第521話


 ウグイス嬢のアナウンスが流れる。


「香月高校―――七番―――」


 七番打者が打席に立つ。

 ハインが座り込む。

 陸雄が構える。

 ハインがサインを送る。


(ハインなりに考えがあって、そこに投げるんだな。わかった)


 陸雄が頷く。

 打者が構える。

 陸雄がセットポジションで投げ込む。

 指先からボールが離れる。

 内角高めにボールが飛んでいく。

 打者がスイングする。

 ボールが変化せずにバットの軸上に当たる。

 カキンッと言う金属音と共にボールが高く浮く。

 

「しまった!」


 打者が声を出す。

 内野フライにファーストの星川が上を見ながら走る。

 そのままグローブを上げる。

 ボールが吸い込まれるようにグローブに入る。


「―――アウト! チェンジ!」


 審判が宣言する。


「星川君ナイスプレイ!」


 陸雄が嬉しそうに声を出す。


「僕も内野手のプレイが様になってきましたよね?」


 九衛がそれを聞いて、声を出す。


「がっはっはっ! チェリーはダメな分―――俺様達がバシッと決めなきゃな!」


「押されてますけど、取り返しましょう!」


 星川が送球する。

 陸雄が捕球して、頷く。

 残塁してした香月高校のランナー達がベンチ戻る。

 陸雄がマウンドにボールを置いて、メンバーと一緒にベンチ戻っていく。

 打者もベンチに悔し気に戻る。

 ―――四回裏が終わる。

 点差は5対8で大森高校の劣勢になる。






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