第38話 その人誰っすか?
「おはようございます。郵便屋さん」
「おはよう。弟子ちゃん。来てくれてありがとね」
郵便屋さんの勤める会社。そのとある一室の入り口。僕と郵便屋さんは、軽く挨拶を交わしました。
入口からは、室内の様子を見ることができます。たくさんのデスク。その全てに、大量の書類が積まれています。デスクに向かう職員さんたちは、書類の山に囲まれながら、必死に仕事をこなしていました。
「……すごいですね、あれ」
「アハハ。まあ、見てのとおり、毎日忙しいんだよ」
苦笑いを浮かべる郵便屋さん。さすがにここまでとは言いませんが、職員さんたちの勤勉さを師匠も少しは見習ってほしいものです。
さて、そんな師匠はというと……。
「zzz……」
僕の頭の上。三角帽子の状態で眠っています。
さすがに、師匠に早起きは厳しかったようです。まあ、予想通りですが。
「さて、じゃあ、仕事の説明をしたいから、中に入ってくれる?」
郵便屋さんに促されるまま、僕は室内へと足を踏み入れました。
その時。
「先輩。その人誰っすか?」
僕の存在に気付いた一人の女性職員さんが、郵便屋さんに尋ねました。「先輩」という言葉からして、彼女は、おそらく郵便屋さんの後輩でしょう。
「昨日言った子だよ。今日はボクたちの手伝いをしてもらうんだ」
どうやら、郵便屋さんは、僕のことをあらかじめ職員さんたちに伝えてくれていたようです。
後輩さんは、少しだけ目線を上に向けたかと思うと、「ああ!」と思い出したように頷きました。
さて、僕も挨拶をしておかないと……。
「はじめまして。本日……」
「先輩の彼氏さんっすね!」
…………
…………
さ、郵便屋さんを問い詰めるとしましょうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます