25 その8 ~マウンテリバー、魔族の侵攻を受ける!…その8~
ザンガとサフランの
それよりも町の防衛に必要な戦力が不足していることの方が問題だ。攻めるだけならマロン単独でも戦闘を補助する何かを持たせば何とかなるにしても、攻めて来られた場合…何処から攻められるかどうか不明なのだ。マロン1人を防衛に専念させるにしてもとても手が足りない。まさに、猫の手を借りたい状況に…え?猫じゃない?…あ~、わかってる。虎だよね、うん虎…え~?…いい加減な返事をするな?…(面倒だなぁ~)
という訳で、マロンと同等戦力の存在を本人の許可を得て純戦闘用ゴーレムを創造することに…駄菓子菓子、当の本人の乱入により、疑似魂魄封入の儀式を邪魔されてしまい、
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- これ、量産したら大変だよな… -
「量産の予定だったんだけど…ま、まぁ量産向けのは1から創り直せばいいか…」
量産工程で生産すると性能が1ランク落ちてしまうが防衛には数が多い方が何かと便利だし点よりは面で防衛できた方がいい。基本的にハードウェア面とソフトウェア面はコピーでいいし、魂の部分は通常のゴーレムと同等で構わない。戦闘技術部分を
「という訳で、これ握って学んだ戦闘技術の全部を思い浮かべて?」
「イエス、マイマスター!」
と、ややハイテンションなお姉戦士に記録用魔石を握って貰う。いや、何が「という訳」なんだよっていってから思ったけどね…
(そういえば名前付けしてないけど)
…と思いながらマロンに視線を向けると、
「ん?…あぁ名前か」
と何もいってないのに聞きたい内容が伝わっていた。
(そーいえば念話で考えてたことが漏れたかな?)
…と考えていると、
「モンブランだ。性格はアレだが男らしい体だからな。名もそれに相応しい男らしいモノを…」
と、やけに饒舌なマロンに引く。ま、まぁ…彼女は末っ子だから弟?ができて嬉しいのかも知れない。甘そうな名前に「うわぁ…」という感想しか思い浮かばないが(苦笑)…マロンの
(そーいやパトリシアだったっけ…。元気でやってるかなぁ…?)
そんなことを思い出しながら、お姉戦士改め…、モンブランの手から魔石が光を失うまで待つのだった(光ってる間は記録動作中なので)
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「よし、終わったかな」
記録用魔石を寄こすように話して受け取るザック。一応、記録ミスや漏れが無いか調べる為にモンブランの額と魔石に手が触れた状態でチェックを開始する。何故かその間、モンブランの頬が赤く染まってたんだけど…理解に苦しむ(本当はコアのある胸が効率がいいが、額にも読み出し用の魔方陣が内蔵されてるのでそこから情報を読み出すようにしている。異性タイプのゴーレムの場合は胸に手を当てると色々と問題があるからね?…対外的に(苦笑)←モンブランは男性型だけどw)
「…問題無しと。じゃあマロン」
「承知」
待機していたマロンはカッと目を開けると1つ頷き、モンブランを引き連れて外に出て行く。これから敵地を視察して2人で軍議をして念話で報告。そのまま攻勢に打って出る…というプランだと聞いている。性急な気もするが、拠点の建造が半分くらい進んでいることがわかったのが昨日のことだ。魔物たちを昼夜問わず建造を進めているならば、1日でも早い拠点の破壊と集結している魔物の軍勢の数を削ぐことが急務といえる。その結果として発生する問題が…
「散らばった魔物たちがマウンテリバーを襲って来る…ってことだな」
防衛体制は未だ不完全だ。いや、外壁は別に破壊された所は無いし門番も誰1人欠けてはいないが…
「壁は対人用の基準で造られているし、門番だって追い払えるのはせいぜい人間の盗賊程度だし…」
これが種族が獣人になると、例えチンピラみたいな者でも基本ステータスの差で追い払えるか微妙になるだろう。
(必要な情報は得たし量産するかなぁ…今度は体は兎も角中身は普通のゴーレムと大差無い魂の無い従者だからストレージの中で大量生産は可能だし)
ザックは屋敷の中に戻り、自室に引き籠るのだった!w
- 獣人ツーマンアーミーたち -
『モンブラン』
『はい、お姉さま!』
『…マロンでいい』
『いえ!目上の者には敬意を示さないと!!』
『…そ、そうか』
『結局、獲物は大剣でいいのか?』
『はい!…流石に大剣の二刀流は無理でしたから』
通常、両手で扱う大剣を片手で振るうのも難しいのにそれを両手で振り回すなんて使いこなしてない時点で無謀だろう!…だがこの
※手榴弾の有効範囲は半径5m程。投擲距離は投げる者が今回は戦闘用ゴーレムなので…時速100km/hで投げたと仮定した場合、3秒で5kmは届く?…予備動作とか初速とか速度が落ちるとか考えても、少なくとも3km以上の射程はありそうですな(苦笑)(そんなの手榴弾の射程距離じゃねぇっ!)…というか、小石を投げて直撃させた方が殺傷力はありそう?(命中力は兎も角コスト的にはアリかも…)
・
・
此処はザンガとサフランが身を潜めて建造途中の拠点を伺っていた森だ。ゴーレムであるモンブランがその目で様子を伺い、隣のマロンに念話で視界を共有させていた。
『…殆ど完成してないか?』
『外観だけならそうですわね、お姉さま』
声色だけなら姉妹といってもいいが片方は細身マッチョのお姉戦士だ。第3者が見ていれば、若干引くだろうが…幸いなことに2人だけで行動しており、突っ込む者は不在だw
『内装は全然ですわ。せいぜい…食糧が僅かに運び込まれてるくらい?』
流石に糧食が無ければ軍隊というモノは維持できない。武器防具などは人型用に必要であり、他の魔物たちは自らの毛皮や固い鱗が防具に、鋭い爪や牙などが武器に成り代わる為に後回しにされているようだ。魔法を扱える後衛向きの魔物の場合、魔力が尽きなければ後方から攻撃が続けられるだろう…
『…まぁどちらにしろ、先制攻撃でぶっ壊せば済む話だ』
そして飛び出すマロン。その顔は完全に猛獣の笑みが張り付いていた…
(あちゃ…お姉さま、完全にイッちゃってるし…)
数日にも満たない付き合いであるが、戦闘訓練で嫌という程にマロンの性格を見せつけられたモンブランは先行するマロンを追いつつザックに報告する。
『あ、マイマスター?…これから突入します。また何かあったら連絡しますので!』
言葉足らずで念話が切れてしまう。恐らくはマロンが同意も得ずに突っ込んで、モンブランが事後報告で念話で報告したって所だろう。
「おいおい…ったくしょうがないなぁ…」
報告を受けた時点でザックのストレージには量産した防衛用戦闘向けゴーレムが取り敢えず10体が完成していた。
※(重量)23.078t / 100Mt → (重量)13.078t / 100Mt
10t程砂減少。量産型ではあるが一部簡素化したので必要な砂の量が減少したので1体1tで済んだ
「起動…仮名付与…作戦と防衛する範囲は与えたデータに入っている。質問はあるか?」
目前にごつい服装に包まれた10体の女性型戦闘用ゴーレムが立っていた。全員アイテムボックス機能を内蔵している為、見た目は手ぶらの軽装戦士にしか見えない。量産型の初期ロットの彼女たちは体格をマロンと同等にした為、まるで姉妹が10人に増えたように見えるが見た目は人族なので勘違いすることはないだろう。
「「「ありません!」」」
「なら行け。各々、使命を全うするように」
「「「はい!!!」」」
尚、戦闘部隊ではあるが軍隊じゃないのでその辺の規律は緩めにしてある。命令違反を犯す個体は無いだろうと思っての処置だが。尚、慌ててたので量産なのに量産試作品みたいな高価過ぎる躯体が10体となってしまった。戦闘力だけなら一騎当千とはいかずとも一騎当百くらいの性能はあるだろう(モンブランに関しては戦えば戦うだけ戦闘経験値が蓄積されて強くなっていくので、現在一騎当百であっても、将来的には一騎当千となる可能性はある)
防衛部隊にはツーマンセルでマウンテリバーの外壁の外に初期配置は平均的に5箇所を2人づつで護るように指示してあるが、敵の攻めてくる数や分布によって臨機応変に守護位置を変えるようにとも指示してある。索敵能力を強化してあるので間違いなく遂行してくれることだろう。
「さてと…」
これからザックはマウンテリバーに向かうことにした。目的はマウンテリバーの最外壁だ。目的は最外壁の強化だ。ノースリバーサイドに比べれば壁は薄いし人間や獣人であれば破壊するのに時間が掛かるが(攻撃系大魔法の使用は想定外なので除外。攻城兵器も同様)魔物が相手ではあっという間に突破される可能性がある。
・
・
それは兎も角(ザ&シャ&レム「「「兎も角で済ますな!」」」)、一行は貴族街中の最外壁に辿り着いていた…先日の侵攻劇で貴族街全体の建物は破壊され尽くしており、まず主要道路の瓦礫を撤去してから、その上で何箇所かで
「…瓦礫を先に全部撤去してからの方が効率いいのにねぇ…」
シャーリーが尤もなことを呟き、全員がうんうんと頷いていた。それでも主要な幅が広い道路の瓦礫は粗方片付いているので馬車の運行には支障が無い。
「…おい!そこの!!」
と、そこに大声が響く。まさか呼び止められたとは思わなかったので無視して進もうとすると、
「こらぁっ!待ていっ!!…侮辱罪で処断されたいのかっ!?」
ぎぃぃ…とチャリオットが停車する。ゴーレム馬が
「…どちら様ですか?」
レムが御者台から後方に顔を出して
『詰まんない用事だったら問答無用で出しちゃって?』
『イエス、マイマスター』
念話で簡潔に指示を出して、レムからも簡潔に返答が来る。煩い中年男性の声を聴くのも気力が抜けるので音を遮蔽して静かにする。これからお仕事に向かう為に気合を入れないといけないというのに、面倒ごとは御免被りたいのだが…そうは問屋が卸さないらしい。
『マスター、この自称「貴族の家の者」と名乗る中年おやぢが文句を付けてるのですが、どうしたら良いでしょうか?』
貴族の家の者…家令か使用人でも身分の上の者だろう。レムが要約した内容は以下の通りだ(怒声混じりで要領を得なかったので独自判断で纏めたらしい)
◎家を再建すべく、建材と建築家を要請してるのだが未だ音沙汰がない
◎お前たちは違うのか?…違うのだとしたら何故返事が無い!?
◎関係有る無しなどどうでも良い。早急に屋敷を建て直しに来い!
◎尚、この有様だ。金は無い。無いが、命令したことはやり遂げろ!
「うわぁ…」
典型的な上から目線の貴族だなぁ…と思ったザック。
『貴族の家の者っていってるけど、何爵だか聞いてる?』
『男爵みたいですよ。自称かも知れませんけど…あ、ジュンダンシャクっていってますね』
レムのカタカナ言葉っぽい発音に『ジュンダンシャクって準男爵じゃ?』って聞き返すと、どうやらそうらしい。
『じゃ、「
『わかりました。聞いてみます』
返事があった後で、(準男爵って1代限りの子孫に引き継がれない爵位だったような…騎士爵よりは上だけど領地は持てないのは似たようなものだったよな?)…と、コナンの授業で聞いた内容を思い出していたザック。
「…紋章見ても強気で居られるのかな?…それとも」
と、悪い顔をしながら音を遮蔽していた結界を解く。横にいたナルが「まぁ、悪い旦那様」とニヨニヨしているがスルー。
(さて、どんな反応をするかなぁ…)
と思いながら徐々に聞こえてきた声を聞いてみる…
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何処にでも居ますよね…相手を下に見て威張り散らす大人って(特に貴族に多いw)
備考:時間との闘い故に上には一切報告しないで勝手に話を進めています(事後報告はする予定ですが)…故に、見覚えのない集団(といっても全部で10人ですが)に気付いた冒険者や探索者、一般人たちが「見慣れない怪しい人たち?を見たんだけど…」という報告が
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