第5話  10月6日 連絡することを渋っていたら、妹に怒られました。

 あの後、僕は朝露さんと無料でやり取りできるチャットアプリのアカウントを交換して、解散となった。


その帰り電車では……

やばいニヤケが止まらない。まさか、僕があの朝露さんと同じカフェでお話して、さらには連絡先いやチャットのアカウントまで交換してもらえるなんて、、

あー幸せだった。


いやいや、何を言ってるんだ僕!これからだろ。とりあえず何か一言お礼でも送らないと。


僕は朝露さんとのチャットを開いて


『今日はありがとうございました。

これからよろしくお願いします』


と、打とうとしたところで手が止まった。


待てよ、これからよろしくお願いしますはおかしいか??んーでも、友達になったのならいいのではないのか?わからないぞ、どうやって話せばいいんだ?


僕自身、女の子とチャットなんてここ4年間花以外とはしてなかった。だからなんて声をかけるのが正解なのか、相手が不快にならないようにするにはと考えれば考えるほどわからなくなった。


「どうしたらいいんだろう」


電車の中なのに独り言が漏れてしまった。



あーどうしよう……ずっとチャットを開いたまま考えているといつのまにか自分の最寄りに着いていた。


「僕はこんな一言送るだけでもこんなになってしまうのか……情けないな」


家までの道を独り言を言いながら歩く。

考えごとをしながら歩くとあっという間に家に着いてしまった。


「ただいま〜」


玄関を開け、リビングに居るであろう美香に聞こえるように伝える。


「おかえりーお兄ちゃんどうだったーー」


そう言って案の定美香はリビングから顔を出し言ってくれる。なんだか美香の声を聞くだけで、ものすごく安心感があるなと思ってしまった。やっぱり美香はいい妹だなと改めて僕は思う。


「その話はご飯の時でも話すよ。まずは手洗ってくるね」




美香がご飯の準備をしてくれていたこともあり手洗いなどを済ませ、部屋着に着替えたら早速夜ご飯にした。


「「いただきます。」」



「で、どうだったの?お兄ちゃん?

なんかその顔見るとダメだったのかなとは思うんだけど……」


早速聞いてきた。当たり前だよな。


「んーどっちかというと成功はしたぞ?」


「え??ほんとに?すごいじゃん!!

どんな人だったの?写真は撮った?何したの??」


珍しく美香が食いついてきたな。


「んー簡単に説明すると……」


僕は駅についてから、ここに帰ってくるまでのこと、今日あったこと全て美香に伝えた。そして、チャットになんて送ればいいか分からずまだ送っていないことも。全ての話を聞き終えてから「はぁー」とため息ついた美香は僕に話し始めた


「まずは、よかったね!学年一の美少女と一緒に話したり連絡先交換までしてもらえて。

みかもお兄ちゃんにナンパ提案してよかったと思ったよ。でも、なんでチャットしてない訳??まったく、それでも4年間花さんと付き合ってた訳でしょ?もーー結局 それじゃ意味ないじゃん早く送るよ!スマホ出して」


まさかこんなにダメ出しされるとは思わなかった僕は何も言わず、言う通りにした。


「じゃーまずは、今日のお礼とナンパのお詫びを伝える。」


「う、うん」


すぐに美香により指導が始まってしまったため、

急いで文字を打っていく



『今日はありがとうございました。あと、急に声かけてごめんね。』


「はい、そこから違う。そんな堅苦しくなくていいじゃん。とりあえず今日は急に声かけてごめんね。ラノベの話一緒にできて楽しかったありがとう。これにしな。」


言われるがまま打っていく。

ここは美香に任せるべきだろう。


『今日は急に声をかけてごめんね。ラノベの話一緒にできて楽しかった。ありがとう!』


その通りに打ってから僕は送信ボタンを押そうとした。


「ちょっと待ってまだ押さないでよ!!」


その手を慌てて美香に止められた。


「ん?これ以上何か打つの??」


「わかってないなーーそれだと相手が何かしてこない限り終わってしまうでしょ。それでいいわけ??」


確かに……と思ってしまった。

なんだこの妹は、いつからこんなに逞しくなったのだ。


「じゃー何を入れれば??」


「んーと、何かさっき言ってた「連れ○の」?これについてなんか話すことないの?最新情報とかでもいいし、それに関係すること」


僕は頭の中で精一杯情報を絞り出す。


「あ、今度新巻が発売されるんだよ」


「じゃーそれでいいや。まだ流石に一緒に買いにいくとかはまだ無理そうだから、


『今日は急に声をかけてごめんね。ラノベの話一緒にできて楽しかったです。ありがとうございます!

今度「連れ○の」の最新巻出るじゃないです?あれどんな感じに作者持っていくと思います??』


はいこんな感じでいいよ」


僕のスマホに直接打ってくれた。

いや、こんな短時間でこんなことまでできるなんて、

ほんとに僕の妹なのだろうかと思ってしまう。


「じゃーこれを送信します……」


だが、僕は送信ボタンが押せないでいた。

すごく緊張するから。花の時にはこんなことなかったんだけどな……と押せないことから違うことに意識が行きそうになった時。


「何をグズグズ渋ってる訳?こんなんで友達としてやっていけると思って訳?だから浮気されるんだよ。

もっと自身もってさ堂々としなよ情けないなー。

ほら早く送信しろー」


怒られてしまった……


「わかったから怒るなって」


これ以上怒られたくなかったため

思い切って送信を押した。

―――――――――――――――――――――

「翔斗」『今日は急に声をかけてごめんね。

     ラノベの話一緒にできて

     楽しかったです。ありがとうござい

     ます!

     今度「連れ○の」の最新巻

     出るじゃないですか、どんな感じに

     作者持っていくと思いますか?』





―――――――――――――――――――――

送ってしまった、でも美香のおかげで無事送ることができた。


「ありがとう美香」


僕がお礼を言った瞬間だった

僕のスマホから"ピロン"と音が鳴った。

恐る恐るスマホを見てみると、1分も経たないうちに

朝露さんから返信が来ていた。


―――――――――――――――――――――

「朝露」『いえいえ、最終的には声かけて

     もらえてよかったと思っている

     ので大丈夫です。     

     私も初めて趣味を共有することが

     できて楽しかったです。

     ありがとうございます』

    『そう言えば、そうでしたね。

     私的には、そろそろ主人公と

     ヒロインがお互いの気持

     ちに気づくけども素直になれない

     とかになるんじゃないかなって

     思ってるんですよね。

     今までは罵倒ばかりでお互い嫌い

     って言い張ってましたし。

     逆に古巻くんはどう予想

     してますか』

―――――――――――――――――――――


すごく話に食いついて来てくれた。

ほんとに美香には頭が上がらないな。

今度何かしら美香には買ってあげようと思う。





そうして、僕は妹に怒られ、渋っている連絡をすることができました。

___________________________________________

5話読んでいただきありがとうございます。


ほんとに妹が逞しくすぎますね。

次こそはチャットの内容になると思いますのでご理解の方よろしくお願いします。


翔斗の今の髪型の話をします。学校では前髪が目のあたりぐらいまで伸びていることもあり、顔をしっかり見たことある人は中学時代の男友達と、花しか知らないということで、少し暗い設定です。朝露さんもまだ翔斗の顔全ては見たことないと思います、、、


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