第406話


 ウグイス嬢のアナウンスが流れる。


「白石高校―――七番―――」


 七番打者が打席に立つ。

 ハインがサインを送る。

 松渡が頷く。


(下位打線だけど、念には念を入れるんだね~。了解~)


 松渡が頷く。

 打者が構える。

 松渡がサウスポー独特のフォームで投げ込む。

 外角低めにボールが飛んでいく。

 相手の打者が遅れて、スイングする。

 ボールはハインのミットに収まる。


「―――ストライク!」


 球審が宣言する。

 スコアボードに140キロの球速が表示される。


「は、早い…………」


 相手の打者が唖然とする。

 松渡のツーシームだった。

 ハインが返球する。

 松渡がボールを受け取る。

 打者が一息ついて構える。

 ハインが次のサインを送る。


(なるほどね~)


 松渡が頷いて、投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 真ん中高めにボールが飛んでいく。

 打者がタイミングを合わせて、スイングする。

 だが―――。

 打者手前でボールが左に曲がりながら沈んでいく。

 打者が空振る。

 サイドスピンのシュートだった。


「―――ストライク!」


 球審が宣言する。

 スコアボードに132キロの球速が表示される。

 ハインが返球する。

 松渡がキャッチする。


「さーて、ツーストライクだね~」


 松渡が一息ついて、構える。

 打者が構え直す。


(まだ相手の頭が回ってないな。だったらハジメに投げさせるボールは―――)


 ハインがサインを送る。

 松渡が頷いて、投球モーションに入る。

 指先からボールが離れる。

 内角低めにボールが飛んでいく。

 相手の打者がスイングする。

 打者手前でボールがボール一個半落ちる。


「―――なにぃ!」


 打者が驚く頃にはボールが通過していく。

 バットが空振り、ハインのミットに収まる。


「―――ストライク! バッターアウト!」


 球審が宣言する。

 スコアボードに129キロの球速が表示される。

 松渡の浅く握ったフォークボールだった。


「三球三振だね~♪」


 松渡がニコニコしながらハインが投げたボールを受け取る。




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