11 その11

第3階層に入り、草原に変じていた元洞窟型ダンジョンでウルフ型の魔物と死闘?を演じたザック。戦闘を終えた後、森の入り口付近で休憩しようと生活魔法を用いて休憩用に木小屋ログハウスを生成する。中に入り暫しの間休憩を…と思っていたのだが翌朝までがっつりと寝てしまい、何者かに依ってドアを強くノックされて文字通り叩き起こされる。それは…ウルフの大群に襲われていた探索者たちだった!…ぶっちゃけ、モントレというダンジョン探索者ではタブーとされている行動を起こした者たちを助けるのはどうかと思っていたザックだが、目の前で死なれるのも目覚めが悪い為…既に叩き起こされてるって?…仕方なく助けることに。念の為にモントレに巻き込んだ責任を取って貰うようにと契約書を交わし、契約魔法を掛けることに。そして止めるのを聞かずに木小屋ログハウスの外に出てウルフを殲滅するザックであった…風魔法?いいえ、生活魔法ですよ?

━━━━━━━━━━━━━━━


- 結局第3階層からトンボ帰りしちゃったよ… -


「…地上に到着です」


「「「やっと着いたぁ~…」」」


ザックを先頭に「息吹いぶく若草」チームの4名がダンジョン入り口まで辿り着く。第2階層は地図を片手に最短コースを。第1階層はザックが経路を暗記している為に何も見ずに最短コースを辿ってきた訳だが、道中の戦闘は先頭を歩いているザックが殆どの魔物を瞬殺していた為に後方を歩いていた4名は止まらずに歩いていただけだった。


「嘘…でしょ」


「第3から地上まで3時間って…」


木小屋ログハウスを建てた地点から第2階層への階段通路まで30分程。第2階層を歩くのに1時間半程。そして第1階層を1時間程で移動した計算となる。第1と第2階層はほぼ同じ距離を歩いた訳だが、地図を確認しながらの移動だったので余分に時間が掛かったこととなる。ザックとしては走っても良かったのだが、4人の探索者に疲労が残っていた為に敢えて歩いて来たという訳だ。他に、普通に荷物を背負っていて走るとすぐに動けなくなりそうと推測された。


(代わりに持ってあげても良かったけどねぇ…)


木小屋ログハウス1軒を入れた上に全員の荷物を入れられるとかどんだけの容量のストレージを所持してるんだ!?…と思われても面倒なことになるからなぁと思っていたが時既に遅し、だろう。黙っていて貰う為に誓約ギアスでも掛けた方がいいだろうか?…と思っているザックであった。



- 探索者ギルド -


「おはようございます。只今戻りましたぁ~」


ザックがギルドの入り口を抜けてギルド職員に声を掛ける。その後ろからぞろぞろと「息吹いぶく若草」チームの面々が続く訳だが…


「おやお帰りザックくん。彼らは?」


中年のギルド職員がザックに声を掛け、質問すると、


「あの兄ちゃんたちのモントレに巻き込まれたんだけど、一応本人たちの口からも説明をしたいだろうと思って連れて来たの」


と、さも当然と答えるザック。当の本人たちは居心地が悪そうにそっぽを向いている訳だが、ギルド職員はガラッと雰囲気を変えて


「そうか。君たちこちらへ…ザックくんも一緒にお願いできるかな?」


と、真剣な面持ちでカウンターの奥へと案内されるのだった。その間、リンシャはというと「モントレに巻き込まれた」という言葉を聞いて硬直していた。無理も無いとは思うが、職務は全うしないとダメだろう!w



一同はカウンターの奥にあるとある1室に案内されて中に入った。後からもう1人入って来てから尋問のような雰囲気の元、話し合い…というよりは一方的な質問が始まった。ザックは「出番まで黙っているように」と小声で伝えられ、4人の座っているソファとは別の椅子で座って様子を見ていた。


「じゃあ順を追って説明して貰えるかな?」


「…はい」


リーダーのマシュウさんが代表して質問に答えていく。尤も、ダンジョンに入ってから第3階層までの内容は聞いてなかったので知らないのだが。


「…成程。第3階層に入ったら今までとは違うタイプのダンジョンに改編されていたと。そこで、壁沿いに調査をしていたらウルフの巣を発見して…」


「えぇ、うちのメンバーがドジこいちまって…ぶっちゃけると発見されて…って訳です」


ギルド職員が暫く考え込み、


「でしたら、普通は壁に沿って第2階層へ逃げ込む方が安全なのでは?…」


溜息を吐きながら指摘する。聞いていた内容からすると逃走の方向は壁に沿ってではなく、ほぼ真っ直ぐに第2階層への階段へと向かっているように思えた。壁に沿って移動すれば既に討伐済みの経路を辿った方がより安全だろう。


「え~、まぁ…そう、なんですけど」


「あの…ウルフの数が尋常じゃなくて…混乱しちゃってて」


ジュンとパトリシアが頬をぽりぽりと掻いて言い訳をしていた。要は数に驚いて冷静な判断を欠いたようだ。大まかな方向はわかっていたのもあり、最短コースを突っ走ってしまったのだろう。


「成程…。その後は、ザックくんも知っている内容と」


「はい…」


ギルド職員が紙に書かれている文章を読みながら溜息を吐いていた。それはザックが帰途の途中、休憩時間(10分程度を2回だけであるが)に書き留めた見聞きした内容を書き留めたものだった。


「宜しい。取り敢えず待っているように」


ギルド職員はドアの横で待機している同僚?に2言3言、声を掛けて退室する。それから10数分が経過し、4人が焦れて来た頃に戻って来た。ザックはストレージ内で錬金作業をしながらだったので全然暇してなかったのだが、寧ろ集中していたので(もう戻って来たのか)と思っていたくらいだったw(表面上はじっと虚空を見詰めてぼ~っとしてるようにしか見えなかったらしいが)



「待たせたね。さて、ギルド長からの沙汰を言い渡す」


忙しいからと、引き続き彼に仕事を丸投げするギルド長だったw


「まず、「息吹いぶく若草」チームだが…本来なら1週間の謹慎とザックくんに迷惑料として銀貨10枚の支払いを命じる…という所だが。払えるかね?」


4人は顔を見合わせて、頭を横に振り…


「無理です。まず資金が銀貨数枚くらいしか…それに1週間も干されたら宿を追い出されてしまいます…」


彼らは今回のダンジョン遠征でドロップ品や採取品を得て、その売却額でこの先の宿賃と生活費や雑費諸々を稼ぐ予定だったのだろう。だが、結果として多数のウルフに追いかけられ、そこまでに拾っていたドロップ品は確保していただろうが装備の損害の方が大きくて赤字決算となっていた。


「…だろうな」


聞かずとも彼ら4人の恰好を見れば想像は付く。だが不思議なのはザックだ。モントレに巻き込まれたというには綺麗過ぎた。怪我も負ってないし、装備もそれ程くたびれてないように見える。


(…まぁそれはいい。怪我の1つも負ってないということは、何らかの方法でモントレを回避したのだろうが…かといって4人の方は無罪放免ともいかないし迷惑料も払えないとなると…)


少し悩んだ結果、ギルド職員の下した裁定はこうなったのだった。


「では、こうしよう。「息吹いぶく若草」チームはザックくんの護衛任務に就くこと。期間は2週間だ。今日から2週間ではなく、ザックくんがダンジョンに潜るか、何処か遠征しに行って帰って来るまでの間、護衛に就いている期間とする。勿論、往復で2週間を超える場合、「2週間経過したから帰る」ではないぞ?…きっちりマウンテリバーまで戻ってくるまで全うして欲しい」


一息でそこまでいうと、マシュウたちがざわつき始める。


「え…無償で、ですか?」…とマシュウ。


「当然だ」


「そんな…その間に食料が尽きたり路銀が尽きたら…」…とジャッカル。


「別に貸してやっても構わんぞ?」


「ギルドから借りたら利子が付くじゃないですか!?」…とジュン。


「確か…トイチでしたっけ?」…とパトリシア。


「何処の高利貸しだよ…月に1割って所だな」


(へぇ…探索者ギルドってお金を貸したりしてるんだ…)


ザックがやり取りを聞きながらそんなことを思っていると、


「でも、真面目に水と食料の備蓄があんまり無いんだよ…」


とマシュウががっくりきていた。


(護衛かぁ~…ソロの方が行動し易いんだけどなぁ~…。でも、教わることも少なくはないんだろうなぁ…どうしよっか?)


と考えていた。だったら、食事くらいは負担してもいいかな、とも…



- 翌日・朝 -


「じゃあ今日から宜しくお願いします」


「「「よ、よろしく…」」」


息吹いぶく若草」チームの4人は実働2週間の期間、ザックの護衛(強制)依頼をこなすこととなった。所謂仮初めのチームを組むこととなった訳だが…


「では、本日から息吹いぶく若草」チームに仮加入をするということで?」


受付嬢のリンシャから再確認をされるザック。彼が頷くと、


「ではこの書類に必要事項を記入して下さい」


と、登録書類とペンを渡される。ザックはそれらを手に取り、不明な点や何を書けばいいか質問して空いている項目を埋めていく。


「はい、これで大丈夫です」


書類を仕舞おうとするリンシャにザックは慌てて質問をする。


「えと!…チームの仮加入なんですが、マシュウさんたちの…」


と、そこまでいうと、「しっ!」と人差し指を口に当てて黙っててとジェスチャーをされて口を噤むザック。リンシャはザックの耳を摘まんで口に寄せると、


「その辺はオサールさんから聞いていますから心配しなくても大丈夫ですよ?…それより、そろそろチームでの団体行動に慣れておいた方がいいと思いますよ?」


と、小声で話す。耳がこそばゆいと思ったザックだが…


(文句をいったら怒られそうだなぁ…)


と考え、じっと我慢の子で黙って忠告を聞き入れるのだった…



受付カウンター前だと邪魔になるので、壁際まで下がって相談を始めているザックたち。一応、観葉植物で隔離された座席ありの区画もあるが使用するには最低ワンドリンクを有料で支払わないと利用できないので空いている辺りに陣取っていた。


「じゃ、じゃあ今日も第3階層に行くということで…準備の方、宜しくお願いします」


ザックはそうマシュウに伝えて、巾着袋から銀貨を取り出す。


(ん~…取り敢えず食料は僕が買ってくればいいか。取り敢えず初日なんだし、1泊2日で使う程度の消耗品を買って貰えばいいかな?)


「1泊2日で消費するくらいの消耗品を買って頂けますか?…後学の為に、どんなアイテムを買ったのか、どれくらいお金が掛かったのかを教えて貰えればと思います。後、購入費用を出しますので予算を教えて下さい…あぁ、食料は僕が買ってきます。それと、各人の水筒はありますか?…無ければ消耗品のついでに買って来て下さい」


そこまで一気に話すと、4人はぼそぼそと相談を始める。(長くなるかなぁ?)と思いつつ、壁に背を預けて待っていると…


「そうだな…消耗品は一部買う必要があるだけだから、銀貨2枚もあれば足りると思う。水筒に関しては全員所持しているから問題はない。まぁ、水は空っぽだが…」


そこまで聞いて、こくりと頷いたザックが


「僕が水を補充できますので大丈夫です。飲み過ぎは良くないですが、無くなったらいってくれれば補充します」


「「「じゃ、じゃあ早速…」」」


と、水筒が一斉に差し出されて苦笑いするしかないザック。


「では、外に行きましょう。前に飲んだ水が残っていた場合、補充して飲んだらお腹を壊すこともありますから…洗った方がいいですよ?」


と、宿の裏庭へ行くこととなった。表の通りで水を流すと迷惑が掛かるかも知れないし、裏庭なら利用してるのはザックと井戸水を汲みに行くサクヤくらいしか居ないからだ。



「初めて来たけど…井戸が2つもあるなんて贅沢な宿だな…」


「あはは…」


マシュウの言葉にザックが苦笑いで誤魔化す。一般的には探索ギルド直営宿の裏庭なんて来る人がほぼ居ないから知られることもない訳で…


「じゃあ水筒をお願いします」


「おお、頼む」


マシュウ、ジュン、ジャッカル、パトリシアの順に水筒が手渡され、少量のピュアウォーター純水で水筒を洗い流し、その後でウォーターで中を満たす。外側から少量づつ流し込むと時間が掛かる為、水球を水筒の中に出現させていきなり満たすこととした。多ければ多少溢れてしまうが、裏庭なら濡れても問題は無い。最後に滑らないように外側をドライ乾燥で乾かしておく。


「「「ありがとう!」」」


感謝の言葉にザックもにこにこ顔で「どう致しまして」と応える。矢張り、感謝されるというのは嬉しいものだ。


「じゃ、これ銀貨です」


と、先程いっていた2枚をマシュウに手渡す。


「僕は宿の厨房に行ってお弁当を調達してきますので」


「お、おお…そうか。宿に住んでいれば…」


マシュウがそんな呟きを残してギルド内の道具屋に向かって行った。宿に住んでない者にはそんなサービスが無い為と、表立って宣伝している訳ではないので知る者が殆ど居ないだけだ。但し、弁当箱の改良とコストダウンが成功すれば、大々的に宣伝が成されることになる…かも知れない。



「料理長ぉ~、弁当お願いします!」


「おお、ザックくんか。そーいやチームに所属したって聞いたが食料の調達かね?」


「耳が早いですね…あ、同じギルド職員だから?」


「まぁそうだな」


料理長は手を休めずに顔だけこちらに向けて話している。間違って包丁で手を斬り刻まないか心配になったザックは注文を済ますことにする。


「えっと…(1泊2日で5人だから…朝はまだだから…予備で1食分入れて2日の夕ご飯は帰ってから食べるってことで…30食分でいいかな?)今日の弁当は…やっぱり1種類ですか?」


「そうだな…仕入れの関係上、な。まだ試験的に作ってるだけだからな」


「じゃあ同じ弁当でいいので30食分お願いします。流石にダンジョンじゃ現地調達が難しいもので」


「あいよ、30食分な…毎度あり!」


少ししてから今回の弁当は幾らか訊くと、同じ銅貨2枚でいいといわれた。30食分なら銅貨で60枚となる。待っている間、財布を取り出して枚数を数えながら取り出していると…


(そーいやドロップ品の報酬貰ったんだよな…)


やたらジャラジャラする巾着袋の中身を見てストレージに移すことにした。視線を移せば弁当30食を厨房の職員たちが急いで用意してる所が見えた。


(いつも急に一杯注文してすいません…)


心の中で謝罪しながら、どんどん銅貨や銀貨をストレージに移すザック。ちなみに内訳はこんな感じだった…



【探索者ギルドで収めたドロップ品の買い取り額】

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◎素材名×個数等…買い取り額(単価) ※使用用途等

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◎ウルフの牙×478本…銅貨478枚(銅貨1枚)※アクセ品素材や錬金素材など

◎ウルフの毛皮×189枚…銅貨378枚(銅貨2枚)※衣装素材や防寒具素材など

◎ウルフの骨×256本…銅貨512枚(銅貨2枚)※アクセ品素材や錬金素材など

◎魔石(小)×241個…銅貨723枚(銅貨3枚)※魔道具素材や錬金素材など

◎魔石の破片×5個…銅貨1枚(銅貨0.3枚。個数×0.3(端数切捨て)) ※錬金素材

魔狼の剣ソードオブ・ウルフ×5本…銀貨115枚(銀貨23枚) ※詳細は別途

◎水晶3本…銀貨2枚+銅貨13枚(品質毎に違う為時価) ※錬金素材

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合計額(税抜き)…銀貨117枚+銅貨2105枚(銀貨70枚+銅貨1283枚)※税率40%

魔狼の剣ソードオブ・ウルフをオークションに掛ければ更に高額で引き取れると伝えられたが、オークション会場に送ってとやっていると時間が掛かる為に標準的な値段(時価)で買い取って貰った

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【他】

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◎銀貨2枚、銅貨421枚…普通に懐に入れた…けど、財布には入れずにストレージ行き

◎魔石(小)…10個だけサンプルとしてストレージ行き

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(最底辺のランクEの時は確か…税率50%だった気がしたけど…)


探索者ギルドの規約書を取り出して税率のページを開いて見る。そこにはこう書かれていた…



【探索者ギルド・徴収税率一覧】

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ランクF…50%

 〃 E…50%

 〃 D…40%

 〃 C…40%

 〃 B…30%

 〃 A…20%

 〃 S…10%

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(え…っと。ランクってSまであるんだ…へぇ~…。後、収入が高額なると税率も上がるって聞いてたけど、単にランクが低くて貢献してないと判断されてると税率も高いだけなのか…)


ランクEの時に解決したサンフィールドの治水工事依頼だが、成功報酬の金貨500枚の内、半分しか得られなかったのは単にランクEの税率50%が宛がわれただけに過ぎなかったらしい。


(ランクSになると10%なのか…かなり優遇されてる気もするけど…。こんな雲の上のランクの人たちは収入も莫大な額になるんだろうな…10%でもギルドが潤う程に…)


報酬も最低限金貨とか大金貨などになるのかも知れない…そう考えると、探索者ギルドの財政は黒字だろう…マウンテリバーはどちらかというと辺境寄りなのでそんな雲の上の探索者は存在しないが。それでも、先日の報酬から金貨250枚をピンハネしてる時点で結構潤っている…と思われる。ハッキリいえばモヤっとするザックだが…


(まぁしょうがないか。このギルドは冒険者ギルドに人材も依頼も取られっぱなしって聞くし。貢献したと思えばいっか…)


ランクEからDへと上がったと思ったら2階級特進のCになった原因の1つかも知れない。流石にランクをお金で買おうと思っても、金貨250枚は普通の探索者では稼げないだろう。


「おう、お待たせ!」


「あ、はい!」


ザックは既に手にしていた弁当代を銅貨で60枚を小袋に入れて手に持ち、先に料理長に手渡した。


「じゃあ数えててください」


「おう…まぁ過不足はないと思うが、念の為な」


小袋から1枚1枚取り出して10枚の小山にしながら数え始める料理長。ザックは弁当箱を1つだけ蓋を開けて中身を確認し蓋を閉じる。そして、全てを巾着袋に収めていく…ていでストレージに収納していく。


「にしてもその巾着袋きんちゃくぶくろつったっけ?…アイテムボックスって聞いてたが便利だよなぁ…」


「あ~…サンフィールドに行く途中の村で買ったんですけど、あそこで売ってるのは見た目のまんまの容量しかありませんよ?」


「へぇ~…じゃあ後付けでアイテムボックスにしたのか?」


「ま、そんな所ですね。拡張石って魔道具があれば容量を広げられますよ?…まぁ、重量軽減とか時間停止なんかの機能は無いですけどね」


「そっかぁ~…ま、その口より大きなのは入らないって聞くしな」


「そうですね、弁当箱はギリギリ入りますけど」


巾着袋は口を全開にすれば、弁当箱がギリギリ入る大きさだった。中身を零さないで入れようと思えば両手もその口に突っ込む必要があるのでそこそこ口が広いか、弁当箱が小さめかのどちらかが必須条件となる。弁当箱は中にスープを入れたりすることがあるので深めとなっており、代わりに大きさは片手で持てる程度の大きさとなっていた。女性の片手では若干持て余すが、男性の片手では丁度いいサイズだろうか?


「よし、60枚きっかりあるな!」


「こちらも入れ終わりました」


「じゃあ気を付けてな、ザック。毎度ありぃ!」


「こちらこそ、毎回多い注文で申し訳ありません!」


「いやいや…じゃあ感想宜しくな!」


「はい!!」


厨房を笑顔で後にしたザックは、チームメンバーが居るだろう、ギルド内の道具屋へと向かった。



「…ザックの奴、パシられてなきゃいいんだがな…」


「そうですか?…別にパシっているようには見えませんでしたが?」


「だよなぁ…ま、そんな心配するだけ無駄か…よし、後片付けしたら昼の仕込みするぞ!」


「うーい」


「わかりましたぁ~」


こうして、厨房は再び多忙な時間を迎えるのだった…


━━━━━━━━━━━━━━━

実はまだ朝飯の時間前なので、今の内に仕込みをしておかないと昼に間に合わなくなるという…尤も、昼飯を食いに来る寝坊探索者は余り居ないので、夕飯兼用の仕込みでもあるのだったw


備考:

探索者ギルド預け入れ金

 金貨250枚、銅貨1617枚(変化なし)

ストレージ内のお金

 金貨173枚、銀貨70枚、銅貨1815枚

財布内のお金:

 金貨1枚、銀貨20枚、銅貨55枚(丁度いい枚数にする為に随時ストレージから出し入れしている)

本日の買い物(支出金):

 消耗品用に予算銀貨2枚、弁当代30食に銅貨60枚

ザックの探索者ランク:

 ランクC(変化なし)

本日の収穫:

※税率40%で税抜き後の収入(一部アイテムは手元に残した)

 銀貨70枚+銅貨1283枚

※ドロップした現金と現物

 銀貨2枚、銅貨421枚、魔石(小)×10個

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