122 その7 ~魔界ゲート(NRS)の最期~
ノースリバーサイドに在留しているダークエルフ族の為に、送り込んだNRS救援部隊の女性型ゴーレムより高性能な無性型ゴーレムを倍の数だけ送り、交代させるザック。尚、一部の男性ダークエルフたちからは不評のようであるが、便利なのは便利なので不満は持つも文句はいってこない模様(苦笑)
そして明らかになる魔界ゲートの復活。何者かは不明だが封印処置をされたNRSは暫くの間は不可侵な状態を保てるだろうがそれは永遠という訳ではない…
果たして、元マウンテリバーから追放に等しい処置を受けて脱出したザックは…この危機的状況一歩手前にして魔界ゲートの対処をすべくマウンテリバーに戻るのだろうか…それとも?
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- いたちごっこだよね? -
「魔界ゲートの復活かぁ…」
如何にも面倒!…と大きな溜息を吐くザック。
「この前ぶっとばしたのにまた復活とか…いたちごっこだよねぇ?」
頷く従者ゴーレムたちとジェリコ皇女。
「少なくとも、ゲートが復活したとしてもすぐにはこちらに来ることは無いと思います」
できたばかりのゲートは不安定で、すぐに入れば何処に跳ばされるかわからない…ということらしい。目の前にゲートがあるのにどうしてそうなるかは不明だが…恐らくはゲートの不安定さがゲートの途中で吹っ飛ばされる原因なのだろう…多分、きっと。
(ゲートの中で思いっきり揺らされたり、穴が空いてるからそこから落ちたりしてしまうのかな?)
※ザックくん、ほぼ正解!w
「だったら…やりようがあるよな?」
ザックはニヤソと歪んだ笑みを浮かべ…必要最低限の護衛をゴーレム娘たちから募集し、そして現地へ飛ぶことにした。
- ノースリバーサイド…の外 -
以前設置した転移魔法のマーキングした地だ。そこはゲートの近くにあり、マーキングを施したとバレないように隠蔽工作済みだった。
しゅんっ…
(…よし、まだ誰も現れてないな?)
隠蔽工作というなの草木の茂みから顔を出したザックがゲートのある方向を確認する。想定通り、魔界からは1体も魔物や魔族は現れてなかった。だが、一応探知魔法を使って調べてみる。すると…
(ちっ…魔界の蚊トンボが居るか…偵察とか探索には有効で軽いし小さいからゲート出来立てでも擦り抜けて来れるんだっけか?)
ダークエルフたちから得た情報だ。偵察などに行使される弱小種族だが、人類側の陣営に紛れ込んでも気付かれずに行動できる為によく被害に遭ってると聞く…
(それにこちらの蚊と大して変わらないからなぁ…見た目が)
そろそろ暖かいから暑い季節に移り替わる頃合いなので、猶更気付かれないのだ。この周辺はさり気ない忌避結界に包まれてるので接近して来ないのでいいが…
(面倒だなぁ…あ、そうだ)
ザックはとある作戦を思いつき、背後に控えている護衛のゴーレム娘たちにひそひそと作戦内容を打ち明け…話し終えた所で全員にんまりと笑み、頷くのだった。
・
・
「じゃ、全員護符は持った?」
「「「はい」」」
静かに打ち合わせを終えて、ストレージの中で創造した「透明化の護符」を手渡すザック。蚊トンボの偵察能力は
◎視覚情報から敵味方を識別
◎温度情報から隠れている敵の把握
要は、光学識別能力と熱感知能力による敵察知能力に優れている…という訳だ。ならば、透明になって体を隠蔽し、ついでに周囲の温度と同じ状態になってしまえば問題無しになる。
透明化の護符は体温をも透明化…つまり体温を漏らすことが無くなる。勿論、蚊トンボに触れてしまうと「何かある?」とバレてしまう為、触れないことが肝要となる訳だが…
・
・
〈ピ!?…視覚に異常無し…ダガ、接触あり!…異常!異常!〉
(バカ!…何やってんのっ!?)
(ひいい!…ごめんなさい~!!)
ザックが連れて来た護衛として、
その中で一番おっちょこちょいなミクが蚊トンボに引っ掛かり、それに気付いて動揺したサシャとロゼが蚊トンボに触れてしまったらしい。何やってんのこの人たち…と思わなくもないが(苦笑)
「仕方ないな…収納!」
ずばっ!…とストレージに無理やり収納する。暫くすると、
ぽぽぽ~い!
…と瀕死の蚊トンボたちがストレージから放り出され、戦闘力を失ったそれらをゴーレム娘たちが踏んづけてトドメを差すべく歩き回る。目玉は小さいながら魔石の代わりとなるらしいが…今は時間が惜しいのでさっさと頭部を潰して回って貰っている。
「生き物って普通…収納できないって聞いたんですけど…?」
「まぁ…こちら側の生き物はね。魔族よりの生き物?は…そもそも生態からして人間とか動物とかと違うみたいでね…」
小型の…蚊トンボみたいな魔物は無理やりになら収納可能だ。但し、短時間では完全に死に至ることは無いので、瀕死になった時点で力を緩めると勝手に放出されるのでトドメを任せたという具合だ。数が数だけに1人では無理があるし…
「他には…うん、居ないな。ゲートの方も暫くは大丈夫だろうし…やるか」
ストレージから…ではなく、予め配っておいたとある魔導具を出すように指示する。
「これはどういう…?」
と質問されるので、
「ゲートの周囲に等間隔に設置してくれ」
…と指示し、6人は6隅に魔導具を設置する。丁度六芒星になるように調整してからその場に固定し、魔力を流し込むと…
ぱあああああ・・・
ザックの立った位置から魔力光が沸き立ち、丁度転移魔方陣の魔力光に似た光が満ちて行く…
「綺麗…」
(まぁ…転移魔方陣使う時っていつも切羽詰まった時だしなぁ…)
じっくり見ることは少ないだろうなとゴーレム娘たちが見惚れている様子を眺めつつ、魔力をせっせと注ぎ込むザック。内心、
(僕の創り出したゴーレムだけど…君たちも可愛いと思うよ?)
とキザっぽい台詞を脳裏に浮かべつつ…w
- 魔界ゲート、海中に没す… -
「よし、魔力が満ちたっと…じゃあ行くぞ!」
ぱんっ!
…と両手を叩き、所謂合掌の形に手を合わせるザック。
「「「…」」」
これからどうするのだろう?…と、ゴーレム娘たちが見守る中、ザックは無言で…否、脳内で呪文を唱えていた…だが、呪文といえるかどうかは不明だが。何故ならば…
(えーっと…ここから100km…いや、1008km南の海中…うん、ここの深さ2598mの海底なら…お、丁度横穴があるな。その奥にゲートを固定…っと。周囲にも隔絶の封印を施してっと…んじゃ、その条件で…)
「転移!」
いきなり大声で叫んだザックに、見守っていたゴーレム娘たちは驚いて尻餅を突く者。倒れこそしなかったが恐怖を感じて後退る者。これが人間なら失禁していた者も居ただろう…それだけ鬼気迫るモノがあったのだ…。そして発せられた力ある声と共に眩しい光で目を瞑り、その光景は視認できなくなっていた…
「「「あ…」」」
眩い光が収まった後、目前にあった魔界ゲートは消失していた。地面も緩くクレーター状に抉られ…六芒星と化していた魔導具毎消え去っていたのだ。ノースリバーサイドは…50年以上もの間、課せられていた役目から解放され…魔界からの脅威からも解放されたのだった。
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ザック 「やれやれ…これで重荷から解放されたよな?」
ゴーレム娘たち「信じられません…」
ザック 「何だよ?…これでゆっくりのんびりできるだろ?」
ゴーレム娘たち「そ、そうですが…いいんでしょうか?…こんな安直に平和になって…」
ザック 「まぁ~…向こうが違う場所にもゲートを開けるなら別だけどね」
ゴーレム娘たち「確かに…」
備考:そう…何処かで開かれているゲートがある限り…人類に平穏は訪れないのDEATH!(まだあるようないい方だな?)びっくぅ~!…うへへ(まてw)
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