第501話
ウグイス嬢のアナウンスが流れる。
「大森高校―――四番―――レフト―――錦君―――」
錦が右打席に立つ。
切間が佐伯に顎で三塁側ベンチを指す。
佐伯がベンチを見ると監督がサインを出していた。
『―――敬遠しろ』
そのサインを理解した佐伯が悔し気に立ち上がる。
切間が構えを解かない錦を横目で見ながらスローボールを投げていく。
四球目のボール球を投げる。
「―――ボールフォア!」
球審が宣言する。
錦がバットを捨てて、一塁にランニングする。
九衛も二塁にランニングする。
ランナーが一、二塁になる
ウグイス嬢のアナウンスが流れる。
「大森高校―――五番―――ピッチャー、岸田君―――」
陸雄が右打席に立つ。
佐伯がサインを送るが、切間が首を振る。
(どうしてですか?)
佐伯が悔し気にミットを構える。
(お前にリード任せたら、あの九衛って奴に打たれただろうが!)
切間が構える。
陸雄がバットを構える。
セットポジションで投げ込む。
陸雄が飛んでくるボールを目で追う。
外角の中央にボールが飛んでいく。
陸雄がタイミングを合わせて、スイングする。
打者手前でボールが左に曲がりながらスライダーより深く落ちる。
「しまっ! スラーブか!」
陸雄が声を漏らして、バットの軸上にボールを当てる。
打球のコースはピッチャーライナーになる。
「アホチェリーが…………」
二塁の九衛がため息をつく。
切間がグローブでボールを素早く捕る。
「―――アウト!」
審判が宣言する。
陸雄がガッカリして、ベンチに戻る。
ネクストバッターサークルの星川が陸雄の肩を軽く叩く。
「陸雄君。僕がランナー返してきますから安心してください!」
「頼むよ―――星川君」
陸雄がそう言って、ベンチに戻る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます