第14話


 「ところで、弟クン。 気になることがあるんだけど?」


今の状況をどう説明すればいいのか……

下手をしたら学校のテストの方が簡単かもしれない


思った通りの言葉でいうと……


深愛姉の友達、松戸琴葉と二人きりなのである。


しかも俺の部屋で。


俺が呼ばれてもリビングに行かなかったので

俺の部屋に来て、そのまま俺の部屋に居座っていた。


そこも疑問に感じるところだが、よりによって

深愛姉が飲み物を買いに行くと言い始め

そのまま買いに行ってしまった。


いや、普通友達おいていかないだろ!?


それで二人きりなのである。


しかも、この琴葉という女は俺の部屋を物色してるし


「いかがわしい本が1冊もないんだけど、おかしくないか?」


普通探さないだろ探してんだよ……


見た目は深愛姉と正反対の地味な感じかと思ったが

行動と発言が見た目と乖離していた。


「男子高校生の部屋には最低1冊はあるとタイガきゅんが言ってたのになぁ」


さっきから口にしてるが誰だよタイガきゅんって……

彼氏か?


「楽しいと思えないので持ってないですよ……」

「へえ……珍しいねぇ。 本当に君は男なのかい?」


琴葉は俺の顔をじっくりと見てくる。


「そうですよ、生物学的上は」


俺の返答に琴葉はふふっと笑っていた。


それからも琴葉は俺の部屋の物色をやめることはなかった

ベッドの下が気になるのか何度も見ていた。


「ここまで探してもないとなると……やっぱりあそこか」

腕を組んだ琴葉は俺の……PCを見ていた。


「紙よりもデジタル派か……」


どうやら狙いをPCに定めてこちらに向かってきていたが

PCに触れようとする琴葉の手を全力掴む


「もう痛いじゃないか! やっぱり図星だったのかい?」

「……勝手に人のPCに触れないでもらえます?」


俺は琴葉の顔を睨みつけてから掴んでいた腕を投げ捨てるように放した。


「……いるのは結構ですが静かにしてもらえます?」


機嫌の悪さを顔に出しながら琴葉に言いたいことを伝えると

椅子に座ってPCを起動させた。


ネットゲームを起動させてからヘッドフォンをつけようとすると……


「弟くん、君は女性との経験はあるかい?」


琴葉の放った言葉に首を傾げる。

突然何を言い出すんだこの女は……


琴葉はいつの間にかベッドに腰掛けて

俺の顔を見ていた。


「さあ? どうでしょうね」

「その素振りだとあるって感じだね」


何が言いたんだこの女は?


「ご想像におまかせします」

「そうか妄想は得意だからさせてもらうとするかな」


そういうと琴葉は腕を組み天井を見つめていた。


「そうだなあ……見た目は中性的だから……」


いつの間にか一人でブツブツと言い始めていた。


「うん、これにこれに間違い無いだろう」


琴葉は自分のメガネをクイっとあげて

興奮気味に俺を指差すと


「つまり弟クンの初めての相手は年上のお姉様だろう!」


と大声であげていた。


それに反応して俺は体をビクっとしてしまう。


「ふっふっふ……その反応、もしかして当たりかな?」


お、驚いて反応しただけだ!


「妄想は勝手ですが、それに答える義務はありませんので」

「話してくれたっていいじゃないか」

「人には言いたくないことだってあるんです」

「じゃあ、私のことを話せば教えてくれるのかい?」

「聞きたくないし、興味もありませんので言わなくて結構です」

「ちなみに私は男性経験は0だ」


何で勝手に自分のこと話出しだしたぞ


「私のことは言ったぞ、さあ、弟くんも自分のことを話すがいい」

「お断りします」


何で勝手に話したことに対して見返りを求めてるんだ。

相手をめんどくさくなったのでヘッドフォンをつけて自分の世界に没頭することにした。


「おいおい、会話を楽しもうとしているのにつれないなあ」


ベッドから立ちあがった琴葉は腕を組んで不満そうな顔をしていた。

そもそも深愛姉と話があるのに来たんじゃないのか?


「どうしたら話につきあってくれるんだい?」


「そもそも話をする相手が違うんじゃないですか?」


この女が用があるのは深愛姉であって俺ではない。


「あ、もしかして弟クンは会話よりもこちらを望んでるのかな?」


琴葉は俺の体を引っ張り自分の方へ寄せたため

俺がこの女に覆いかぶさる形になってしまう。


逃げようとしたが両足で俺の足元をガッチリ押さえていた。


「どうだい? 自分でいうのもあれだけどいい体じゃ無いけど

それになりに楽しめると思うけど?」


琴葉はふふっと妖しく笑いながら腕を俺の背中にまわしていた。



『悠弥くん……私、あなたとこうなることを望んでたの』


一瞬、思い出したくもない光景が映り出した。


『これで悠弥くんは私のものだね……』


ふざけるな……

俺は……!


「ただいまー!」


突如聞こえてきた声で俺は我に帰る。

どうやら深愛姉が買い物から帰ってきたようだ。


「あらら、帰ってきちゃったか」


琴葉な残念そうな顔で腕と足を離すと立ち上がり俺を椅子に座らせた。


「どうだい? 楽しかったかい?」


いつの間にか琴葉から先ほどの妖艶さは消えていた。


「どうやら相当驚いたみたいだね、安心して。私の初めてはタイガきゅんって決めているからな」


俺は何も言い返すことができなかった。

外にも聞こえるんじゃないかってぐらい心臓がドクドクと鳴っていた。


「深愛っちが帰ってきたから、私は下にいくとするよ」


琴葉は楽しそうな表情のまま扉を開けて部屋から出ていってしまった。


「あれ、悠弥は?」

「なんか一人の世界に入りたいみたいで、追い出されちゃったよ」

「もしかしてゲーム?」

「みたいだね。 まあ男子高校生には人には見られたくないの物が1つや2つあってもおかしくないしね」

「そうなの?」



リビングのドアを閉めたのかそれ以降声が聞こえることはなかった。


「……何なんだよあのクソビッチが!!」




「あれ? 悠弥起きてたの? 寝てるのかと思った」


夕飯を取りにリビングに行くと深愛姉がシンクの前に立って

洗い物をしていた。


嫌な記憶を思い出したのか、現状も気分が最悪だった。


「……帰ったの?」

「うん、一緒に夕飯食べてたんだよ! 悠弥もくればよかったのに」


それだけはお断りする。

っというよりも何で俺をそこまで呼びたがるのか……


夕飯を持って部屋に戻ろうとすると……


「そうそう、琴葉がね悠弥ともっと話したいって言ってたから

LIMEのID教えたよー」


「は……?」


「大丈夫だよ、琴葉は変なことする子じゃないから」


いや、そういう問題じゃないから……!?


部屋に戻り、スマホを見ると「KO★TO☆HA」と書かれた

IDからダイレクトメッセージが送られていた。


『やあ、弟くん。君ともっと話したかったので深愛っちからID聞いたよ』


画面をみて肩を落とす。


そんな状況を知るわけもない画面の先の女は続けて送信してくる


『これからウザ絡みしていくのでよろしく頼むよ!』


スマホを投げたくなる衝動をぐっと抑えて、俺は長く深いため息をついていた。



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【あとがき】

▶当作はカクヨムコンに参加中です!!


お読みいただき誠にありがとうございます。


読者の皆様に作者から大切なお願いです。


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「続きが気になる」

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