クラスの女子がべったり甘々に迫ってくるんだけど、俺には迫られたら困る事情があるから全力で拒否します ~みんなはオタク女子だと思っているけど、実はめちゃくちゃ美少女でした
第11話:さすが御堂君、よくわかっていらっしゃる
第11話:さすが御堂君、よくわかっていらっしゃる
「堅田……こんな小説、部室に置いてて大丈夫なのか?」
「執筆の参考にしてるだけです。決して好きで読み耽ったり、ましてや愛読書ということではないです」
いや、そこまで言ってないけどね。
ふと手元の本を見ると、裏表紙に白いタックシールが貼ってあって、そこに太いペンで書かれた『堅田専用。読まないでね』の文字が。
「こっ、これは……?」
「あっ、だからっ! 決して大好きで何度も読んで、万が一誰かが持っていったら泣くほど悲しい愛読書ってわけじゃないですからっ!」
キョドりすぎだ堅田。
そのリアクションは愛読書だって白状してるようなものだぞ。
「わかってるって。あくまで参考文献……なんだろ?」
「はい。さすが御堂君。よくわかっていらっしゃる」
引きつった笑顔を浮かべる堅田を見ていたら、急に手がグイっと引っ張られるのを感じた。
手元を見ると、俺が握っている本を堅田の手が引っ張っている。
俺は思わず反射的に手に力を入れてしまった。
なので堅田はさらに力を入れてぐいぐいと本を引っ張る。
──なにこれ?
エロい本を高校生男女が取り合ってるこの
「あ、ごめん。返すよ」
俺は手にした本を堅田に差し出す。
「あ、いえ。御堂君がどうしても欲しいとおっしゃるなら、私……恥ずかしいけどあげちゃいます。御堂君にあげるなら、私、後悔しませんから。うふ」
堅田は顔を真っ赤にして、俯いてる。
両手でスカートを握ってもじもじしてる姿がめっちゃ可愛い。
そっか。美味しくいただけるのですね、堅田さんを。
では失礼して……
──いや、違う! そうじゃない!
「その、『私の貞操をあげます』的な言い方はやめてくれ!」
ヤバ。
危うく堅田のぶっ飛んだ行動に毒されて、手を出すところだった。
もしもうっかり手を出そうものなら、お姉さんに俺はぶっ壊される。
堅田はそのことを知らない。だから自由奔放な行動をしてくるのも仕方ないが、俺がそれに乗るわけにはいかない。痛い目に合うのは俺だ。
うん、そうだな。気をつけよう。
「御堂君」
「なに?」
「キスすると、どんな気分になるんでしょうか?」
「キス……すると?」
「はい。この本に書いてあったような、キスを、すると、です」
さっきの文章が頭の中に映像として浮かぶ。
男女が濃厚なキスをするシーン。
そしてすぐ目の前には上気した顔の堅田。
メガネの奥の瞳が潤んでいる。
少し視線を下ろすと、胸の部分が大きく膨らんだブラウス。さっきボタンを外したままだから、白い胸の谷間とブラの端まで見えてる。
さらに視線を下ろすと、チェック柄のスカートから伸びる白い脚。
堅田は真面目少女らしく、膝丈のスカートなのだが、もじもじして手でスカートを握るもんだから、スカートがずり上がって白い太ももまで見えてる。
あまりに眩しくて
「キスを……すると……どんな気分になるんだろう?」
「試してみませんか? 今、ここで……」
甘く囁く悪魔。
いや、悪魔とはちょっと違う。
甘く淫靡でいて、懇願するような湿った声とセリフ。
堅田の声はまさにそれだ。
まるでサキュバス?
男を沼に引きずり込むような、喜んで引きずり込まれたくなるような。
頼まれたら嫌と言えない──それどころか飛びついてしまいたくなるような甘い罠。
堅田って、普段は真面目でお堅い雰囲気なのに。
どこかでスイッチが入ると、こんな風になる。
堅田が前から身体を寄せ、密着させてくる。
身体の前面に伝わる女子の熱。
そして顔を近づけられて、堅田の甘い吐息が顔にかかる。
「御堂君。私、キスのドキドキ感を体感したいです。そしてキスをする時、男子がどんな顔をするのか見たいです」
ああだめだ……キスなんてしちゃいけない。
お姉さんから、3ヶ月はキスしちゃダメだって禁止されてるんだ。
もしも約束を破ったら、俺はお姉さんにぶっ壊されてしまう。
「ねえ御堂君。これは執筆のためですよ? だから……」
「あ、うん……そうだよね」
そうだ。これは堅田の執筆を応援するための行為なんだ。
決してエッチなことをしようとしてるわけじゃない。
だからいいよな?
堅田のお姉さんも、きっと理解してくれるよな?
堅田は静かに目を閉じた。
ピンクの唇が艶々してる。
俺はその唇に吸い寄せられるように、顔を近づけて──
──ピコン!
うっわ、びっくりした!
俺のポケットにあるスマホから音が鳴った。
思わず我に返って、スマホを確認する。
そこにはメッセージ通知があった。
差出人は──
堅田
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