〈ジン視点〉










ジン「全部吐くまで帰らせないよ!」






陽兎を俺の家に連れて来たけど

カラオケでだいぶ飲まされて

今にも俺のベッドで寝そうな陽兎の尻を叩きながら

「起きろ」と小声で叫んだ







ハルト「なぁ…に?」






ジン「お姉さんの話だよ!!」






ハルト「ヒナ?・・でんわ・・しなきゃ・・」






ジン「電話?」






陽兎はポケットからスマホを取り出して

から「俺のヒナなのッ!」とケタケタと

子供みたいな笑い方をしながら発信しだした







ジン「お前今2時だぞ?」






ハルト「向こうも今日・・飲みカイ?・っていってたョ?」







半分カタコト交じりの陽兎の言葉を聞き

ギョッとして「やめとけ」と言ってスマホを

取り上げようとするが足で俺の体を押しやる陽兎に

「おい!」と言うが笑っていて全く聞いていない…





飲み会って事は俺たちみたいに

同級生と集まってるかもしれないのに

こんな時間にこんなバカ丸出しの電話なんかしたら

29歳のお姉さんは呆れて

嫌になるんじゃないかと不安になり

止めるが言う事を聞かない

酔っ払いの陽兎は「でない?」と

首をかかげていたが…







ハルト「アッ!デタ!笑」







陽兎の言葉を聞き

もうダメだど首をフルフルと横に振る俺と違って

「ヒナ!」と人のベッドの上で保育園に迎えに来た

母親に子供が向けるようないい笑顔をしている…







【 ・・・・酔ってるの? 】







静まり返った部屋の中に

相手のお姉さんの声が

ハッキリと聞こえコッチが緊張してきた…






( こんな声なんだ… )







ハルト「んーーヒナほどは…ヨッテないョ?笑」






【 カラオケで回し飲みしたのね? 】






ハルト「へへ…ナイショ…

  ネー…女の人としか…のんじゃダメだょ…?」






【 ・・・・・・ 】







ハルト「ヒナ……へんじ…して…」






ジン「・・・・(なんだコレ…)」






こんな陽兎の姿は初めて見たし

幼なじみのこんな姿を見てていいのかと思い

目を泳がせながら

電話の向こうのお姉さんの答えを待った…






【 ・・・・はぁー… 】






呆れたタメ息が聞こえてきて

やっぱり電話させなきゃ良かったかなと

後悔していると【はーちゃん】と

優しい声が聞こえて驚いた







ハルト「ん??」






【 女友達だけだから…いい子に寝なさい? 】







ハルト「・・・ヒナがいないからダメ… 」







【 ・・・・ダメ?】







ハルト「・・・・ハダカのヒナとまた…ネタイなぁ…」







思わず口に手を当てて息を潜めて聞いた…

コイツ俺がいる事忘れてるのかと

心配になり顔を覗かせると

目は閉じたままでだらしのない顔があった







【 今日はエロウサギなの?笑 】






ハルト「ふっ…カレシだから…いんだョ?笑」






【 ふふ… 帰ってきたらね?笑 】






ハルト「んー… ハヤク…かえるネー……zzZ」







陽兎の寝息が聞こえてきて

電話どうするんだよと焦っていると

電話の向こうから「ふふ…」と笑い声が聞こえて






【 おやすみ…はーちゃん 】






そう聞こえてから何も聞こえなくなり

そっと近づいて

陽兎の顔の横にあるスマホを持ち上げると

通話は終了になっていてホッとした…







スマホをテーブルに置いてから

陽兎の寝顔を見ると少し笑っていて

本当に好きなんだなと思いながら毛布をかけてやった







ジン「・・・・ウサギってなに?」









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