〈ハルト視点〉








年越しの夕食を食べながらテレビを見ていると

煌から電話がありどうしようかと

家族を見ると父さんと兄ちゃんはお酒も入っているから

大丈夫かなと思い席を立ってから廊下にでた






9月の付き合いだしたばかりの頃にスマホを触って

食事をしていたらヒナから行儀が悪いと叱られて

あれ以来食事中にスマホを触るのに抵抗があったが

今は食事も大方終わってダラダラとつまみながら

お酒を飲んでいる感じだったから煌の電話に出ることにした







ハルト「もしもし、どうした?」






アキラ「いや、お前にもう一つ

 プレゼントがあった事を思い出してな?

  今年のうちに渡しておこうと思ったんだよ!笑」






ハルト「もうあのメモ紙ならいらないからな!」






アキラ「役に立たなかった?」






ハルト「立つどころかいい雰囲気ぶち壊しだったよ…」






アキラ「何?ちょー聞きたい!笑」






ハルト「年明けに覚えてろよな!」






アキラ「はは…笑 このプレゼントは絶対喜ぶよ?」






ハルト「期待してないよ…笑」






アキラ「お姉さんの事だよ?笑」






煌の言葉に「えっ?」と

呟いてから「ヒナの事?何?」と言うと

電話の向こうから楽しそうに笑いながら

「落ち着け」と言う煌…






アキラ「お前がお姉さんを見た日あるって言ってたじゃん?」






俺は最初ピンとこず「ん?」と考えていると

「あの元彼にタクシーに乗せられてた日だよ」

煌の言葉にあの日の二人の姿を

思い出してまたチクリとした…


 


あの日の事はヒナにも聞けないし…

聞きたくない自分もいたから…






アキラ「あの日な…お姉さんがタクシーに乗って

   何処で何してたか知ってるか?笑」






ハルト「え?」






アキラ「あの日お姉さん俺のコンビニに来たんだよ」






ハルト「・・・・コンビニに?」






アキラ「そう!笑 来てねいつもの様にアルコールの

  棚の扉を開けてて晩酌かと思ってたら…」







煌は途中で話を止めて

「ククッ」と笑っていて何だよと少しむくれていると






アキラ「誰かさんみたいに…いや、誰かさんよりも

  子供みたいにしゃがんで泣いていたよ?笑」






ハルト「へ?」






アキラ「だから!お前の泣き虫な彼女は

  コンビニでしゃがんで20分くらい?かな

  ずっと泣いてたんだよ…笑

  泣いてた理由は…

  同じ泣いてた誰かさんになら分かるんじゃない?笑」






ハルト「・・・・ヒナも泣いてた…?」







クリスマスイブのあの日…

俺はヒナを追いかけてあの棚のお酒を選んでいた

9月1日の夜中を思い出して泣いていた…


 



もう一度あの日に戻ってヒナと一緒に過ごしたいと

そう思って泣いていた…





ヒナから好きだと言われても…抱きしめても…

どこかでヒナはまだ俺と同じ位の〝好き〟

という感情はないんじゃないかと思っていた…





俺の〝好き〟の方が大きいんだと思っていたけど…

煌の話を聞いてヒナがコンビニで

しゃがんで泣いていた話が本当なら

あの離れている間…

俺と同じようにヒナも泣いていたのなら…








アキラ「・・・・いいプレゼントだっただろ?笑」






ハルト「・・・・早く言えよな?笑」








ヒナに早く会いたいと思った…

会って抱きしめたいと…








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