51 その8 ~サンフィールドに往こう その8~

(闇堕ち寸前の)レムがあらわれました。どうしますか?


にげる ←

たたかう

まほう

どうぐ


びーっ


…ザックはにげられない!


※何故ド●クエ風味?w

━━━━━━━━━━━━━━━


- 魔王からは逃げられない!(魔王ちゃうし!w) -


「…ますたぁ?」


「え…レム?」


纏っている空気…いや、かすみもやに似たそれは…まるで闇のオーラのようだった。ゆっくりと、現実感が無いその姿は確かにレムのそれだったが…


「なに、してるんですか?」


「えっと…それは…」


ザックはレムの様子が普通ではないと感じており、どう答えようか…下手な答え方をしたらミランダ婦人たちがどうなってしまうか…そう考えると口をつぐんでしまうしかなかった。


「…」


婦人たちも冷や汗を掻いたような表情でレムを見ている。彼女たちも下手な言葉を放てば…レムがどのような反応をするか…想像に難くないのだろう。とそこに軽口を放つ存在が…


「レム何ぼ~っと突っ立ってんの?」


「シャーリー…」


ぽすっとシャーリーがレムの頭の上に降り立つ。


「あ、そうそう。賊をとっ捕まえて外に縛っておいたけど(レムが)…一応確認お願いしまぁ~す!」


と、廊下を指し示すシャーリーに、


(助かった…)


と心の中で感謝していそいそと出て行く私兵たち。そして残されたレムとシャーリー、ザックとミランダ婦人だが…


「で、何してんの?」


と、シャーリーが軽く質問すると、


「あ、いや…ちょっとな」


と言葉を濁すザックだったが、


「倒れそうになった所で支えて貰ったのですよ?」


…とフォローするミランダ婦人。


「本当なのかな?」


と小声で呟くシャーリーだったが、まぁいっかとドアに視線を逸らす。


「…マスター、やましいことは…してない?」


レムがハイライトの消えかかった目でザックを直撃させながら、そう問い質す。


「…レム。僕さ…母ちゃんに抱かれたことが…記憶が無いんだ」


「…」


「だから、ミランダ婦人の胸に抱かれた時…「母ちゃんに抱かれるのってこんな感じなのかな…」って思ってさ…」


ザックの吐露を黙って聞くレム。そしてシャーリー。婦人も黙って聞いていた。


「だから…つい、ぽ~っとしちゃってね…。あはは、ごめんな?…心配掛けて…」


瞳にハイライトが戻り、涙すら湛えたレムが、その場からダッシュしてザックを抱擁する。抱擁パート2だw


「申し訳ありません、マスター。私…その…マスターのことを疑ってしまって…」


ゆっくりとそう喋り、ぎゅうっと抱く力を籠める。素材は確かに土だが…彼女からは土臭い匂いなぞせず…いい匂いが鼻孔を刺激する。顔を包む幸せの双丘も柔らかく…見た目だけなら文句なく可愛らしい少女(平凡な顔付ではある為、美少女…とまではいかない。これは生まれた村の女性のイメージが強い故。マウンテリバーには美少女と胸を張っていえるリンシャやサクヤなどの女性はいるが、ザックのシャイな性格故に顔を凝視することはないのでレムたちを創造した時には反映されなかった為だ)のレムに抱かれていることに気付いたザックは…ぐいっと腕を伸ばして体を離すと


「あ、うん…わかって貰えて良かった、よ」


と、顔を真っ赤に染めてそっぽを向きつつ…そういうだけが精一杯だった!w


(青春よね…)


そんな甘酸っぱいやりとりを見ていた婦人は、そう思いながら自身の青春を思い出していたのだったw



- そんなこんなで耳癖悪い諜報員を… -


「この人たちが?」


「はい」


「ふぅ~ん…」


実は、ミランダ婦人の部下に人物鑑定のできる私兵が居たので紙にその内容を書き出して貰っていた。



◎名前:アール=ベレンティ

◎職業:諜報員(ランクD)

◎備考:ドライールド領主の配下(諜報部隊・副隊長)盗聴スキル持ち


◎名前:カーマン=デゼルド

◎職業:諜報員(ランクE)

◎備考:ドライールド領主の配下(諜報部隊・平隊員)荷物持ち・身体強化スキル持ち


◎名前:イーサン=フォルム

◎職業:諜報員(ランクE)

◎備考:ドライールド領主の配下(諜報部隊・平隊員)風属性魔法(レベル1)


◎名前:グッドマン=ハイライン

◎職業:諜報員(ランクD)

◎備考:ドライールド領主の配下(諜報部隊・平隊員)火属性魔法(レベル1)


◎名前:アインズ=ジェイデック

◎職業:諜報員(ランクE)

◎備考:ドライールド領主の配下(諜報部隊・平隊員)水属性魔法(レベル1)


◎名前:クベルク=ルイン

◎職業:諜報員(ランクE)

◎備考:ドライールド領主の配下(諜報部隊・平隊員)光属性魔法(レベル1)・遠視スキル持ち



6人ものチームで領主の館に潜入していたのだろうか?…と思ったが、


「あぁ~…副隊長ってのと風魔法持ちだけ潜入してて、盗み聞きしてたの。他は外で待機してたよ?」


とシャーリー。全員男性で荷物持ちだけが体が大きかったが、他はややバラバラではあったが大体中肉中背の体格だった。


「ん?…そういや隊長って肩書の人は居ないみたいだけど…」


何枚かの紙を見比べてみたが、矢張り居ないようだ。


「あ~…尋問したけどお国に居て今回は来てないみたいだよ?」


シャーリーがそういうが、尋問したのは私兵の人たちだろう。


「で~…目的は…まぁ工事の工法とか手段とか、かな?」


「そうみたいだけどね…」


「何回来ても無駄と思うのですけどね?」


婦人が口を挟む。だが、今回は…


「マスターが喋ってた話しで、「秘密を掴んだぞ!」って大喜びしてたよ…」


そのシャーリーの言葉に、「あ…」という声が漏れ、場が静かになる。


「つまり…マスターが攫われれば…」


そう…。工事を担当したザックを攫い、あれこれ無理やり訊き出して…拷問も厭わないだろう…こうまでして聞き出そう、盗み出そうとしている他領…否、ドライールド領なのだから。


「あ~…だから急いで戻って来てくれたんだね?」


「あ…はい」


仄かに頬を染めてレムが佇んでいる。おずおずと絞り出すように肯定している姿を見ると…


(女の子っぽくて…可愛いかも…)


と、思わずにはいられなかった…が、少し前の闇堕ち仕掛けていたのと同一人物とはとても思えなかった。


(女の子って…わからないなぁ…)


ザック…見た目は女の子であっても、それは君自身が創造した…ゴーレムなんだよ?w…と、忠告せざるをえない気分になるのであったw



「で、あの人たちはどうするんですか?」


まさか…斬首とかはしないよね?…と思いつつ訊くザック。ミランダ婦人と私兵たちは少し考え、


「もう少し尋問してから…ドライールド領に送り返す…だったわね?」


「…はい」


その際に王都…サンセスタにも書面を送るそうだ。ドライールド領には諜報活動に対する抗議書を。サンセスタにはドライールド領に対する罰を求める意見書を。今までは事後で被害報告のみ盛り込んだ内容だけだったが、今回は現行犯で捉えた諜報部隊員たちがいる。詳しい情報を絞り出して…必要であれば王都に連行して行くそうだ。その場合は送り返すことはできないが書面よりは余程効果覿面てきめんとなるだろう!


(だいぶ大事おおごとになってきたなぁ…)


諜報部隊の面々は既に牢に収容されており、顔がは見てないがシャーリーの視線で記録された映像を念話テレパシーで伝えられているので6人の人相・体格・名前はわかる。さっきの鑑定結果の名前で紐付ければ問題はない。但し、直接会ってないので言動や性格などはさっぱりだが…


(顔つきだけで…何となくわかるんだよね…どんな奴なのかってのが…少なくとも、「カーマン=デゼルド」っていう荷物持ち以外は…余りいい性格じゃないんじゃないかな?)


最悪は…全員腐った性根を持ってるって可能性だが。ザックは自分の蒔いた種だが…これは最後まで付き合わないとダメかなぁ~?…と、重たい溜息を吐くのであった…ドンマイ。


━━━━━━━━━━━━━━━

有耶無耶に…報酬も無いのに巻き込まれてるっていう…(いわれてないけど依頼だよね、これ?…と、無報酬でタダ働きかぁ~…と、シャーリーが同じように重たい溜息を吐いてたりするw)


備考:サンフィールドにお金が無いならドライールドから毟り取ればいいじゃん?…と、山と水を司る神がボソってたりしてたりしてなかったり?w(まるで、パンが無ければケーキを食べればいいじゃない!…といってた誰かさんみたいな…汗)

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