62 その19 ~ドライールドに往こう その4~

ドライールドへ続く街道を移動してたらでっかいミミズに襲われて、街道を護っている結界がぶち壊された!

ザック「僕らのせいじゃないぞ?…サンドワームのせいだからねっ!!」

他一同「まぁ…そうだね」

※この言い訳の為に手を出さなかったのか?(苦笑)

━━━━━━━━━━━━━━━


- 怪獣大戦争勃発! -


「やあああっ!!」


一応、全武装の説明はしてたんだけど…


まずは遠距離から様子見の攻撃をした方がいいよ?…と説明した筈なんだけど…


精鋭護衛ゴーレムユグは全力で…身の丈の3倍はあるだろう、大剣を構えながら大ジャンプしていた。そして…


どぱこぉぉおおおんんっっ!!


と、殴り付けていた…ぉぃぉぃ、そんな使い方してたら痛むぞ…刀身が。


「…はぁ、これなら剣じゃなくて鈍器を創ってあげたら良かったか?」


「あははは!…まぁ、最初はやりたいようにやらせておけば?」


どーせ壊れたって創り直せるんでしょ?…とシャーリーがザックの後頭部にのさっと覆いかぶさってきた。躯体が50cmと大型化したせいか、ボディサイズに合わせて巨大化した胸の一部が頭頂部に乗っかり、実に心地y…否、あるじに対して如何なものか?…という態度だ。だが、シャーリーはそんなザックの心境を察しているのか、素知らぬ顔で頭乗せを続行してニヤニヤしていた…


「シャーリー?」


「別にいいじゃない?…それよりあれ…」


ザックが(見た目には)嫌そうな顔をして名前呼びするが、シャーリーは外を見ろと指差す。


「何だよ…って」


丁度、ユグが大剣を叩き付けて粉々に砕け散った所だ。その刀身は幾度もの衝撃に耐えられなかったようで、刀身の根本を僅かに残してへし折れ、破砕してしまっていた!


「なっ!…何て脆いの、これぇっ!?」


急ぎサンドワームから飛び退き、ユグは急ぎ魔力砲を取り出してセレクトレバーはそ貫通モードのままに撃鉄を起こし…引き金を引く!


「狙いを付けずに撃ってもなぁ…」


そんな様子を見ていたザックだが、相手は巨大生物だ。相手にしてみれば至近距離と変わらぬ…せいぜい20m程度の距離では目を瞑っていても当たるだろう!


「当たれ~!…当たれ当たれ当たれってばぁ~!!!」


がしがしと引き金を引き、がしゅんと撃鉄を起こす…とはいえライフルタイプなので、拳銃とは起こし方が違うのだが。


がしゅん…どぱぁん!


がしゅん…どぱぁん!


がしゅん…どぱぁん!


大体1秒毎に魔力弾が発射され、寸分違わず…とはいかないが凡そ1m以内の誤差を以て全弾サンドゴーレムに雷属性の魔力弾が殺到して命中した。だが…弱点属性ではないせいか、それとも彼我の差が余りにも大き過ぎたのか、意に介した様子が無い。


「ありゃあ…。全然効いた様子が無いですね?」


「…小石が当たった程度には効いてるようですよ?」


シャーリーが見たまんまの感想を漏らし、レムが冷静に解析した。例えば…HP1万に対し、大剣のダメージがゼロで、魔力弾のダメージが1ダメ×3とすれば確かにその通りだが…


「あれの弱点とかわかるか?」


属性の相克を考えれば…砂は土に通じる為、木や樹属性が弱点となる筈だが…


「…恐らくですが。水、ですね?」


何故疑問形?…と思惑もないが。砂は土と違って生命を育む為に水を吸い上げたりする性質は無いのだろう。どちらかといえば…


「水に流れ易い、からか?」


こくりと頷くレム。ならば…と、新たな武装を創造する。基本は水…そして複合属性として氷と雷。基本形は大剣…そして魔力砲の砲身を添える形で形成する…だが、馬鹿力でぶん回すことを考えて堅牢性も加え…だが攻撃を受け止める為に盾もあった方がいいだろうと最後に加えることとする。名付けて可変銃盾砲マルチウエポン…固有名は「ソシールドランチャー」…ソードとシールドを融合させ、魔力砲の言葉を後付けしてみた…が、


(ちょっといい辛いな…)


少し考えた後、「ルドラン」とした。何、名前は兎も角その武器のことだとわかればいいだけのことだ。


※某食欲の塊の神を斬る武器みたいだなんていわないことw



- 新装備創造!そしてユグは… -


「設計図構築…」


ストレージに新武装の設計図が構築される。そして完成して錬金魔方陣の設計図枠に装着される。


「錬金素材構築…」


砂を投入して錬金素材を物質変換して構築…必要数が完成されると錬金素材枠に設置される。


「コア創造…」


設置された素材からコアを錬金創造する。犠牲になった大剣のことを鑑み、簡易思考コアも組み込むこととする。ユグが戦い易いように戦闘時にアドバイスができるようにだ。これでオーバーパワーで武装破壊もある程度は防げるだろう…多分。無論、魔力を蓄積・放出できる魔力コアも別途創造する。自らに掛かる過負荷から守る為に防御力上昇や武装自身を高耐久化、そして肝心の攻撃力強化魔法を発動できるように魔法コアも同時に創造しておく。


(大剣は…唯の頑丈な通常物質の剣だったしな…)


強靭な体に過大な力がぶつかれば…あっけなく破損してしまう訳だ。


「さて…肝心の刀身・盾・銃身の構造材はどうしようか…」


矢張り、あれしかないだろう…と考えるザック。あれとは…


「オリハルコン、ですか?」


「そうだな…ま、あくまで疑似だけどな」


レムに問われ、ザックは肯定する。外装を疑似オリハルコンで覆い、内部を疑似ミスリルで構成して各種耐性と魔力伝導率を両立させる。刀身部位と盾部位は疑似オリハルコン部分を多めに、疑似ミスリル部分を少なめに。銃身は逆の構成にして魔力砲の射撃力を高くする。これは直接殴り合う訳ではない故の素材配分だ。


「砂の量は…うん、十分…というか何千と創造してもまだ余るくらいには在庫があるか…」


後はまた創造中に魔力が不足しないか確認し、十分あると判断して錬金魔方陣を「ルドラン」創造の為に再び活性化させる…



(柄の部位…創造)


(刀身…創造)


(盾…創造)


(銃身…及び、重要機関部位…創造)


(可変機構…創造)


(コア…接合)


(各種部位…接合)


(…各部位の磨り合わせ開始)


全てストレージの内部で行われている為、何も音などは聞こえてはこないのだが…金属パーツの為、現実空間で行われていれば


がちゃん!


とか、


がっちょん!


とか、色々な音がしていたのだろう…音は聞こえてはこないがw



そして、暫くの間…接合された各パーツがスムーズに動くよう、微調整が続けられ…内部のコアから響く感じの声が聞こえてきた。


〈グランマすたー、各部位の磨り合ワセ、完了しまシタ〉


微妙にアクセントというか慣れてない感じはするが…聞き取れない程ではない。グランマスターというのは創造主だからそう呼んでいるらしい。直接行使する者はマスターと呼ぶみたいだけどね。これは武装自身が認めた者か、グランマスターが指定した者しか扱えないって訳だ(元々ユグを行使者マスターとして設定してるんだけどね)


(まぁ、重過ぎて彼女ルドランの力を借りないと振り回すことすら難しいんだけどね…)


攻撃力と耐久力、防御力以外にもルドランには重力制御と慣性制御能力が内包されている。重力制御は文字通り、「重さ」を変化させて普段持ち歩いている時は軽く…戦闘時には振る時は軽くして素早く振り、インパクトの瞬間に重くして攻撃力を上げる…という使い方ができる。慣性制御も似たような使い方ができるが…その本質は「攻撃の軌道をいきなり変化させる」ことにある。例えば…


ケース1:ルドランを振る。敵が躱し、死に体の所へ一撃を叩き込もうとする…が、通常なら無理な体勢から無茶苦茶な振り方をして攻撃を受け止める!

ケース2:魔力砲の射線が通らない位置に敵が…だが剣では到底届かない距離に敵が居る!…だが、山なりに魔力弾を撃ち出し…頂点を超えた所で魔力弾の射線を曲げて敵に見事命中!!

ケース3:全力攻撃を受け止めようとするが、盾の耐久力と防御力が貫きそうな攻撃だ!…そこで慣性制御を発動させ、攻撃を逸らす…盾で受け止めるのではなく、横へ逸らして次の攻撃へ繋げるのだ!!


…などと、色々と戦法を考えられるだろう。どちらにせよ、魔力コアの容量を超える力は発揮できない為、使い処を考えないとすぐにガス欠になるだろう…彼女ルドランが如何にユグを誘導し、ユグがルドランを如何に使いこなすかに掛かっている訳だ。恐らく、これらの固有能力ユニークスキルは他には無いだろう…


(まぁ…有っても困るけどな…うん万年前なら兎も角…)


※わかり易いように固有名詞(重力制御とか慣性制御とか)を用いているが、当の本人はそんな理論とか言葉は知らない…冗長な言葉で大雑把に思考してるので悪しからずご了承下さい(え?…読んでてもよくわかんない?…ググって下さい(ちょっ!))



『ユグ!』


『兄さま!…ご、ごめんなさい…大事な剣を壊し…きゃあっ!!』


どぱぁああんっ!


体当たりを受けて吹っ飛ぶユグ。小柄な体躯が災いして、派手に吹っ飛び…丁度馬車の居る付近へと転がってくる。折角のおめかしワンピースがボロボロだ。服装に関しては特に指定してなかった為、真っ白なワンピースに白いパンツに白いサンダルという平民にしてはちょっと裕福なご家庭のお嬢様?…という出で立ちだった…が、今は無残にもあちこち破けて肩紐も片方しか残ってない有様だ(流石に素肌には一片の傷も負ってないが、砂が擦れて多少汚れているだけだった)


「ちっ…ユグ!コレを!!」


〈グランマすたーの、要請に依リ、具現化しマス。次回以降、召喚する時ニハ「サモン、ルドラン」と唱えて下サイ〉


これは2人ザックとユグの脳裏だけに響く。ユグはこくりと頷き、ザックの手に具現化したユグ専用武装「ルドラン」は…今、手渡された。


〈マスターの固有魔力波を検知…以降、マスターユグと、グランマスターザック所有者両名以外ハ、行使不能となりマス〉


きぃぃぃ…んと耳鳴りがして、輝いていた光も収まり…ルドランは大剣モードでユグの手に収まっていた。サンドワームといえば、余りの輝きに顔を背けて耐えていたが…光が収まった今、また光るのではないか?と…恐る恐る周囲を移動うろうろしていた。


「行けそうか?」


「…はい!新たな力を頂いた今、兄さまの為にユグ、必ずや…」


「お、おい…来るぞ?」


振り返れば、最早安全だ眩しくないと判断したサンドワームはその体躯を持ち上げて…ユグに対して振り下ろぶちかまそうとしていた…ボディスタンピングだとわかった瞬間には…ユグとサンドワームの頭部は


がきぃぃぃんんん………


と、高らかな音が鳴り響き、思ったよりは軽い音に目を恐る恐る開けると…


「んぎぎぎぎ…」


と、盾が展開して耐えるユグがそこにいた。流石に少しだけ砂漠に足がめり込んではいるが…


慣性制御と力を逸らして防御力上昇頑丈さアップか…」


新武装「ルドラン」の固有能力ユニークスキルに目を見張るザックだった!


━━━━━━━━━━━━━━━

最早人外の闘いに、辛うじて人間よりは強いけど常識の範疇に辛うじて引っ掛かってた程度のレムとシャーリーには追っつかなくて逃亡の2文字しか思いつかなかった!

シャーリー「いやいやいや、あたしだって物凄く強い武器とかあれば!」

レム   「その柔いボディで耐えられるの?」

シャーリー「え…えと…マスター!」

ザック  「生まれ変わるつもりがあれば用意するよ?」

シャーリー「えぇ~!?」

※今の体がお気にお気に入りなので、悩んだけどやっぱ諦めるシャーリーだったw


備考:砂漠では一般的な人や動物を襲うワーム系モンスター「サンドワーム」が立ちはだかる!…が、ヌシっぽく、街道の結界をバッキバキに破壊する程の大物で、目覚めてすぐに初陣を飾るユグちゃんは近接用装備の大剣を破壊されて敗退…。仕方なく新装備を創造して渡すザック。うん、ゴッ●イー●ーとかいわないように!w

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