49 その6 ~サンフィールドに往こう その6~

サンフィールドの領主の館に到着→中に入って会合?してると賊の襲撃イベントが発生→シャーリーは外に出て索敵。ザックたちは転移して脱出。レムは館内部で大乱闘スマッシュ何とやら→賊を撃退し終えてレムが外のザックたちと合流(←いまここ)

※気を付けよう、殺戮スイッチ押す、その一言…字余りまくり(苦笑)

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- 主人マスターを思うが故の暴走…なのか? -


「な…なんですって?…マスターを…閉じ込めた?」


と、地獄の底から響くような低温…否、低音を口から響かせるレム。わーお♪…地獄の蓋が開いちゃったような危険値がガンガン上がってますよ?


ズゴゴゴゴ…


と、地震なのかわからない地面を揺るがす響きが伝わって来る。空間系の魔法を会得していればわかったかも知れないが、これは空間を魔力波で振動させている…とわかるだろう。簡単にいえば、余りにも強い魔力で振動波を撒き散らしているということだ(大きな鐘を鳴らすと近くにいればビリビリと振動しているのがわかる…といえばわかり易いだろうか?)


「あの?…レムさん?」


思わず敬語で問うザック。その目を見るとわかる…闇墜ちしかかっているということに!


(うわっ、やべっ!)


最近のレムは特にザックに対しては過保護となっている…要は、危険に対して敏感なのだ。ザックは原因が「軟禁部屋に閉じ込められた」という言葉に反応してると気付き、慌てて説明することにする。


「あ、レム!…そのだな…閉じ込めた主犯たちは、その…」


思い出せ!…思い出すんだ、僕の桃色の脳みそ!(それは唯の色ボケした脳みそだw)…と必死になって記憶を思い出すザック!!


「あ…あぁ、それでしたら主犯たる使用人たちは既に処分していますよ?」


と、追放処分を略して伝えるミランダ婦人。


「あ、そうでしたっけ?」


ザックはあれから色々とあったことで記憶が薄れていたので助かったと安堵するが…


「そう…なんです、か?」


と、闇墜ち一歩手前から…一言づつ、平常状態に戻っていくレム。


「そそそ、そうなんですよレムさん…」


一瞬、川●って名前がよぎったが、レムに置き換えて話す。うん、●崎って誰だ?


「…はぁ、ならいいです。今後は私がマスターに降りかかる全ての災いを排除しますのでご安心下さい」


と、キリリッ!とした表情で(その割には眠そうな顔は基本的に変わらないんだけど…)宣言するレム。台詞だけは格好いいんだけどね…


『キャハハハハ!…全てって…む、無理でしょ!!』


シャーリーは全力で笑い転げているし…


「…って、っ!?」


馬車から出てレムと相対していたら、空から降って来たシャーリーが頭に堕ちた。風魔法行使を止めてまで笑ってやがるし…


「…笑い過ぎ」


ひょいっとシャーリーの首根っこを…は首絞めるので胴体を両手で持って目の前で「めっ!」と睨む。


「あひゃひゃひゃ…ごめん、ごめんてマスター!」


尚も笑ってるのには理由わけがある。放置してるとレムにシャーリーがバラバラにされそうだったので…くすぐりの刑に処してる訳だ。こーでもしないと、折角ここまで育った優秀な索敵役が粉微塵だからな…ついでに僕自身の頭が巻き込まれて粉砕され兼ねない…イヤマジで(怖)


「という訳で、シャーリーにはもっと酷い…レムに我慢できるか不明な程に酷いお仕置きをするので、な?」


そういうと、シャーリーが引きるのがわかるw


「えっ!…ええ~っ!?…これより…もっとぉっ!?」


「くっくっくっ…(ぽそ)レムを怒らせると怖いんだからな?…併せておけよ?」


こくこくと高速首肯を繰り返すシャーリー。ちなみに今までシャーリーの大きさは公にしてなかったが…25cmくらいのフィギアサイズだ。主原料が土なのだが高圧縮されているのでそれなりに重い。風魔法で浮遊してない時は5kg程だろうか?…米の5kgの袋が25cm身長大のサイズに凝縮されてれば、そら重いだろう…


現状のレムに渡すとヤバそうなので、シャーリーは服の内ポッケに入れておく。入れる前には


「(ぽそ)余計なことは喋るなよ?…念話でもだ」


と、ポソっておく。これまた高速首肯したシャーリーは僕が内ポッケに入れるのも拒絶せずに触るが儘にされていた…。いや、うっかり触ってしまった胸とかお尻とか柔らかくて気持ちいいなんて…これっぽっちも考えませんでしたよ?…(シャーリー「嘘付けw」)



「さて…」


こほん


と咳払いをしたミランダ婦人。私兵たちは残党が残っているかも知れないと周囲に散って警戒をしているようだ。


「あなたたちは閉じ込められた使用人たちを解放しに」


「はっ!」


「あ~、1人は残って」


「畏まりました」


2人が頷き合い、足早に館へと入って行く。


「どれだけ荒らされたかわからないけど…応接室に」


「はい…」


ミランダ婦人とザック、レムは…私兵の案内を先導に再び応接室に向かうのだった…



- 再び訪れる応接室 -


「廊下は足の踏み場が無かったですね…」


「えぇ…」


仕方なく、一旦廊下の穴をストレージに収納していた土で穴埋めをしてから…破損した床板を収納してからいつか使うであろうと加工していた板で敷き直してから樹属性の魔法で整えた。流石に予知能力者でもないので、基本的な大きさで切り分けていた板では幅が微妙に大きかったので縮めたりしたのだ。その時の様子は以下略だ。



「これは…酷いですね」


「あぁ…」


壁こそ焦げたり汚れが付いてたりしているがまだ無事であったが、直接爆破された床は板敷きもあってか粉々になって地面が見えていたり穴が空いていてとても歩ける状況ではなかった。いや、無理をすれば歩けるとは思うが…


「ここを歩くのは女性には難しいでしょうね…」


子供でも無理じゃね?…と、先頭で穴の様子を見ていた私兵その1から呟きが聞こえるがスルー。レムとシャーリーにも


『黙っていてね?』


と釘を刺しておく。レムが脊髄反射で飛び掛かりそうだったので「子供」と聞こえた瞬間に、ね(苦笑)


「では、修繕しますので下がって下さい」


と声掛けして、私兵その1が婦人にいわれて下がったのを確認してから土を盛って圧力を掛けて均す。上に乗って沈んだら意味無いのでそれを何度か繰り返した。


「次は…」


破壊されてグズグズな板を収納。ついでに清浄化クリーンで壁も綺麗にしておく。端っこの板も僅かにささくれだってたのでそちらも収納。やっぱ綺麗な方がいいだろうと思ってね?


「…よし、後は板かな」


ストレージからこの廊下に合う幅と長さの板をチョイスして敷いていく…と、その前に板と地面の間に緩衝材と断熱材の性質を持つ素材を例の砂から物質変換して創り出しておく。先にそれを敷いておいて地面に接合してから板を敷く。


ばんばんばん!


…いや、置いたら重みで音が鳴っただけ。私兵その1もそんなに驚かないで欲しい…だって、こちらを見て「何をしたっ!?」って睨んでるんだもん…ほらほら、レムから闇のオーラが漏れ出してるし!


「ん~…やっぱし微妙に大きさが合わないか…」


仕方ないので最後の1枚を敷く前に樹属性魔法で板の大きさを縮めておく。そして最後の1枚も同程度に縮ませてから


ばん!


と置き、隙間を接合してぴったりと合うようにする。仕上げに緩衝材とも接合しておく。こうすることで板の上を直接歩いてもギシギシいわなくなる。まぁ…どーせ絨毯を敷くから重い人が歩いても足音とか聞こえなくなるんだろうけどね?(ほら、騎士とか重鎧装備するから重さが百何十kgにもなるし)


「後は…専門の人たちで補修すればいいですかね?」


ここまで無言だった婦人が口を開く。


「そ、そうね…驚いたわ。流石、治水工事を完璧にこなす子は違うわね…」


と、驚いていた。レムが得意げに鼻高々だったのが印象的だったが…まぁ、機嫌が良くなったのは重畳だ。私兵その1は「まさか…」と驚愕の眼差しでこちらを見てもいたが(苦笑)



応接室に戻って来た。


尚、この部屋は何も置かれてない(応接セットとして椅子とテーブル、そして飾りつけの見た目は高価そうだがその実安物の壺や観葉植物は置いてあったが)ので、特に破壊活動をされた様子はない。


「はぁ…何から話せばいいのやら…」


ミランダ婦人は説明責任を果たそうとするが…話すべき内容が多過ぎるのか、どこから話すべきか困惑している。まぁ…治水工事と貯水池の話、ということなら…正式に契約を結んでからブラックな労働にならない程度に僕が出向いてって工事してくりゃ済む話しだが…


(今は何処のギルドに所属してないからなぁ…つまり、何処からも保護されてないこの身は…最悪、奴隷の如く身を粉にして働いてもその領主は誰からも罰せられない可能性がある)


一応、マウンテリバーの住民という身分ではあるが、マウンテリバーの無職…というだけに過ぎない。時間ときが経てば、「マウンテリバーの北の守護」という肩書(元、ではあるが)も忘れ去られ…何処ぞに捕らわれの身になっても助けになんて来ないだろうし…。あ、うちの子ゴーレムたちは別だろうけどw


「あの…ひとついいですか?」


「何かしら?」


挙手してから意見具申してもいいか?…と問うと、婦人は疲れた目をして許可する。いや、そんな肩苦しい場ではないと思うけど、私兵その1の人が怖いし…あ、私兵じゃなくて睨むと発せられるレムの闇のオーラがね…(苦笑)


「技術提供してみてはどうかと思いますが…」


「…それであちらが納得できると思う?」


そうなのだ…ザックの工事は魔法前提の工法で…魔法を扱えない者には無理な工法だった。しかも、既存の土属性魔法では精密さや緻密さ、堅牢さが段違いで…少なくとも王城の宮廷魔術師などの魔力量を以てして初めて工事に耐え抜く。だが…攻撃魔法一辺倒では無理だろう。どちらかといえば防御や回復系統の精密さと緻密さ、そして堅牢さを出すには土属性魔法に長けてないと無理だと思われる。つまり…複合魔法を扱え、そのどれにも最高峰の魔力と緻密さで扱えないと無理なのだ。但し、暴力的なまでの攻撃威力は必須ではない。となると…これはもう世界を探してもそう何人も居るとは思えない程だ。


「えーっと…」


考えてみる。普通の人であの工事をできるかと問われると…多分、時間が掛かり過ぎて雨季が来る度に工事現場が荒らされて…


「うん、無理だと思います」


結論…魔法を使ってガンガン工事を進めないと無理。


━━━━━━━━━━━━━━━

ザックの請け負った工事案件は…とても金貨30枚以内で収まるようなものではなかった!…でも、既に報酬は支払った後なのでミランダ婦人は追金は払わないと思われる。だって…探索者ギルドには既に金貨500枚払ってるしね?w(当時のランクの徴税率は50%だったザックは金貨250枚受け取っている。…が、マウンテリバー復興金として召し上げられて残ってないという…orz)


備考:レムが闇墜ちしそうになったのでギリギリ留める苦労をした!(ちょぉっ!w)

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