末にあるものだから…
ウサギとは行けないだろう…
ソウジ「お疲れ様です!笑」
「お疲れ様、初ボーナス日ね?笑」
ソウジ「はい!
だから今日飲みにでも行かないかと思いまして」
「今日??」
サクラ「ご馳走してくれるの?笑」
ソウジ「明らかに先輩方より額の少ない僕に
そんな事を言うなんて
桜先輩はパワハラ主義ですね?笑」
「・・・・今日…」
サクラ「都合悪いですか?」
「うん…今日は予定が入ってて…」
ソウジ「残念ですね、また誘いますよ!」
「ごめんね…」
蒼司君に謝りまた卓上カレンダーに目を向けて
小さくタメ息を吐いた…
家に帰るとキッチンで
トマト缶と鶏肉を煮込んで
味をみながら「辛味ほしいかな」と
鷹の爪を少し入れてから
「そのまま寝たいしお風呂入ろうかな…」
そう一人で呟いてから
シャワー浴びて作った夕飯をテーブルに置いて
今月届いていたワインを開けてグラスに注いでいく…
適当なチャンネルをつけて
それを見ながら食事をするけど物足りなかった…
食事が失敗したわけでもないし
ワインも美味しいはずで…
金曜日の夜をこんな風に過ごすのが
楽しみの一つだったはずなのに…
( 何かが…足りない… )
膝を抱いて壁にかかってあるカレンダーを
眺めながら「バイトだもんね…」と呟いた…
6ヶ月記念日の今日は金曜日で
ウサギは今日も忙しく働いている…
本当は予定なんて何もなかったけれど
記念日である今日にウサギ以外の男の子と
お酒を飲むのは…ちょっと違う気がして断った…
ワイングラスを手に取り
口には持っていかずにグラス回して
中の赤いワインが波打つのをジーっと眺めながら
この毎月取り寄せるワインをウサギと一緒に
飲まなくなり数ヶ月になるなと考えた…
健司と付き合っている時も一人でこんな風に
飲んでいて楽しんでいたはずなのに…
今はどう楽しんでいいのか分からなかった…
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