3月12日(火)

〈陽菜乃視点〉









「あっ…お疲れ様です…」






ケンジ「お疲れ様」


 




エレベーターが開くと健司の姿があり

驚きながらエレベーターの中へと足を進め

目的の階のボタンを押した







ケンジ「髪型…似合ってるよ」






「ありがとう…ございます…」







健司と話すのはあの12月の忘年会以来で…

健司が奥さんと正式に離婚をした事を

2月頭に桜から聞いていた…





健司の左手の薬指にあったあの指輪は今はもうなく…

私の右耳には青いピアスがつけられていて

健司もきっと気づいている…






 

ケンジ「変な感じだね?笑」







「・・・・ぇ?」






ケンジ「・・・・陽菜乃とはこんな風に

  気まづい沈黙になっても不思議と落ち着くよ…」






「・・・・・・」






ケンジ「変な意味じゃなくてね?笑

  なんだろ…人として?落ち着くのかな…」







エレベーターが健司の降りる階に止まり

「お疲れ」と振り向かないまま降りて行き

健司の背中を見ていると扉がゆっくりと閉まり

私の目的の階へとまた上昇していく…






ウサギのピアスを触りながら

「何してるんだろ…」と呟き

スマホを取り出してウサギに「会いたい」と

メッセージを送ってから

止まったエレベーターから降りた








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