〈陽菜乃視点〉







怒ったメッセージ以来何も連絡の無いウサギに

大丈夫かなと思ったけれど…

成人式の後は大抵集まって夜中まで盛り上がるのが

定番だから夜の電話は無理だろうと思い

久しぶりにレンタルショップで映画を借りて来て

ゆっくりと過ごしていると…







「・・んっ?・・電話??」






映画のクライマックスに入った瞬間

鈍いバイブ音が聞こえてきて

コートのポケットに入れたままのスマホを

慌てて取り出すと

友達と騒いでるはずのウサギからの着信が…







「何また酔っ払ってかけてるの?」







時間を見るとまだ23時になったばかりで

同級生と一緒にいる時間だから

「いいか」と出ないで停止していた

映画の再生ボタンを押すとまた鳴り出すバイブ音に

えっと思いながら出てみた







ハルト「やっとでたよ… 」







電話の向こうのウサギは前回の様に

酔っ払っている感じはなく

あのメッセージの通り不機嫌そうな声だ








「・・・・友達は??」






ハルト「もう家だからいないよ

  何…そんなにジンが気になるの!?」






「えっ??ジン??

  それよりも家って飲み会はどうしたの?」






ハルト「明日帰省するヤツも多いから

  早めに解散して残る奴らだけで2次会行ったよ」






「・・・・残らなかったんだ…」






ハルト「夜電話するって言ってたでしょ!!」








ウサギは昼間の件の話をする為に早く帰って来た

んだと分かり少し(えー…)と面倒くさく感じ

また停止されているテレビ画面を見ながら

明日でもいいのにと思い…

電話の向こうでキャンキャン叫いているウサギに

「明日ゆっくり話そう」と提案した…

 






ハルト「まだ、ダメ!!話は終わってないから

  12時までは電話切らないからね!!」







「12時!?」







ハルト「ヒナは目を離すと直ぐこれなんだから…

  職場で髪結んだりアップにしてない??

    頸が見える髪型はダメだからね!」







映画も後30分位だろうし出来れば見てから

眠りたかったけど…

怒ったウサギの声を聞いてると無理かなと思い

テレビの電源を落としてウサギの理不尽な

話を目を閉じながら「ハイハイ」と聞いた…








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