第546話


 ウグイス嬢のアナウンスが流れる。


「香月高校、一番―――ピッチャー、切間君―――」


 切間が右打席に立つ。

 ハインがサインを送る。

 陸雄が頷いて、構える。

 切間も構える。

 セットポジションで投げ込む。

 指先からボールが離れる。

 外角高めにボールが飛んでいく。

 切間がスイングする。

 打者手前でボールが左に曲がりながら小さく落ちる。

 切間のバットを掠めて、ボールがミットに収まる。


「―――ストライク!」


 球審が宣言する。

 スコアボードに122キロの球速が表示される


(カウントは取れているがスライダーのコースが少しズレていた―――悪い方に響かなければいいが―――)


 そう思い、ハインが返球する。

 陸雄が捕球する。

 切間が構え直す。

 雨の少ない水滴をポツポツと浴びながら、陸雄が構える。

 ハインがサインを出し、陸雄が頷く。

 そのままセットポジションで投げ込む。

 指先からボールが離れる。

 内角低めにボールが飛んでいく。


(見えた! ―――恐怖感を感じねぇぜ!)


 切間がタイミングを合わせて、スイングする。

 打者手前でボールが右に曲がりながら落ちる。

 バットの軸にボールが当たる。


(球威を誤魔化す為のリクオのカーブを詠まれたか―――)


 カキンッと言う金属音と共にボールが高く飛ぶ。

 切間がバットを捨てて、走る。

 ボールは三遊間を抜ける。

 レフトの錦が後ろに走る。

 レフトの定位置と外野フェンスの中間にボールが落ちる。

 錦がたどり着き、ボールを拾い上げる。

 切間が一塁に向かう。

 錦がファーストに送球する。

 星川が塁を踏んで、捕球体制に入る。

 グローブにボールが入る前に―――。

 切間が一塁を蹴り上げる。


「―――セーフ!」


 塁審が宣言する。

 捕球した星川がそのまま陸雄に送球する。

 陸雄が捕球して、構える。






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