〈タツヤ視点〉









成人式の後は高校の同窓会に出ていた陽兎は

明け方近くまで帰ってこないかと思っていたら

23時過ぎには帰って来て驚いた






タツヤ「早くないか?」






ハルト「夕方過ぎから飲んでるしこんなもんだよ?」







俺たちの時は日付けが変わっても梯子して

まさに明け方近くまで騒いでいたが

最近はそうでもないのかと考えていると

陽兎は酔っ払ってる風でもなく

あんまり飲んでないのかと思い

「なんかあったか?」と声をかけると







ハルト「何にもないよ?笑

  年末から何回か集まってたし、早めに解散したんだよ!」







そう言って冷蔵庫からミネラルウォーターの

ペットボトルを取り出すと早足で

2階の自分の部屋へと行く陽兎を見て

友達と喧嘩でもしたのかと心配し

冷蔵庫から缶ビールを2本取り弟の部屋へと向かった






タツヤ「・・・・(怪我はなかったしな…)」






明日は仕事だし

出来ればこんな時間に酒を飲んだりはしたくないが

可愛い弟の為にしょうがないかと思いながら

陽兎の部屋の前に行くと中から陽兎の声が聞こえてきた…








ハルト「だから!!ヒナは俺の彼女なんだから

    ジンの顔なんて見なくていいの!

    スーツ姿の俺だけ見てればいいの!!」







タツヤ「・・・・・・」







ハルト「ちゃんと聞いてるの!?

  まだ、ダメ!!話は終わってないから

  12時までは電話切らないからね!!」








俺は足音を立てずにリビングへと降りて行き

ソファーに腰を降ろしてから缶ビールを開けて一口飲んだ







タツヤ「アイツこの為に早く帰ってきたのか…」







俺と同じ社会人の白玉は明日から仕事だろうし

電話が繋がる時間に帰って来たんだと分かり

バカな弟だなと笑いがでた…





じーちゃん家に早く帰るようになったのは

白玉に言われたからだけじゃなく

あんな風に人目を気にせず連絡を取りたいからなんだろうと思い

またビールをゴクリと飲み、弟の部屋がある天井を見上げた






陽兎は自分の皿に一度つがれた

白玉は絶対に譲らなかった…






幼い時にジンが家に遊びに来ていて

母さんがフルーツポンチを作り器に入れて出すと

ジンが途中で皿をひっくり返して

泣き出した事があった…





陽兎に半分分けてやれと言うと

「いいよ!」と言って新しい皿に陽兎は

白玉以外の具と汁を全部入れて「あげる!」と

ジンに差し出したが、白玉だけは「だめなの!」と

言って皿を握って部屋から逃げて行った…







タツヤ「俺の弟はしつこいぞ白玉?笑」






飲む予定のなかったビールを飲みながら

陽兎と白玉の今後を考え一人で笑っていた…









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