第1話「上陸」

「あちゃー、これどうやって上陸するの?」


テオたち一行は、海竜ラーンの協力もあって島に辿り着いた。

しかし、見渡す限り断崖で上陸できそうな場所が見当たらなかった。


「申し訳ありませぬ。私は生来より空は飛べないものでして。」


ラーンが、申し訳なさそうに跪いた。


「ううん。ここまで快適だったもの、ありがとうラーン。」



ラーンは、青く煌めく尻尾をブンブンと振っていた。


「お褒めの言葉、光栄の極み。」


「でもどうしよっか。とりあえず、島を一周して上陸できそうなところを探そう。」



テオがそういうと、卵がまた光出した。


“ピカッ、ピカッ”


ラーンが翻訳してくれる。


「我が君。龍王様は、私に任せろ。と仰っておいでです。」


「スカジが?」


“ピッカ、ピカッ”


まるで人間の幼児なら、激しく頷いてるように光っていた。




「わかった、スカジを信じるよ。」




“ポワ〜〜ッ”




「うわっ!」


「テオ様!これは一体!」




卵から青い光が漏れ出して、テオとオルガを包んだ。


すると、彼らの体が宙に浮き出したのだ。




「スカジ、もしかしてこれは君の力なのかい??」




“ピカーーーッ!!”


同意の光が強く飛んでくる。




「すごい!まだ卵なのに、魔法が使えるんだね!すごいや!流石僕のスカジだ!!」




そう言ってテオは、激しく卵を抱きしめて、快活な笑顔で頬ずりをした。


卵は、相当嬉し買ったらしく、光が激しく点滅した。


オルガは、その様子を物欲しそうに眺めていた。




「私だって、テオ様に抱きつかれたい・・」




テオたちが気付く頃には、王宮の見張り塔よりも高い地表に降り立った。




「あはは、楽しかった〜スカジまた空飛ぼうね〜」


「こ、怖かった。でもテオ様が可愛かったから、耐えられましたわ。」




オルガは高所恐怖症だったりする。




テオは、恐れる様子もなく断崖絶壁から下を覗きラーンに命じた。




「ラーンは、皆んなを安全なところまで送り届けてあげて!!船頭さんに、騎士のお二人もお勤めご苦労様〜〜!!」




「御意」




「「・・・。」」




ラーンは、指令をもらうとすぐに小舟を動かし出した。


その船上で、騎士たちは何もかもを諦めていた。




「卵どうする?」


「・・・市場で怪鳥の卵でも買って帰るしか。」




「竜の卵が必要ならば、くれてやってもいいぞ?」




突然のラーンからの申し出に戸惑う二人。




「貴様らは、我が主君の配下なのであろう?」




「「・・・・・・・はい。」」




「ならば、人間といえど我が同輩だ。その危機というなら、僕しもべの竜の卵でよければ特別に用立ててやろう。」




「「ラーン殿っ!この御恩一生忘れません!!」」




船頭はというと、船で気持ちよく風に当たりながら昼寝をしていた。








「よぉし!島に着いたし、ここで生活してかなきゃ、だけど。結構広いねこの島。」




テオが立っている場所は見渡す限り草原で、相当奥に行くと森が広がり、さらに奥には雲を突き抜けるほどの火山が雄大に聳えていた。




「テオ様、自然を生き延びる為にはまず水の確保でございます。」




「そうだね、オルガは自然にも詳しいから全部任せるよ。」




「はっ、ではまず森に向かいましょう。さすれば、飲水があるかと存じます。」




テオは元気な声ではーいと言って、歩き出した。


とその時、急に天候が陰り出した。


暗雲が立ち込め、ぽつぽつと雨粒が落ちだし、みるみるうちにスコールに見舞われ、雷が落ち出した。




「うわ〜!すごい雨だ!どうしようオルガ!!」




豪雨と雷鳴で声が聞こえづらい状況の中、オルガは懸命にこの冷たい雨からテオを守るために、辺りに雨宿りができる場所がないか探した。


暗雲が完全に太陽を隠したその時だった。


オルガは、背後に強大なプレッシャーを感じる。


彼女は、剣に手を掛けて後ろを振り向いた。




「・・そんな、馬鹿な。先程までは、こんな所に城は無かったはずだ。」




テオは、オルガの緊張感を察知して後ろを振り返る。




「うわぁ・・立派なお城だね。まるで、魔王様が住んでいそうだね。」




そう、先程までテオたちが立っていた場所に禍々しい魔城が聳え立っていたのである。


城の周りには、蝙蝠が飛びまわっている。


そして、眼前には立派な鉄格子の門があった。




「ねぇ、オルガ!!ここで雨宿りをお願いしてみよう!!」




オルガは、遥か彼方に見える森を目視し、もう一度目の前の城を見て観念したように呟いた。




「・・かしこまりました。」




オルガは、息を大きく吸い込み自慢の肺活量で声を轟かせた。




「頼もう!!!どなたか、おられませんか!!」




・・・・・。


その返答には、誰も答えてくれなかった。


二人は諦めて、森を目指そうと背を向けて肩を寄せ合った時。




背後で、無人の門が“ギィィィィィッガシャン‼︎”と音を立てて開いたのである。




「お、お邪魔しま〜す。」




テオは、ある意味勇猛果敢である。


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