第408話

 そう呟いた後に―――ウグイス嬢のアナウンスが流れる。


「白石高校―――九番―――」


 九番打者が打席に立つ。

 松渡が構える。

 ハインがサインを送る。

 松渡が頷く。

 打者が構える。


(ツーアウトだけど……アレを投げるんだね~)


 松渡が投球モーションに入る。

 打者がジッと見る。

 指先からボールが離れる。

 内角の中央にボールが飛んでいく。

 打者が早めにスイングする。

 打者手前でボールが左に曲がりながら沈んでいく。

 打者のバットにサイドスピンのシュートボールが当たる。


「くっ! 重っ!」


 打者がバットを捨てて、一塁に走る。

 ショートの紫崎が三遊間に飛ぶボールを捕りに行く。

 速水が二塁に走る。

 バウンドしたボールを紫崎が拾い―――。

 余裕を持って、一塁に送球する。

 ファーストの星川が塁を踏んで捕球体制に入る。

 打者が一塁を蹴る前に―――星川のグローブにボールが入る。


「―――アウト! チェンジ!」


 塁審が宣言する。

 二塁を踏んだ速水が悔しがる。


「頼れるのは俺だけさ……熱くなったグラウンドに……さらに熱を上げるのは俺のpitching(ピッチング)…………)


 星川が松渡に送球する。

 松渡が捕球して、マウンドにボールを置く。


「紫崎~、星川君~ナイス援護~!」


 松渡がそう言って、野手達と一緒にベンチに戻っていく。

 ベンチの陸雄がホッとする。


「このままこっちの攻撃で逆転できるかもしれない―――俺がリリーフの頃には楽な展開になるかな」


 白石高校のランナーと打者が帰っていく。

 四回表は6対7のまま終わる。

 そして劣勢の大森高校の攻撃となる―――。



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