63 その20 ~ドライールドに往こう その5~
大剣(但し、唯の鋼鉄製)を早速ぶち壊して、やれやれと3段変形武器を創ってユグに渡したら…サンドワームのぶちかましに堪え切れたユグがそこにいました!(2行で済んだ前話のあらすじ…orz)
━━━━━━━━━━━━━━━
- 怪獣大戦争・第2ターン -
「んぎぎぎぎ…」
サンドワームの
「今がチャンスよ!」
視線を向ければ緑色っぽい光に包まれたシャーリーがサンドワームの頭に突っ込んで行った!
「ウインド…アタック!!」
ガッガッガッ!
と、3段階に光が強くなり(風属性魔法なのに…)尤も輝きが強くなるタイミングでサンドワームの頭部に激突するシャーリー!…軟なボディなのにそんなことをして大丈夫なのだろうかっ!?
きらんっ
ひゅるるるる…ぽてっ
作用反作用の物理法則に従って、突っ込んでったシャーリーが返って来た。うん、ぶつかって跳ね返って来たので誤字という訳ではない。見れば、サンドワームは目に相当する辺りに当たったらしく、少し痛がってるようだ…尤も、砂中が主な棲み処なので目は退化していてほぼ目蓋で覆われた眼球には直接触れてないようだが…
「ま、まひゅたぁ…」
「どんまい…シャーリー、君の雄姿は忘れないさ…」
「ひどっ!!」
レムの耐久度回復の土属性魔法を受けながらシャーリーが憤怒するが…無茶な特攻を褒めるつもりはない。
…なんてコントをしてると怪獣大戦争の力と力のぶつかり合いの均衡が崩れたようだ。シャーリーの特攻は全部が全部、無駄だった訳ではなかったらしく、サンドワームが怯んだ隙にユグが魔力砲モードにした「ルドラン」を魔力充填してから魔力弾を放つ所だった!!
「いっけぇ~~~!!!」
きゅうううう…ぼっ…!!
砲口に光が集まるエフェクトの後、目にも眩しい魔力弾が発射され…サンドワームの頭部を潰しながら貫通して…脊椎を粉々にしながら背中の途中から突き抜けて行った!!
〈おおおおぉぉぉぉ………ん………〉
どざああああんんっっっ!!!
余りにも大きな体躯が力を失って落ち、ほぼ至近距離といってもいいユグが勿論のこと、数10m離れた街道やその後ろの砂漠までもが砂煙と粉塵と化した砂漠の砂が吹き付けられ…その場はちょっとした砂丘と化していた…いやこれ、人力で片付けるとしたらどのくらい街道が使い道にならなくなるんだか…
・
・
「ぺっぺっぺっ…ふわぁ、酷い目に遭った…」
普通の人なら生き埋めになってもおかしくない砂丘の底から這い上がって来るユグ。そして、その穴から華奢で小さな体に似合わない巨大兵器「ルドラン」を引っ張り上げて…バランスを崩してコケ、「きゃっ!」と叫んでいる。うむ、実に見ていて微笑ましい…え?微笑ましいじゃなくてアンバランス?…まぁ、そうともいえるか。
ぱっ!…どさっ…
その後方では転移魔力光を放ちながらゴーレム馬車がやや空中に…元の街道より高い位置へと…砂丘の上へと現れ、砂地へと着地を果たす。
ぎいぃっ
砂で
ちなみにザックが日常的に行使している転移魔法は生活魔法の
「はぁ…短時間にアポートと転移と…疲れるわ…」
「ごめんなさいマスター…そしてありがと~…」
シャーリーが珍しくザックに謝意を示す。シャイな性格のせいか普段は照れ隠しに冗談をかますのだが、今回だけは素直だった!w
「ぅわぁ…」
レムが思わず出た驚愕の声に全員が目を向けると…頭部が半ば破壊され、背中の途中まで透明で巨大な串でも貫通したかのようなサンドワームの死骸が横たわっていた。そして…
「ぃぇぃっ!」
と、にっこりと勝利のヴイサインを…ピースサインともいえるが…を示しているユグ。もう片方の手にはユグ専用武装「ルドラン」が陽の光を受けて、
きらん…
と輝いていた。
- 怪獣大戦争・その後 -
「はぁ…予想はしてたが勝てたか…」
取り敢えずユグからルドランを渡して貰い、損傷や不具合が無いかストレージに収納してみている所だ。レムにはアイテムボックスにサンドワームの死骸を収納して貰うように頼んであるが…
「全部入ったけど…」
そう。彼女のアイテムボックスでは時間停止機能は無い為、時間が経つと腐ってしまうのだ。一応、不完全ではあるが10%程は遅延して腐り難くはなっているが…完全に時間停止してしまうと色々と面倒なのでわざとそうしている。仕方なく、一旦出して貰ってから「凍結処置」を施してから、再び収納して貰った。これで1週間くらいは保つだろう。時間は凍結できないが、保温保冷機能はあるからな…
・
・
「よし、問題は無さそうだな。魔力だけ充填しといたから」
と、ユグに返す。ちなみに収納するのはアイテムボックスではなく…腰の後ろにセットした、短剣を納める程度の大きさの「鞘」だ。ユグはルドランのコアからのアドバイスに従い、その巨躯を背中側に回すと…ひゅんと縮んで鞘に収まる。まるで消えたかのように見えるが、鞘に収まった「ルドラン」は装飾も少ない唯の短剣のようになって収まっている。取り出してもそう念じなければ唯の短剣として振舞うだろう…戦闘でもなければ、日用品の短剣…果物ナイフとしても扱えるという訳だ。
「あ、ありがとう…兄さま!」
頬を赤らめて恥じ入るユグは…人間だったならと思える程に可愛かった…そして…某2人の視線が冷たく、痛かった…何故だっ!…僕は唯、強い護衛ゴーレムを創造しただけなのに…!!
※ドライールドに入ってからも苦労するのが偲ばれますな…(苦笑)
- ドライールド -
「はぁ…到着した…な」
「ですね…」
目と鼻の先には…ドライールドの大きな城壁と見紛える程の高い壁と、物々しい様子の門番というか…門兵がたむろしていた。ドライールドには3つ程門があり、サンフィールド側からは街道が1つしか無い…要は、こちらから来るのは。
「バレバレみたいだよ?」とお
「どうしますか…マスター?」とレム。殺意が滲み出ていて怖い…
「ねね…ぶっとばせばいい?…兄さま」と、相手側からの敵意を敏感に感じ取ったか、
「はぁ…なんでうちの女性陣は血の気が多いのしかいないのか…」
ゴーレムなので、流れる血は無い…と突っ込み返そうか悩んだが、スルーすることに決めたシャーリーであったw
━━━━━━━━━━━━━━━
備考:サンドワーム出現と結界破損の報が流れ…偵察隊が派遣されて門を出たらザックたちと遭遇してざわざわしてる場面に出くわした模様w
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます