〈陽菜乃視点〉









ウサギが飛び出して行った後に

私も玄関の方へと歩いて行きガチャッと鍵をかけた…






「・・・・疲れるなぁ…」






そう呟いて玄関のフローリングに膝を抱きしめて座り

ウサギが言っていた言葉を思い出した…






ハルト「俺ばっかり好きで

  ヒナは全然俺を優先してくれないじゃん!」






「・・・・ちゃんと…好きよ…」






ハルト「仕事や自分の事ばっかりじゃなくて

  ちゃんと俺の事も考えてよ!」






「・・・・ツッ…・・なによ…ばか…だいがくせぃ…」







毎年あるこの決算月の忙しさは

何度しても慣れる事なく疲れる1ヵ月で

今回の1ヵ月はいつもよりもキツくて…

いつもよりも幸せな1ヵ月だった…





ウサギとの時間を作りたく

日曜日は深夜過ぎまで

持ち帰りの仕事をしたりしていた…






「・・・ばか…ばかウサギ…」






膝に顔を埋めて泣いていると

階段を駆け上がる足音が聞こえてきて

何となくウサギだと分かり

立ち上がって鍵を開けて扉を開いた





ウサギの息は上がっていて

走って戻って来たんだと分かり

「なによ…」と言ってウサギの肩を

手をギュッと握って叩いた…







ハルト「ごめんね、ヒナ…」






「・・・・ばかウサギ…」






ハルト「うん…ごめんね…」







ウサギは部屋に入ると私を抱きしめて

頭を撫でながら何度も「ごめんね」と優しく囁いた







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