112 その13 ~護送依頼 その5~
えっと…ドワーフの隠れ里を襲った魔物を撃退して、数日間ゴロゴロする権利を貰ったと思ったら、里の一部?の反対に遭って…翌々日には追い出される羽目に…凡そ1日しかゴロゴロできなかったザックでした…ショボンヌ
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- クァントロードに帰還 -
結局、復路の道の途中から森の奥に…要は横道(いや道は無かったけれど)に逸れ、その奥の川に近い場所を切り開いて場所を作ってから
他のメンツはテントを各自で所持していたので木小屋の周辺に出してそこで寝泊まり(休憩時にしか使用しなかったが)し、ザックの指示に従って雑事をこなしていたという。
そうして予定の日数が経過し…ザックたちはそろそろ戻ろうかと帰り支度を始め、細い路が終わってやや広めの街道へと接続している場所でゴーレム馬車とゴーレム馬たちを出す。
「じゃ…戻ろうか」
「「「はい!」」」
ゴーレム娘たちの構成はクァントロードを出て来た時と同じメンツに抑え、他は機能一時停止処置をしてストレージへと収納した(機能一時停止はナルに任せた)
…いや、機能一時停止処置をする時、寝たくない!…とか我儘はいってなかったけど(説明はしてあるし)…物凄く寂しそうな目で見られるのは辛かった…と思う。いや、別に要らない子じゃないんだからそんな目で見ないで欲しい…orz
- クァントロード・冒険者ギルド -
「護送任務完了した」
普段、僕に対する態度に比べてクールに決めるレム。THE・仕事人みたいだけど外部の人間に対しては大体こんな感じらしい…
「依頼票は?」
「ここに」
す…と出した依頼票を受け取って目視確認するギルド職員。それからカウンターの上に設置してある板状の魔導具に置いて処理をし、暫くするとカウンターの奥から革袋を持って別のギルド職員が出て来た。袋を受け取り、受付のギルド職員がレムに向き直り、革袋をカウンターの上に置く。
「報酬だ」
一緒に渡された走り書きのメモと一緒に受け取り、すぐにギルドを出る。
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「幾らだった?」
気になってたのでレムに訊くと…
「探索願の方が銀貨50枚。護送依頼は銀貨10枚で合計銀貨60枚です」
(え?…少ないのか多いのかわかり難い額なんだけど…)
唯、別途報酬を貰っているし、討伐部位の報奨金も貰えたのでそこそこの稼ぎになった訳だ。唯…マウンテリバーとは金額が違い、やや少なめだったけども…
「討伐の報奨金は全部で金貨2枚に銀貨37枚、銅貨130枚となります」
「…随分少ないね?」
少なくともオークキングやオーガロード、オーガクイーンまで居たんだからもっと討伐報酬が出てもおかしくない。特にシャーマン系が居た場合、難易度が跳ね上がるのだから討伐報奨金が多いと思ったのだが…
「ん~…ランクCだと、ロードやキング、それにオーガクイーンはランク以上の討伐ランクだって…通常種として処理されたみたい…まぁどーでもいいんだけどね…」
所謂、
「ランクCが上位種を倒せる訳無いだろう?」
…という訳だ。唯、物証がある為にそのまま報奨金を渡さない訳にはいかずに通常種扱いで討伐報酬を出したと…そういう訳らしい。唯…シャーマンクラスのオークなどを通常種という扱いはどうなんだ?…と思わなくもないが(杖とか装飾品も合わせて拾ってきてるのだ)
「…ま、ランクなんて目安だからね。「嘘付け!」っていわれて無報酬よりはいいんじゃない?」
遠い目で此処ではない何処かを見るようなザックがそう答えると、ゴーレム娘たちはえも言われない顔をして
「はぁ…それでしたら」
と、沈黙する。最後に、一部の者がランクアップを果たしたと報告があり、それで今回の…歩きながらではあるが報告会は終了となった。
ちなみにレムはランクCからBにアップし、一部の後方部隊を除いて大部分は1ランクアップしたという話しだ(
シャーリー?…彼女は…
「勿論、影の存在なんだからノーランクよ?」
…だそうだ。陰の実力者?…うっ…頭がっ…
- クァントロードを出る -
「さて…昼前には出るかね」
ギルドで見せて貰った地図…の写し(
「食料や水の補充完了しました!」
下っp…否、小隊員娘たちが帰還して報告する。食料は兎も角水はザックの
「あ、ご苦労様。じゃあ、そこの収納庫に突っ込んでおいて?」
馬車の内部にある収容能力が拡張されている収納庫にどんどん突っ込んでいく。尚、鍵があれば外からも中からも出し入れ自由な収納庫には実質20トンの重量まで、常温の水の体積で…水は1リッターで1kg、1000リッターで1000kg=1トン…つまり、2万リッターまで入る計算だ。
※kgはキログラム。長くなるので略称で記載しています(単位系は現実世界と同じとしています。表現方法が若干違うけど現実にある言葉なので混乱はしないと思います…よね?←リットルをリッターにとか(調べたらリットルは英語。リッターは米語だそうな。Rをルとするか伸ばして発音するかの違い))
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・
なんだかんだと広場の隅っこで出立準備をしていると、何故かギルドから職員が走って来た。ナルが代表して応対していると…こちらに歩いて来る。何だろう?…と思いつつ作業を手伝っていると…
「マスt…いえ、ご主人様」
思わずむせてゲホゲホ咳き込んで隣に居たレムに背中を擦って貰って…目尻に涙が浮かび、そっとハンカチで涙を拭って貰う。
「げほ…えっと、何?」
レムが厳しい目でナルたちを睨んでるけど、まぁまぁと抑えて訊き返す。
「あ…すみません。驚かせてしまったようで…」
と、ペロっと舌を出したナル。いや、何ていうか…あざとい?w
「それでですね?…これを見て下さい」
と、手渡される用紙が数枚。その内容は以下略。
【護衛依頼(チューザー共和国)】
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◎依頼目的:クァントロードからチューザー共和国まで護衛をして欲しい
◎目的地 :チューザー共和国首都「キェート」まで
◎拘束期間:何事も無く旅程をこなせば凡そ1週間だが慮外の事態が起きることを鑑み、2週間とする
◎報酬など:最大2週間拘束、馬車・食料・水の調達など、諸々込みで金貨2枚とする
※道中の危険手当は別途とする(何事も無ければ金貨2枚までとする)
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未知の国への旅程と未知の魔物との遭遇も考えられるのだが…金貨2枚というのは妥当なのかどうか不明なザックは判断が付き難いと、レムとナルを見る。だが、ナルは
「普段なら高額報酬と思えます」
という。普段なら?…と怪訝に思ってギルド職員を見ると、
「えっと…」
といい難そうにナルを見てから、頷くので仕方なくと説明に入る。美女・美少女に囲まれてしどろもどろになっているギルド職員(余り異性にモテそうにない青年だった)の説明に依ると…
◎クァントロードからチューザー共和国まで護衛依頼に就いてくれる冒険者パーティーが居なかった
※偶々殆ど出払っていたらしい
◎ソロの冒険者が数名程居るには居たが、護送する人物を乗せる馬車も何故か出払っていて(以下略)
◎チューザー共和国に移動するという冒険者パーティ(馬車所有)が居るとの情報を得て(以下略)
…ということで、慌ててこの依頼を持って来た…ということだった。ナルが代表としてチューザー共和国に移動すると報告しに来たことで、依頼を擦りつk…もとい、報酬に色を付けて持って来たとのことだ(実際、報酬部分には二重線で消されて書き変えられている)
「ど…どうでしょうか?」
ナル、レム、そして僕を見回して訊いて来るギルド職員。此処で断られたら進退窮まってしまうんだろうか?…と思ったが、実際に護送する人物を知らないでホイホイと請けるのも違う気がする…と思い、その辺を突っ込んでみた。
「あ…ええと…その…」
と、何故か物凄くいい難そうな態度に出るギルド職員。そしていきなり、
どす!
と腰を蹴られて倒れる職員。そして蹴った人物が…
『『『誰?』』』
念話で紡がれる言葉…いや、まぁ…全員の声色で寸分違い無く一致して響く思念波が…って、凄いなぁと思いつつ。
「
と訊くのが精一杯だった…えと、護送対象の子供かな?
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どう見ても偉そうな態度のお子様=お偉方のお子…といった感じ。
備考:マウンテリバーと隣接しているサンセスタとチューザー共和国の通貨は共通しています。サンセスタは銅貨から白金貨まで(銭貨はそれぞれのスラム街内のみ)、チューザー共和国は銅
貨から金貨までとなっています(大金貨~白金貨はチューザー共和国内。銭貨はスラム街のみなのは、サンセスタやマウンテリバーと同様)共通していない通貨は換金所にて手数料を支払って両替をする必要がありますが銭貨はできません(銅貨で支払って釣りを銭貨で受け取るなどはできるようですが、銭貨を銅貨の価値まで集めて両替はしてくれないようです←使用場所限定の金券みたいなもん?w)
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