28 その5
サウスネクシティの探索者ギルドに戻り、全滅した探索者の遺体と遺品を持ち帰ったのだが、何故か探索者殺しの犯人扱いにされ、持ち物も検分するとかいわれて没収されてしまった「
━━━━━━━━━━━━━━━
- 結局無罪放免? -
「はぁ…またギルド行かねーといけないんだが…」
「気が向かんが呼び出される前に行くか」
「「はーい…」」
マシュウの気が重いといった表情に同様に気が進まないジャッカルが応え、女性陣が矢張り気が進まないとテンション下げ下げの返事で応える。ザックは無言で頷き、一行は仮住まいの宿亭から出た。
・
・
「「
「「「…」」」
探索者ギルドに入るなり、マシュウが受付にそういい放つ。このサウスネクシティの探索者ギルドは探索者が少ないのかわからないが、マウンテリバーよりも閑散としていて受付カウンターは空いていたのだ。マウンテリバーなら少なくとも数分は待つだろう。そしてマシュウ以外のメンバーは壁際で無言待機だ。
「えっと…少々お待ち下さい?」
受付嬢は慌てて奥へと引っ込んで行った。マシュウらが来たと報告してるのだと思うが中々戻って来ない。最初こそ受付カウンターでじっと静かに待っていたマシュウだが…
「呼び出されたってのに、何ですぐ出て来ないんだ?」
と、ジャッカルが先にキレタw…いや、女性陣たちも静かにキレテいるが声に出してないだけで殺気を飛ばしまくっており、ザックが横で苦笑いしている。
(…まぁ、今回は単なるとばっちりだから少しは抑えてあげないと可哀そうかな?…あの受付嬢さんだけは)
無論、あのギルド職員は対象外だが。このサウスネクシティの探索者ギルドがどれだけ貧乏なのかは知らないが、
(それとも、この町ではそんなことがまかり通っていて誰も彼もが容認してるってことなのかなぁ?…それだともっと上の方に報告しないとダメだよね…。ま、今回はマシュウさんたちに任せるしかないか。こんな子供がいっても聞いてくれないだろうし…)
そうザックは判断し、大人たちに任せることにした。一応、フォローはするつもりだけど…変な方向に話しが行きそうになったらね!
- 三度の応接室 -
「あ~、すまんな。ご足労頂いて…」
「いえ…」
例の
「あたしらの下着をか(むぐぅっ!)」
ジュンがいきなり叫び出したのでジャッカルが慌てて口を塞ぐ。
「あ痛たたたた!」
塞いだ手を噛まれてジャッカルも大声を張り上げる!w
「…おいおい。静かにできないなら出てくれんか?」
「あ、すまん。静かにさせる」
とマシュウが応え、後ろを見て睨むと2人は静かになった。尚、パトリシアはムスゥ~!とした顔で最初から静かだが何か言いたげにしていた。逆に静かなのが怖いとザックは苦笑いを更に渋いものへと変えていたが気付いた者は居ないだろう…
「あ~…マウンテリバーの探索者ギルドに問い合わせた結果、「
「おお…」と小さく声が上がる中、
「では、残りの物も返却して頂けるんですか?」
パトリシアだ。珍しく噛みもせず、平坦な声で質問をしていた。
「それは既に処分したから返「ふざけないで頂けますか?」却できないと…なに?」
「処分した物を返せとは異なことを…あんな汚物要らないだろう?」
「ふざけないで!…あれはザックくんが
珍しく激オコなパトリシアが珍しく長文を喋ったことに驚く「
(所謂、貴族侮辱罪だっけ?…平民の者が貴族を侮辱した場合、その場で斬り捨てられても文句がいえないって奴だ。探索者ギルドの中間管理職的な立ち位置のあのギルド職員が貴族というのは有り得ない訳じゃないし…うう、人物鑑定ができないのがこんなに恨めしく思ったことはないな…)
ザックができるのは植物鑑定のみ。このスキルは
「~~~~…ふぅ」
パトリシアに挑発?されて怒り心頭で顔を真っ赤にさせていた
(うわ…あの手拭い、搾ったら汗が流れ出るんじゃないかな?)
と思うくらいには湿った程度ではなく、見るからに汗でギトギトしてる気がする。見てたら
「下らない世迷言でわしを怒らせんでくれないか?…汚物は消毒…いや、破棄したといった筈だ。依ってここにもギルドにも無い。いいか?…無いのだっ!」
(売ったな…)
(どっかの好きモノに売り払ったんだな…)
(何てこと!…何処のどいつに…キモイ!キモ過ぎる!!)
(…)
心の中で売却したと決めつけるパトリシア以外の面々。パトリシア1人だけが更に氷の表情でおっさんを見詰めていたが、最後には「そう、ですか」と呟き、ギルドを出て行ってしまった。
「…いいんですか?パトリシアさん、出て行っちゃいましたが…」
ザックが心配して訊くと、
「あ?あぁ…頭を冷やしに行ったんだろ?…放っておけ」
と返すジャッカル。結局、後は淡々とした事後報告の台詞だけをカンペを読みながらおっさんが喋り、一方的に打ち切って退出。
(あちゃ~…あんなのに反抗したらパトリシアさん、ヤバクないかな?)
出て行く時に見せたニヤケ顔がかなり怪しい。いや、パトリシアさんじゃなくておっさんの方だけど。
「マシュウさん、ジャッカルさん。あのおっさん、パトリシアさんに何かちょっかい掛けそうな予感がするんだけど…」
と、不安気に2人に何とかしないとって進言するけど、
「いや…腐っても貴族さまだろ?…下手なことすると打ち首にならないか?」
「あ~…しょうがねーな。パットを確保しに行くか…ったく面倒なこって…」
マシュウは自分の身可愛さに乗り気ではなく、ジャッカルが面倒なことにならないようにとパトリシアを探しに走り出した。
「あ、ちょっと!あたしもパットを探しに行くわよ!?」
と、ジュンも追いかけ始めるが余り体力が無い為に、1時間くらい後でゼーハーいいながら宿に戻ってくるのであった!w
・
・
時刻は深夜ともいえる午後10時過ぎ。先程、ジャッカルさんが2階の窓から戻って来て大声で咆えた後、また外に出て行った。宿の人たちも既に殆どが就寝し、起きていた主人が「うるせぇっ!」と怒鳴り込んできた時はびっくりして謝ってたら、「子供はさっさと寝ろ!」といって戻って行った。ちなみにマシュウさんも探しに出ているので此処には寝ているジュンさんと僕しか居ない。
「あ、お帰りなさい」
「ただいま~」
パトリシアさんが戻って来た。この人も2階の窓からだ…てか、探索者の人たちって軽業師みたいによく2階の窓に登れるよね…。僕?…まぁ、やろうと思えばできるけど。
「何処行ってたんですか?」
「ん?…ちょっとね。手紙出して来た。それよりお腹空いたけどご飯は?」
「あ~…もう食堂閉まってますよ?」
「あちゃ~…もうちょっと早く帰って来れば!?」
ぐぅ~と可愛らしい?音がパトリシアさんのお腹から聞こえてきた。苦笑いしながらそんなやり取りをして、ちょっとじゃ済まない時間…この宿は門限が午後9時くらいで帰って来ないと問答無用で閉めちゃうらしい…なので、こうフォロー?してあげた。
「いえ、もう10時ですし。「この暗い中、何処うろついてるんだ~!?」ってジャッカルさんがさっき戻って来て猛り狂ってましたけど、大丈夫ですか?w」
といってあげた。
「うわ…やばぁ~…わかった!寝る!!」
「あははw…はい、おやすみなさい」
ドタバタと走り出したので、
「ジュンさんが寝てるので静かに…」
といったらソロソロと歩き出したのが可笑しかったけど…
(さて…このまま起きてると、また主人にどやされそうだし、書き置きだけしておこうかな…)
と、今もパトリシアさんを探して出払っている男性陣2名の為に、メモを書いてテーブルの上に置いておいた。
- 後日談 -
いや、後日といってもマナのダンジョンを擁するサウスネクシティを僕ら「
「あの
「準男爵も取り上げられて平民に戻ったとか聞いたぜ?はっ!…いい気味だぜ」
「へぇ~…。そうなんですか」
マシュウとジャッカルがザックに聞いた話しをいい気味だと話す。横で聞いてる女性陣2人はムスっとした顔で聞いてない振りをしているが内心は「いい気味よね」と思っていることだろう。対するザックは一晩軟禁された以外には特に何もないせいか感心薄で流しているが…
「そういやサウスネクシティの探索者ギルドから謝罪金ってのが届いてるんだが…何か知ってるか?」
「いや?…まぁ悪さしまくってたおっさんを追い出したお陰でって意味じゃねーか?」
「かもなぁ…」
「ちょっ!…その謝罪金って、まだ使ってないわよね!?」
マシュウがジャッカルと謝罪金のことを話しだした途端、ジュンが目の色を変えて嘴を突っ込んできた。流石このチームの金庫番というところだろうか?w
「え?…あぁ、まだ使ってないってか届いてすらいないんだよ」
「何ですって!?…今すぐ金額といつ届くか確認して頂戴!!」
「あ、あぁ、わかったから顔!近いって!!」
と、金が絡むと形振り構わなくなるジュンさんだった…。ちなみに、謝罪金って幾らだったかというと、金貨10枚とか。共有資産がこれで2桁になって暫くは安泰な「
━━━━━━━━━━━━━━━
今回はちょっと短め。次話は翌日、凝りもせずにマナのダンジョンに挑むよ!
備考:
探索者ギルド預け入れ金
金貨950枚、銅貨1617枚(変化なし)
ストレージ内のお金
金貨170枚、銀貨108枚、銅貨163枚(変化なし)
財布内のお金:
金貨2枚、銀貨57枚、銅貨80枚(変化なし)
今回の買い物(支出金):
なし
ザックの探索者ランク:
ランクC(変化なし)
本日の収穫:
チーム共有資産として金貨10枚…は、マウンテリバーに戻ってから受け取ります(個人資産じゃないので特に書かないけど)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます