第462話
次の日の昼―――。
朝練を含めた練習後に昼の休憩時間になる。
「みんなー、お疲れ。はい―――海苔付き塩おにぎりと砂糖入りの手作りレモンジュースだよ」
マネージャーの柊が銀のトレーからメンバーにジュースとおにぎりを渡していく。
「サンキュウ―――柊マネージャー! やっぱユニフォームも洗濯時間減って、だいぶ楽になったぜ」
陸雄がそう言って、おにぎりとジュースを受け取る。
「いえいえ―――練習終わりのボール磨きと洗濯とご飯作りだけだからこっちも結構楽だよ。はい、古川先輩も―――」
柊が古川にジュースとおにぎりを渡す。
「柊さん、ありがとう。こっちは投球ばかりでマネージャーの仕事押し付ける形になってごめんね」
古川が頭を下げて、ジュースを飲む。
ハイン達もおにぎりを食べていく。
「ヒイラギ。このライスボールはデリシャスだ。コンビニのおにぎりとは違って、別の味がある」
そう言って、ハインがおにぎりを多めに食べる。
その中で九衛が灰田に声をかける。
「チンピラ野郎。早めに食い終わったらリボルバーするぞ」
「あ? 何でだよ? 朝練から昼休みまでそんな今日は調子よくねぇぞ? やる意味あんの?」
灰田がおにぎりを食べ終えて、九衛に答える。
「松渡から教わってるナックルボールが形になってきているからな。ストレートをナックルボールの投げすぎで軌道がズレてないかの確認だ」
九衛が食べ終えて、ジュースを飲む。
それを聞いていた坂崎がおにぎりを半分食べて話す。
「ぼ、僕がキャッチャーやろうか?」
灰田が松渡を見る。
話を聞いていたのか松渡も話題に入る。
「ナックルボールの握り方と投げ方はあってるから大丈夫だよ~。―――投げるときに指先痛くない~?」
「そんなデリケートじゃねぇよ。指だけは強いんだよ―――肩もな!」
灰田がそう言って、立ち上がる。
紫崎がおにぎりを食べながら、話す。
「フッ、元少年野球時代の九州の秀才投手だものな。―――飲み込みが早いらしい。ナックルボールが使いこなせれば、本当の三人目のピッチャーが揃うかもな」
星川が目をキラキラさせながら、おにぎりを食べる。
「僕も九衛君の代わりに灰田君とのリボルバーやってもいいですか? 灰田君の進化していく力を見てみたいです!」
「がっはっはっ! 星川君。それじゃあチンピラ野郎が金欠になるから、今はやめとけ。君は段々チームに必要な要になりつつあるからな。チェリーとリボルバーしとけ」
「九衛。俺は最近お金減りつつあるから負けた時に出来なくなる。灰田代わりにパパッとやってやれ」
陸雄がおにぎりを食べ終えて、立ち上がる。
錦がおにぎりを食べ終え―――手を洗いに立ち上がる。
「強面野郎。今日こそは抑えるからな、いい加減アクエリアスとクリームパンを帰りに奢り続けるのは勘弁だしな」
灰田が立ち上がり、グローブを着ける。
坂崎がミットを持って立ちあがる。
「がっはっはっ! 試合の時と同じいつものクイックモーションで投げ込んで来い。坂崎、捕手役頼むぞ」
九衛も立ち上がり、手をハンカチで拭いて―――バットを握る。
中野監督がおにぎりを食べながら、観戦する。
「リボルバーは次の試合まで一回だけにしておけよ。お前達も終わったら―――練習再開だぞ」
皆が頷き、灰田と九衛のリボルバーを観戦する。
「行くぞ! 一人だけ一年三組で同じクラスの男子に人気者だが、趣味が囲碁好きとか言われてるおっさん臭い強面野郎!」
灰田がマウンドでボールを持って、構える。
「来い! 年上にアタックされまくってる九州の中学で童貞中退のメンタルクソザコのチンピラ野郎!」
九衛が構える。
坂崎がミットを構えて、キャッチャーボックスに座り込む。
「え、えーと―――ぷ、プレイ!」
坂崎がそう言った後におにぎりを食べているメンバーが観戦する。
「頑張れー! 灰田! 九衛に負けんなよー!」
陸雄が声を上げる。
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