4月5日(金)

〈陽菜乃視点〉










ウサギのバイト先は今日からオープンで

友樹君達が食べにくると言っていたから

ちゃんとできるのかと心配していたけど…





私も今日は新入社員の歓迎会でウサギの事を

考える余裕がなくなっていた…







サクラ「先輩大丈夫ですか!?」





「うん…桜…おしぼりをあと少しいい?」





サクラ「もらってきますね!」






皆んなお酒を飲んで盛り上がり

入社2年目の男の子達が余興を披露していたら

お酌をして回っていた新入社員の1人にぶつかり

ビールがグラスにではなく私の服に振ってきて

女子トイレで服にかかったビールを拭いていた





「ビール臭いのはしょうがないけど…」






白のブラウスが透けていて

上からジャケットを着ても胸元の下着のライン

がハッキリとみえている…

 




しばらくして桜が

白いジャージを手に戻ってきた…






「あっ!借りていいの?」






桜は少し微妙な顔をしながら「どうぞ」と

差し出してきて「ん?」と言いながら受け取ると

明らかにサイズが大きくメンズ物だと分かり

「誰の?」と問いかけると…






サクラ「・・・・佐藤 蒼司のです…」





「え??蒼司君??」






一瞬にして着るのが嫌になり

手にあるジャージに目を向けると

桜も意味を理解したのか

「アイツのだってことは…内緒でって話してます」

と言いながら私の胸元を指差して

「とりあえず着ないとダメです」とジャージを

握る手を私に寄せてきた






「そう…よね…」






タメ息を吐きながら濡れたブラウスの上から

羽織ろうとしたけど襟元から上がってくる

ビールの臭いに悪酔いしそうだなと思い

ブラウスを脱いでキャミの上から羽織る事にした







サクラ「カンには触るけど

  アイツがジャージ持ってて助かりましたね!」






「ホントに助かったかも…

 コレでこの前の眉間のシワの話は忘れようかな?笑」






サクラ「先輩はまだ一個じゃないですか!!

  私なんてもう何度嫌味いわれたか!」







着替えを終わらせて席に戻ると

サイズの合わないジャージ姿の私に

「だれのです?」と何人かから聞かれ

桜に「スタッフさんから借りれたんですよ」と

フォローを入れてもらいながら

蒼司君の方には全く顔を向けずに普通にしていた






( 蒼司君から借りたなんて言ったら大変よ… )






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