91 その7 ~被害者の再生と対策強化~
ゴーレム拉致監禁暴行事件は若干名の被害者を出した後に解決?した…
そして宵闇に紛れて始まる魔族たちの侵略…そう、これは本来は人類と魔族との争いであり、種の本能である「他種を滅ぼし、自種を繁栄させる」という本能に基づく生存戦争なのだから…
※●●「
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- 翌朝 -
「この子たちが?」
「…はい」
「場所は外壁の外…巡回警備中…か」
どう見ても
「これは…巨人か大きな魔物か…衛兵たちの見解は?」
「いえ、特には…」
「我々が見つけるまで放置していたかと…」
つまり、街の戦力は街の外には全く目を向けてないことになる。何を平和ボケをしてるんだ…とは思ったが数箇月に渡る間、何も無ければ気が緩むのも止む無しだろうか?…人間とは何も起きなければそういう生物なのだ。正式な軍隊でもなければ油断するものなんだろう…
(ていうかギルドの連中なら兎も角、衛兵とか領主の子飼いたちは気を緩めたらダメだと思うんだけど…)
はぁ…と溜息を吐き、既に各種コアが完膚無きまでに粉々になった元ゴーレム娘たちの亡骸を前に、
(
…と思案するのだった。
- パーツを90%集めたら再生できた罠 -
「「「え…まじ?」」」
同僚たちの前で、兎に角かき集めたパーツを盛って…ダメ元で
「ん…」
「あれ?…私、破壊されたと思うんですが…」
「え?…
と、付き添っていた2人の同僚に抱き着かれて折角起こした上半身が床に抱き倒される。尚、性別は無いが見た目は全て同一仕様の女性型ゴーレムだ。
「
「
(最初に目覚めた無口っぽいのがルミで、破壊されたと自覚してるのがサシャらしい。てか、仮の名前とはいえ、よく名前付けられるよなぁ…)
誰が名付けしてんのかなぁ…と思ってたら、ナルがぷいっと視線を外す。
「…ナル?」
「はい!?」
挙動が変過ぎ。
(…まぁいいか)
ここで突っ込んでも話しが進まない。
「…で。えーと、まずは落ち着こうか?…ミイナにトールだったか?」
「「はっ!?…しっ、失礼致しましたぁっ!!」」
ばばっ!…と横倒しにされていたルミとサシャから飛び退いて、2人の制服姿の警備ゴーレム娘が直立して敬礼ポーズでハモりつつ叫んでいる。押し倒していた2人の警備ゴーレム娘が少し恥ずかしそうに体を隠していることに気付き、ナルに目配せをして大き目の布を渡して掛けて貰う。人間と違う体ではあるが…羞恥心を煽って悦に入るような性分じゃないし…ね。
- 侵入者の正体は… -
「大型の魔物が…か」
「「はい…」」
四足歩行の大型の魔物…恐らくはグレーターウルフだろうか?…体高が3mを超す程の大きさといえば、記録に依るとグレーターウルフ。だが、思念波で人の言葉をカタコトで話し掛ける程の知性を伴っていると…
「グレーターウルフではないな。獣の類で言葉を操るとなると…魔獣か神獣の類でないと…」
「身体強化も使わずに私たちの体を砕くなんて…」
「わたし…は。最初の一撃で…」
ガクリと俯くルミ。そんなことないよ、私だって踏み潰されて何もできなかったもん…と慰めあってるが。
(破片の時に解析しておいて良かったか…一応本人たちの証言も合わせて…と思ってたけど一瞬過ぎてわかってないみたいだからなぁ…)
はぁとひとつ溜息。解析結果が嘘ではないことを示す
【残された魔力残滓の解析結果】
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◎名前:ブラック・フェンリル
◎詳細:通常種のフェンリルは白、或いは銀の体毛を持つが悪意に染まった黒の体毛を持つ種
◎備考:フェンリルは属性としては中立~善だが、ブラック・フェンリルは中立~悪。魔族側からすれば中立か味方ともいえる立場になる。人類側からすれば悪が殆どで機嫌次第では中立となるだろう
※魔族の軍勢に人間界に連れて来られて機嫌が悪かった可能性が高い
※フェンリルも機嫌次第では対立する可能性は高い
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「恐らくだけど…襲って来たのは「ブラック・フェンリル」で間違いないと思う」
ざわっ!…とざわめきが広がるが、ナルが振り向いて
「…続き、いいかな?」
静かに全員が頷く。
「で…恐らくだが。まだ侵入はされてないと思う」
え?…と驚く一同。
「何故?…って顔をしてるね。そりゃあ…」
小難しい説明をしてもアレなんで掻い摘んで説明すると…マウンテリバーにもノースリバーにも、外壁にも街中にもとある探知機を設置してある。何を探知するのか?…それは
「人間以外の魔力を探知する機械…というか魔導具を設置してあるんだ。潜入・侵入・普通に入ってくるのも含めてね?」
そして、今の所…人間やゴーレムのコアの魔力を含む物しか探知していない。魔族側の魔力は未侵入という訳だ。魔力波長は個人毎に微妙に違うけど…人間やゴーレムや魔導具の魔力は一定の域を出ない。つまり…それより高出力か低出力の魔力が探知されれば…魔族か魔物の侵入を許したことになるって訳だ。
「ま、敵は思ったより近くに接近してるとわかった訳だし…あ、ナル。例の物を」
「あ、はい…その前にこれを」
と、下着やら新しい制服やら装備品を並べて置いたワゴンを固定していた。天板の上は普通のテーブルみたいでそこに衣類を。下の段には装備品類を置いていた。
「「は、はい!…その、マスター…お願いがあるんですが」」
「ん?」
「その…あっち向いてて貰えますかっ!?」
「あ~…はいはい」
くるりと後ろを向くが…何故か姿身が置いてあり、着替えが丸見えなのだが…
『誰だ、こんなもん持って来たのは!?』
と念話で文句を飛ばすと、
『にしし…レムが運んでたよ?』
『何故!?』
『新しい制服だからって用意したみたい。マスターの前で変な着こなしを防ぐ為とか…』
『あ~、そういう…って!思いっきり覗き見になってんだけどぉっ!?』
一応解説しておくと…念話は統括体しか内蔵されてない(初期メンバーであるレムとシャーリーなどは除く)…そしてリーダーやサブリーダーは念話機能を持つヘッドギアがないと念話はできない。つまり、下っ端である4人には念話は通じてないのだ…
『だったら、目を瞑ってればいいんじゃない?…マスターの、え・っ・ち・♪』
完全に
「
「マスターを虐めない!」
…と、シャーリーを雑巾でも絞るように持って離れて行く…それ、凄い痛そうなんだけど…
「の、のぉ~!へるぷみぃ~!?…し、搾っちゃダメぇ~っ!!」
ぎりぎりと搾り、ぎしぎしと骨格が軋み音を上げている…時折、ピシピシとかパキパキとヤバそうな音が聞こえてくるんだけど…大丈夫なのか?(苦笑)
「ちょっ!…マスター見ちゃダメ~っ!?」
と、最後に叫び声をあげて…何だか「ちょろちょろ…」という水が流れる音が聞こえたけど。目を瞑っていた僕には何も見えなかった。聞こえちゃったけどね?(苦笑)
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ザック 「大丈夫なのか?…シャーリー」
レム 「大丈夫です。ちょっと雑巾を絞っただけなので」
シャーリー「嘘付けっ!!」
レム 「また絞られたいのDEATHか?」
シャーリー「あ…いえ…ゴメンナサイ…」
備考:自業自得であったw(ちなみに新制服や装備品は以前の物よりグレードアップしており、制服は防御力と耐魔性能が向上し、装備品である武装は同様に耐魔性能が向上しています)
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