第137話 さて、ここで問題です
落ち着きましょう。そう。こういう時こそ冷静に。
「弟子君の布団っていい香りがするね」
冷静に……冷静に……。
「なんか、安心するかも」
冷静に、冷静に、冷静に。
「えへへ。何言ってんだろね、私」
冷静に冷静に冷静に冷静に冷静にーーーーーー!!
結局、同じ布団で寝ることになった僕と師匠。最初は断ったのですが、強く押し切られてしまいました。どうにも弱すぎますね、僕って。
ドクドクドクと爆発しそうなほどの鼓動を刻む僕の心臓。もしかしたら、師匠にもその音が聞こえているのではないでしょうか。
「し、ししし師匠。あ、あの……何か、要件があったんですよね」
僕は、天井を見上げたまま師匠に尋ねます。今、師匠の顔を視界に入れてしまうと、いろいろと耐えられそうにありませんでしたから。
「要件? そんなのないよ」
「……え?」
「私、ただ弟子君と一緒に寝たかっただけだから」
…………
…………
さて、ここで問題です。次のうち、僕のとった行動は一体どれでしょうか。
その一、心の中で叫ぶ。
その二、心の中で叫ぶ。
その三、心の中で叫ぶ。
…………
…………
うにゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
「ふふ。ごめんね。冗談だよ」
「じょ、冗談?」
「うん。冗談。ちょっと、弟子君をからかいたくなっちゃって」
相変わらず天井を見つめ続ける僕。そんな僕の目に、師匠の顔を映っていません。でも、何となく想像がつきます。きっと今、師匠は、いたずらが成功した子供のように笑っているのではないでしょうか。
「本当はね。お礼、言いたかったんだ」
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